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第三十六話  勝負と料理

「じゃあ、はじめるよ~」


「ええ」


「はい」


 あれからなぜかエリザベスと成美が勝負することになり、休日に集まっている状態だ。


 アイラの開始の合図とともに二人は料理を始めた。


「なんで俺まで二人のバトルに付き合わされているんだ……」


「それはこっちのセリフよ、私なんて何も関係ないじゃない!」


 するとショウが巻き込んだセーラがこっちを睨む。


「い、いやぁ~、だって審査員が欲しいから知り合いを誘えって言われたけど、俺誘えるような友達そんないないから……」


 そしてショウはまたも自分で言っているうちにむなしくなって声のトーンがどんどん下がっていった。


「はぁ、しょうがないわね」


 そんなショウに呆れたのか諦めて二人の勝負を見つめだした。


「すんません」


「そ、そこまで謝らなくてもいいわよ……、それで、これは何の勝負なの?」


「さ、さあ」


「…………」


「い、いや違うんだって! ほんとに急に始まったんだって! だからそんな馬鹿を見るような顔で見ないで!」


 そこに開始の合図をしたアイラが戻ってきた。


「お! 二人とも盛り上がってるね! 何の話?」


「ア、アイラもこの勝負の理由わからないよね? このままだと俺が馬鹿になっちゃうよ」


「ん? この勝負の理由? そんなの簡単に分かるよ」


「え?」


 アイラはその理由に簡単に検討がつくようだった、そのためセーラがこちらを馬鹿な人を見るような顔でこちらを見た。


「セーラさんは理由知りたいの?」


「え、ええ、まぁ、参加するなら理由くらい知りたいかな」


「それはねぇ……、コショコショ」


 なぜか耳元で密かにアイラがその理由を伝えるとセーラは顔が赤くなり、こっちを向いた。


「この変態! 私にあんなことまで言ったくせに!」


「なんで!?」


 アイラが何を言ったのか知らないがセーラの俺への評価がだだ下がりになった気がする。


******


 そんな会話の最中も彼女たちのバトルは繰り広げられていた。


『トントントントントントン』


「意外とやりますわね、成美さん、でもその程度じゃ私には勝てなくてよ?」


「そっちこそ、まさか料理がこんなにできるだなんて思ってもみませんでしたよ、この勝負絶対に負けない!」


 お互いがお互いの包丁捌きを見て称賛しあっているがどちらも引くつもりがない凄まじい熱気だ。


 ショウはこの勝負は自分の事を争っているからこれほどまで熱くなっているとは露知らず唖然として眺めていた。


「できたよ! お兄ちゃん!」


「できましたわよ!」


 そして二人ほとんど同時に料理は完成した。



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