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第六話  採寸とお店

「はっくしゅん!」


 朝は寒さで起きた。


 どうやら昼間、暑さで倒れる人がでるため結構大きい空気孔をつけて涼しい風を入れているようだ。


 宿屋を出ると獣人やエルフっぽい耳の尖がった人など沢山の人が行きかっていた。


「そうか、昨日は夜だから分からなかったけどこんなに賑わっているのか」


 取り合えずは魔法学校か、中心にあるって言ってたけど……でかっ! 学校っていうかお城じゃん。

 まるで絵本のお城のような大きさだ、国王の宮殿と言われても不思議ではない大きさだ。


「あれが学校……? すごいな」


 ドンッ!


 城の大きさに気を取られ、前から人が来ていることに気づかなかった。。



「あ、すみません。よそ見してて、大丈夫ですか?」


???「こちらこそ急いでおりまして申し訳ありません。」


 フードの中からのぞく漆黒の瞳に吸い込まれそうになり目をそらすと、フードを被った人は何事もなかったかのように再び歩き出した。


 少し変な雰囲気だったけど、こっちの人にはそういう人もいるのだろう。


「さて、行くか」


 魔法を学べる嬉しさに浮かれてスキップししながら魔法学校に向かうショウの後ろ姿を、さっきのフードがジッと見つめていた。



*****



 それから、王立魔法学校の門前に辿り着いた。


「ここか、改めて近くで見るととんでもなくでかいな…」


 学校は大きな壁に囲まれ、まるで戦争のために作られたかのような見た目だ。

 

 よく見ると学校を囲っている壁が若干青白く光っている、何か魔法でもかけられているのだろうか。


 門の前には大きな掲示板のようなものがあった、そこで学校の行事など色々な情報を張り出しているのだろう。


『異世界から来たものは裏に回って手続きをしてください』


「裏か」


 裏手に回ろうとした時、妙に視線を感じることに気がついた。

 道を歩く学生達がこちらをジロジロ見ている。


 そうか、元の世界で着てた服だから目立っているのか……服も買わなければな。


 魔法学校ということもあり、ローブ? のようなものを着て、長杖を突きながら歩いたり、腰に短い杖をチョコンと腰に身に着けた生徒がほとんどだ。中には剣を腰に掛けマントを羽織り、明らかに来るべき場所を間違えた、みたいな奴も見えた。


 俺は久しぶりに視線が集まるのを感じ、視線から逃げるように裏手に回った。


「失礼しま~す」


 ドアを開けると恐ろしい顔をしたモンスターが来客を拒むように睨みつけてきた


「!!」


 剥製かよ……思わず声をだすところだった


「あら異世界から来た子? そこに座って」


 綺麗な赤髪ロングの女性が隣の部屋から出てきた。


「あ、はい。異世界から来た人はここに入学する決まりだと聞いてやってきました」

「ちょっと待ってね今資料とか持ってくるから」

「あ、はい」


 こんな顔怖いモンスターが動いて歩き回ってるなんて考えたらゾッとする。


「はい、これが資料ね。明日までに全部目を通してきてね」


 クーラーボックスくらいの箱にぎっしりと資料が詰め込まれていた。


「え、これ全部ですか?」


 辞書くらいの本が四、五冊入っている……


「ええ、そうよ、さっ、次は制服の採寸をするから立って立って」

「は、はい」

「身長は175cmっとお次は胸囲っと」


 やばい、この角度だともろに……



「はい終わりっと」

「え? あ、はい」



 大きかった……何がとは言わないが、大きかった……


「明日から来てもらうけど、明日は表から入って4階の校長室に来てちょうだい」

「あ、明日からですか?」

「何か用事でも?」

「い、いえ別に。」


 急だな……資料全部目を通すって無理じゃね?


「じゃあたしはこれからお昼寝だからもう帰っていいわよ」

「え、あ、あの編入試験があると聞いたんですけど」

「ああそれ、めんどくさいからやったってことにしといて」


 そんな投げやりな……


「分かったらほらさっさと出てく、ほらほら」

「し、失礼しました……」


 めっちゃ適当な人だったな……まさかの編入試験をパスできるとは。


 取り合えず店を見て回りながら宿に戻ろう。




 この世界のお店は前世で見たことあるものから始めてみるものまで色々あった。


 例えばこれ、納豆だ。


 なぜか入れ物までほとんど同じだ……これは多分、異世界から来た人が恋しくなって作りだしたのだろう。



 初めて見るものはこれだ。


 まるで何かの糞のようなものだ。食べ物らしい、茶色くてネチョネチョしていて見ているだけで気持ち悪くなった。きっと俺には生理的に無理なのだろう。


 まあそんな感じでぶらぶらしていると昨日の酒場があった、あの店主に死にかけたこと文句言ってやろうと乗り込んだ。



 スイングドアを勢い良く開けると店主がこっちに気づいて陽気に話しかけてきた。



「よお、兄ちゃん昨日は大丈夫だったか?」


「大丈夫じゃないですよ、あの後、赤い目をした小さいモンスターの大群に襲われて死にかけましたよ! どうして行ってくれなかったんですか!」


「おいおい俺はちゃんと言おうとしたぜ? 人の話を聞かないで行っちまったのは兄ちゃんのほうだぜ?」


「え、そうだったっけ、確かにあの時は金を簡単に稼げると聞いて慌てて出てったようないかなかったような…」


「だろ? まあ俺がたきつけたのには変わりはねえからなんか食ってけよ今日はただでいいぞ?」

そういえばこっちに来て何も食っていなかった。


「では遠慮なく」


「おう!」


 適当にお肉と飲み物を貰い席に向かおうとしたとき


「あの後ろ姿は…」


 どこかで見覚えのある後ろ姿が視界に映った。







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