第三十五話 奪い合いと決闘
「で、お兄ちゃん、この人たちはなんなの?」
そして昼休みを迎え、俺たちは四人で昼ご飯を食べることになった、セーラも誘ってはみたがやはり一人で食べるのが好きと言い断られた。
朝から妹の成美とエリザベスとアイラはお互いをずっと睨み合っていた、アイラは好奇心からだろうが、エリザベスは……よく分からない。
「あ、ああ紹介がまだだったな、こちらはエリザベスとアイラだ、俺がはじめてできた友達だ……」
なぜか自分で言っててとてもむなしくなってきた……
「ふ~ん、なんだただの友達か」
「?? そうに決まっているだろ?」
成美は勝ち誇ったかのような顔をして二人をあざ笑った。
『ピキッ』
「ちょっといいかしらショウ?」
エリザベスがそれに対して反応するように質問をしてきた。
「ん? 何?」
「成美さん……でしたっけこの方はただの妹なんですよね? 血のつながりはあるんですよね?」
「え? あ、うん、ちゃんとつながっているけどそれがどうかした?」
「へ~、てことはあなたはただのいもうとなんですね、それじゃあ同じ土俵には立てませんね、残念です」
「あら? 血がどうこうとそんなこと気にしてる時点で最初から私に負けていることに気づかないのかな?」
なぜか二人はお互いに挑発? をしているように見えた。
「ア、アイラ……この二人どうしちゃったの……? これって喧嘩してるのか?」
アイラは変わらない笑顔のまま言った。
「んー、そんなんじゃないよー、ただじゃれあってるんだよ、仲がいい証拠さ!」
「「よくありません!」」
二人は息を合わせたかのように同時に言った。
「ほらね」
「確かに……」
それからもエリザベスと成美はことあるごとに一緒にいることが多くなった。
放課後
エリザベスは帰ろうとしているショウを見つけて声をかけようとする。
「ショ、」
するとどこからともなく狙ったかのように成美が出てきた。
「お兄ちゃん~、一緒に帰ろ?」
「ん? あ、ああいいけど、なんかお前こっちに来てからやけにベタベタしてないか?」
「前とそんな変わんないよ?」
「そ、そうか」
そして二人で帰っていくのを見つめるエリザベスに成美は振り向き笑みを浮かべた。
「いいですわ、こうなったらとことんやってやりますわよ、宣戦布告ですわ」
翌日の昼休み
ショウが一人でご飯を食べようとしているのを成美が見つけ声をかけようとする。
「おにい、」
すると今度はエリザベスが成美の声を遮りショウに話しかけた。
「ここに居ましたの! お弁当を多く作りすぎてしまったのでよかったらお昼一緒にどうかしら?」
「え? マジで!? エリザベスの手作り!? 食べます! 食べます!」
「ではあっちで食べましょう」
「分かった!」
そして出遅れた成美にこっそり振り返り笑みを浮かべた。
「くっ、その手があったか! ていうかお兄ちゃん、簡単についていきすぎじゃない!?」
そしてその翌日の朝
校門前を歩いているショウを見つけたエリザベスと成美。
「ショウおはようですわ!」 「お兄ちゃんおはよう!」
ほとんど同時に言い、二人は睨み合った。
「お、おはよう」
「あら? 成美さんじゃありませんか? 毎度毎度奇遇ですね、でもちょっと遠慮してくれません? 妹なら毎回家で会うでしょう?」
「あれ、エリザベスさん? それはこっちのセリフですよ~、毎回毎回妹と兄の時間を邪魔してくれちゃってー」
そしていきなり現れ険悪なムードにビビりだすショウ。
「え? あ、あの、二人とも……?」
「「お兄ちゃん・ショウは黙っていて!」」
「はい!」
一体全体なにが起こっているか理解できないまま怒られ、ますます困惑していく。
「あ、ショウおはよ~」
「あ、アイラ助けてくれ、二人がやばい」
ショウはできるだけ二人に聞こえないように小声で言うと、アイラは少し二人を見つめると心配など微塵もないような口調で言った。
「大丈夫だよ~」
「で、でも」
「こうなったらしょうがありませんね……」
「ええ、そうですね……」
「お、おいおいこれはいよいよやばいんじゃ……」
「「どちらがよりふさわしいか勝負よ・ですわ」」
「ほらね? 二人とも意思疎通までしてるし」
「そ、そうかな……」
こうしてこれから起こる最悪な二人の決闘を誰も予想することができないまま、始まってしまうのであった。
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