第三十七話 完成と人数
「できたよ! お兄ちゃん」
「できましたわよ! ショウ」
二人はそう言うとほとんど同時に料理を完成させてきた。
「お、おお、どっちもおいしそう」
「え、ええ、思っていた以上の出来で驚いたわ」
「でしょ?」
「な、なんでアイラさんがそんなに自信満々に……」
なぜかアイラが自慢げに言っているのを聞きながら成美のほうを見ると、懐かしい
料理が目に映った。
「これは……」
「ふふん、どう? 懐かしいでしょ? 前の世界のオムライスっを完全再現してみたの」
「マジ!? それすごくね? どうやったの?」
「「「オムライス??」」」
三人は聞いたことがない料理名に困惑していた、無理もない子の料理はショウが元居た世界で大好物だった一品なのだ。
「詳しく言うと長くなるんだけど、ざっくり言うとこの世界の生き物の卵をこの世界の調味料で調整して鶏の卵とほとんど同じにしたの、ケチャップもこの世界に似たものがあったからそれをアレンジしたってわけ」
「お前マジでハイスペックだな!」
「「「??」」」
三人は全く理解できないという顔で話を聞いていた。
「当たり前でしょ?」
エリザベスの料理はとても豪華そうな一品を出してきた。食材には豪華なものなんてなかったはずなのに、お皿の三分の一に綺麗に盛られたこの世界の野菜、トマトに似た野菜を端に置くことでより豪華さが増している。
それにローストビーフ風のお肉が残りの三分の二をまるで花のように飾り付け、さらにソースが光り輝き、もうどこかの料理人レベルの一品だ。
「エ、エリザベスのはもはや貴族の食卓に並んでいそうだな……」
「そ、そうかしら?」
「流石私のエリザベス!」
「いつからあなたのものになったのかしら」
???「そんな事より早く料理を食わせてくれ!」
???「私も賛成だ」
「「「「えっ?」」」」
いつの間にか席についていた二人に四人は驚きを隠しきれずにいた。
「トンキー!? それに」
「お姉ちゃん!?」
そこにはナイフとフォークを持った二人が席についていた。
「な、なんでお姉ちゃんがここに!?」
「なんでって……、朝お前が妙に嬉しそうに出かけて行ったら気になるだろ? だからついてきちゃった、てへ」
「「「……」」」
「さっきは嫌々来たみたいに言ってたような……」
「う、うれしそうになんかしてないわよ! 全く、それだけでついてくるなんて……」
「ト、トンキーはどうして……」
「あぁ? 俺はそこらへんを歩いていたらおいしそうなにおいが漂ってきたから来た」
「あ、ああ、そう……」
「でも、料理は念のためにもう一人分だけは作っているけど、あと一人分は作ってないのですけれど……」
「それならば、その一つはトンキーくんにやってくれ」
「アリシア校長はどうするんですか~?」
「私はショウのを半分貰うとするよ、貸しもあることだしね」
「貸し?」
「ぐっ、」
そういうとショウの席に半分無理やり座ってきた、体が密着して校長の体温が伝わってくる。
「「「!!」」」
「どうした? 早く食べないと料理が冷めてしまうぞ?」
「「「くっ」」」
そしてトンキー、アリシア校長を交えて、五人で勝負の勝敗を決めることになった。
「じゃ、じゃあ食べるぞ」
『ゴクっ』
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