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第四十話  次と掃除

「最後の一票は……」


「ムシャムシャ」


 うるさい、ていうかまだあいつは食っているのか……


「最後の一票はエリザベス! よってこの勝負は三対二でエリザベスの勝利だ」


 自分の名前が発表されるとエリザベスは落ち着くように一息ついた。


「やったね、エリィ」


 一息つくエリザベスにアイラが声をかける。


「ええ、今までで一番苦戦しましたわ」


 そしてショウはエリザベスにとってのアイラ役を引き受け、落ち込んでる成美に話しかけた。


「まぁ、気にするな、エリザベスは料理の才能も合わせて努力までしてたんだ。そのエリザベスに対等に渡り合ったなんて自慢の妹だよ」


 そして潤んだ瞳で問いかける。


「……じゃあお兄ちゃんはどっちの料理に票をいれたの?」


「どちらに入れようか本当に迷ったけど、エリザベスには悪いけど、もう食べることが一生できないと思ってた味を食べさせてくれた成美に入れたよ」


「ふ、ふ~ん、それならいいけど、それじゃあ次の勝負も頑張るから応援してよね」


 すると気を取り直し、成美は次の勝負に向けて気を張りなおした。


「ああ! ……って次の勝負……?」


「あれ? 言ってなかったっけ? 勝負はまだ始まったばかりよ」


「は?」


「当然じゃない、エリザベスの得意な料理だけで決めるわけないじゃない


「なんだそりゃあぁ、ていうかそもそもこの勝負は何を決めるためにやっているんだよ」


「そ、それはどうだっていいでしょ! さ、早く続きをやるわよ」


 成美は予想外だったのか顔を赤く染め、さっさとみんなのもとに行ってしまった。


 いや、付き合わされてるんだからそれくらい教えてくれてもいだろ……


 そして戻ってきた成美にアイラがすかさずフォローを入れる。


「あ、成美ちゃん! あの料理とってもおいしかったよ! 料理勝負でだれにも負けたことのないエリィにあと一歩まで追い詰めるなんてすごいね! 誰から教わったの?」


「いえ、野菜の切り方とかは母から教わりましたが、料理は独学です、それより、勝負の続きをしましょう」


「へぇ~、独学かぁ~、成美ちゃんも将来料理人になれると……え? まだやるの?」


「ええいいわ、それで、次は何の勝負にするのかしら」


「次はどちらが掃除をできるかで勝負よ」


「掃除……ね、確かにこれも重要なことね」


 な、なんに重要なんだ……? 


 それからショウ達はアリシア校長の使わない部屋がほこりをかぶっているらしくそこが今度の勝負の会場になった。


「では制限時間は一時間、どちらが最も綺麗に掃除できるか、よーい、スタート!」


 アリシア校長がそう言うと二人は各自に振り分けられた部屋に入ると掃除を始めた。


「ところであの大食い少年はどうしたのだ?」


「ああ、トンキーですね……あいつは何も食えないなら俺は帰るって言って帰っちゃいましたよ……」


「そ、そうか」


「ええ」


 アイラとアリシア校長が若干羨ましそうな表情を浮かべた気がした。それもそうだ、訳も分からない争いに現在巻き込まれているのだから……


「取り合えず、この一時間暇ですね……」


「「そうだ(ね・な)」




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