第四十一話 二回戦と長すぎる戦い
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「ゲッ、ジョーカーだ!」
「アイラ……、君はポーカーフェイスというものを知らないのかね」
「だって、来たら自然と反応しちゃうんですもん……」
ショウ達は掃除が終わる一時間後まで暇だったので、トランプでババ抜きをしていた。
なぜトランプがこの世界にあるかというと、ショウが来る前に異世界に来た人がどうやら流行らせたらしい。おかげで今こうして暇つぶしをすることができているから前に来た異世界人もいいことをしたものだ。
そして、アリシア校長がアイラからカードを引くと憎たらしい顔で笑うピエロの絵が刻まれていた。
「グッ」
「アリシア校長だってポーカーフェイスできてないじゃないですか……」
「……確かに、自分で言っといてなんだがこれは相当難しいものだな」
ふっ、この俺にかかればポーカーフェイスなどたやすいことだ。なぜなら俺は前世でクラスの奴からはぶられても顔色一つ変えることなく過ごすことができたのだからな
「じゃあ、引きますよ」
そして適当にトランプを引くとなぜか三連続でジョーカーが動いた。
しかし、ショウは誰にもそのことを悟らせないようにポーカーフェイスを繰り出す。
「「ぷっ」」
するとなぜか完璧なはずのポーカーフェイスを見てアリシア校長とアイラとセーラが笑っていた。
「な、なぜ笑う!? 俺のポーカーフェイスは完璧なはず……」
「な、なぜって……ぷふふ、さっきまで笑いながらやっていたのに急に真顔になるんだもの……ぷははは」
そう言うとツボに入ったのかセーラは腹を抱えて笑っている。
「ショウぷふ、ポーカーフェイスは何も真顔になることだけじゃないぞ? さっきまでの表情と変わらないようにするのがコツだぞ? ぷふ」
ショウぷふって誰だよ……、しかしまさかの失敗をしてしまった、まさかそんなことでばれるなんて……って笑いすぎだろ!?
「じゃ、じゃあ次は私ね」
「どうぞ」
するとセーラは涙を拭いながら俺のジョーカーを華麗に抜き去っていった。
「久しぶりにここまで笑ったわ、まさかあんな顔するなんてね」
そう言いながら何事もなかったかのようにアイラに自分のカードを引くように向けた。
そしてアイラもセーラからカードを引く。
「だよね~、ゲッ、ジョーカーはショウのところじゃなかったの!?」
「残念ね、この中では私が一番ポーカーフェイスがうまいようね」
「くっ、流石セーラさん、全然気づかなかったよ」
「流石は私の妹だ」
それから五分くらいこの調子でトランプを楽しんでいたがついに二人とも掃除が終わったようだ。
「それじゃあ、今から部屋を見させてもらう」
「それじゃあ、先に終わったエリィの方から見せてもらおうかな」
「ええ、こっちですわ」
そして案内されて入った部屋はさっき見たホコリまみれの部屋と別の部屋ではないかと思うほどきれいになっていた。
「おお、すごいな、さっきと違う部屋みたいだ」
「うん、指で触ってみてもホコリ一つも指についていない、完璧といってもいいだろう」
「見て見て~、トイレもピカピカだよ~」
「うむ、では次は成美君のところに行くとしよう」
そして成美の部屋にも行ってみたが、こっちの部屋もエリザベスと同じくどこもかしくもピカピカだった。
ぶっちゃけどっちがよりよくできているかといわれるとわからない。なのでここは審査員同士で話し合うことにした。そして何とも細かいところでこの勝負の勝敗が決まった。
「この掃除対決の勝者は成美! 勝因は一つ、二人の掃除能力はほとんど互角だった。だが一つだけ成美君にはあってエリザベス君にはなかったものがある」
「それは……?」
「トイレットペーパーなどの消耗品が補充されていたかどうかだ。成美君はそれができていた、勝敗はたったのそれだけの違いだ」
何ともしょぼいことで決めたと思いたいのは分かるが、それほどまでに二人の部屋の綺麗さは互角だったのだ、それしか勝敗を決める要因がなかったのだ。
「そうですか……私の負けね」
「なかなかエリザベスさんもやりますね、さっ、次に行きますよ」
「「「「え?」」」」
「「??」」
「ま、だ、やるの?」
「ええ、当然よ、おのれのすべてをぶつけるまで終わらないわ」
「お兄ちゃん、この勝負は絶対に避けることはできないの」
……まじかよ
そしてエリザベスと成美の勝負は夜遅くまで続いた、洗濯、洗い物、何の戦いかは知らないが朝から晩までこの二人は勝負を続けていた。
審査員のショウ達はもはや審査する気力もなくなり、全員校長の部屋で倒れ伏していた。
「はあはあ、いい加減、諦めたらどうですの?」
「そ、それはこっちのセリフです」
そしてなにがどうなったのか知らないが、二人はドミノをしていた。
「こ、これでか、かんせ……い」
「やっと……これで……私のか……ち」
そう言うと二人共力尽き、ドミノがひとりでに倒れていった。




