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第三十八話 料理と超新星

「じゃ、じゃあ食べるぞ」


そう言うとショウは、慣れ親しんだ味とどこまで近づいているのか内心ワクワクしながら一口サイズにすくい口に運んだ。


アイラ達も食べ方がわからなかったのかショウの食べ方を見るやいなや続けて口に運んだ。


「んんっ!!」


すると口の中で革命が起こった。


どこまで近づいたかなんてもんじゃない、俺は成美を完全に侮っていた。成美が作ったそれはもはや以前のオムライスとは完全に別物だ、以前より圧倒的に美味しくなっている。


「「「「美味すぎる」」」」


若干一名を除いた試食した四人は唸り声を上げた。


「な、何これ……今までこんな料理味わったことない……、半熟の卵をきるとあんなに赤い汁をかけてたのにかかわらずネチャネチャしない程よいご飯になってる!」


「ムシャッムシャッ、んぐ、ゲホゲホ!」


「本当に美味しいわ、成美さんは料理得意なのね」


「ムシャッムシャッ」


「うむ、確かにこれは絶品だ」


「ムシャムシャ」


確かにみんなが褒め称えるくらい美味い……ってさっきから一人うるさいんだけど!?


「どう? お兄ちゃん感想は?」


「あ、ああ、正直驚いたぞ、まさか本家を越してくるとはな」


「まあね! これで私の勝ちは確定かな?」


「あら、それはどうかしら」


すると間髪入れずにエリザベスが仕掛ける。


「な、この評判を見てもなお勝算があるというの!?」


「ええ、料理なら誰にも負けない自信がありますわよ」


「そ、そこまで言うなら味合わせて貰おうじゃない、どれ程の腕前なのか」


「ええ、いいわよ、私の料理はこれよ」


「こ、これって……」


「魔物の丸焼きよ」



そう言って出してきたのはショウを集団で食い殺そうとしてきた牙の生えたウサギのような魔物の料理だった。


みんなの表情が固まる。あれだけエリザベス推しだったアイラまでもあまりの奇抜さに固まってしまっている。


「エ、エリィ!? だ、大丈夫なの? 魔物の料理なんて聞いたことないんだけどお腹壊したりしない?」


「大丈夫ですわよ、ちゃんと実食済みですわ」


食べたの!? よく体に毒かもしれないものを試したな……見た目によらず度胸があるんだな……


「まさか、こいつを食う日が来るとは……」


「そういえば、あなたこの魔物に食われかけていたわね……」


魔物の料理を見ると思い出したように呟いた。


「やめてぇ! 言わないで!」


気を取り直してナイフで骨から肉を剥ぎ取る、それはまるでプリンをすくっていると錯覚するくらい柔らかかった。


そしてその肉を恐る恐る口にする。


その料理はビックバンを引き起こした。この世界の料理界に新たなジャンルが誕生した瞬間だった。




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