表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

プロローグ その光景は過去か未来か(表紙絵あり)

挿絵(By みてみん)


イラスト:himmelさま

 大勢の人の前に立つのは、とても緊張する。誰かが言っていた、どんな人間でも緊張はするものだと。だが初めての経験になる私にとっては、周りが思っている以上に震えていた。

 大丈夫、大丈夫、そう言い聞かせて、壇上のすぐ脇に移動する。

 観客席に顔を向ければ、応援してくれる人たちの顔が見えた。

 嬉しそうな顔、私と同様に強張っている顔など、普段は見せない表情を皆していた。彼ら、彼女らのためにも、頑張らなければ。

 そう意気込むと、かえって力んでしまい、逆に手が震えてきた。手を握りしめて胸の前に置く。目を瞑り、大きく息を吸い込んだ。そしてゆっくり息を吐き出しながら、今ま出会った人たちのことを思い出した。

 自分の新しい技術的発見を一緒に喜んでくれた人。それを発表にまで持っていこうと促してくれた人。前向きな提案をしてくれた誰もが、希望に満ちた輝いた顔をしていた。

 その想いに応えられるだろうか――。


『あたしは好きだな』


 不安で心がいっぱいになりかけていると、過去の自分に大きく影響を与えた少女の言葉が脳内に響いてきた。人懐っこい彼女と出会えたのは、私にとっては幸運であり、大きな転機だった。

 深呼吸をして、心を落ち着かせる。私には見守ってくれている人がいる。皆、大丈夫だと言ってくれた。だからしっかりとした足取りで壇上にあがろう。

 辺りは暗くなっている。明るい色の変化が主としたこの技術には、適した時間になっていた。

 この壇上の先に何が待ち受けているかわからない。

 過去に囚われて立ち止まるのか、未来を見据えることになるのかもわからない。

 それでも今を一生懸命生きることには変わりなかった。



 さあ、行こう。

 過去の私が踏みだし、未来の私となるために。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ