第四十二話 日常と解決
夜が明け、ショウが目覚めると部屋のあちらこちらで倒れているアイラやセーラ、そしてボサボサになった髪型で倒れたドミノに手を伸ばす二人の姿があった。
「あぁ、結局力尽きるまでこの二人は勝負をしていたのか……」
もう二度とこんな審査には付き合わないと心に決めると、他の人たちはそのままにし、その場を後にした。
そして重い瞼を必死に上げ登校すると、同じ顔をしたアイラとエリザベスがいた。
「おはよう、ショウ……」
いつも笑顔で挨拶してくるアイラが初めて笑顔をせず挨拶をした。
「おはようですわ、ショウ」
「おはよう……そういえば途中から記憶がないんだけど、結局勝負は決着ついたの?」
「いえ……結局あの後皆さんが寝た後もお互いドミノを完成させようとしていたんですけれど……どっちも同じタイミングでスタミナ切れで倒れてしまいましたわ」
「それじゃあ……」
「ええ、引き分けですわ、流石ショウの妹ですわ」
「ああ……そう……」
結局あれだけ頑張ったのに引き分け……か……
すると機嫌が悪そうにステイン先生が教室に入ってきた。
「それじゃあ、ホームルームを始めるぞ」
「先生どうかしたんですか~?」
疑問に思ったクラスメイトが聞いた。
「ああ、アリシア校長がまだ寝ていて学校に来ていないせいで朝から大変だったんだ……」
ステイン先生……今日だけは許してやってくれ、あの人は珍しく頑張っていたんだ、今日だけは許してやってくれ!
そう思いながらこぶしを握り締め、訂正してやれない歯がゆさを感じながら心の中でアリシア校長をできるだけ褒めた。
そしてホームルームが終わり、ショウはいつも通りセーラのもとで訓練をするため闘技場に向かっていた。
「ぐうぅぅぅう、ぐぅぅぅ、ぐう」
何ともアニメみたいな寝息を立てて寝るものだと思いながら柱に寄り掛かって寝ているセーラに話しかけた。
「セーラ、起きて、おーい」
「ん? ふああああ……!? ショ、ショウ来てるなら早く言いなさいよ!」
「いや、きた瞬間こうして起こしたけど……」
「早く訓練を始めるわよ! まだ殺人鬼は潜んでいるのだから!」
「あ、そのことなんだけど……」
「どうしたの?」
そう言うと響のことをもう心配いらなくなったこと、罪の償いにいいことを沢山してほしいから警備隊には通報しないでほしいということをセーラに詳しく説明した。
「ということなんだけど……」
「…………」
「??」
「…………」
「セーラまさか寝てる……?」
「はっ、寝てないわよ? 勿論聞いてたわよ、ちょっと驚いたけどショウがそこまで言うのなら黙っておくわ、でも少しでも怪しいことをしたら容赦はしないわよ」
絶対少し寝てただろ……
「ありがとう、恩に着るよ」
「いいわよ、そんなの一つだけお願いを聞いてくれるなら」
「お願い?」
「そう、お願い、でもまだそのことはいいわ、それよりこの訓練の時間どうする? みんなに怪しまれないように続ける?」
「うん、それもそうだね、何か殺人鬼は逃げたっていうことにできる方法はないかな?」
「姉にも話して、今回の件で協力者がいなくなったから逃げたってことにしてもらえば多少強引だけど、なんとかいけないかしら?」
「確かにそうだね、警備隊には人相も割れてないしそれでいけそう! セーラに話してよかったよ」
「そう? あ、ありがとう、私もこのことをアイラさんたちより先に相談してくれて嬉しかった」
「ん? エリザベスにはまだ行ってないけど、アイラはその場で起きてたから知ってるよ?」
「ああ、そうなの……」
セーラは何故か残念そうな顔をしていた。ともあれこれで響のことは心配しないで済みそうだ
てか俺ハーレム作ってないじゃん……
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