第三十四話 妹と再会
「やっと見つけた!」
転校してきて早々ショウのもとに駆け寄りいきなり抱き着いてきた。
「ちょ」
「あ、あんた何をしていらっしゃるの!?」
「わーお、大胆」
ちょ、ちょっと待てこの展開はなんなんだぁぁぁぁぁ! 転校してきた美少女にいきなり抱き着かれるってどこの主人公だよ!
「あ、あの、いきなりどうしたの……? 見つけたってどういうこと?」
ショウは興奮しているのがばれないようにできるだけ平静を装って質問をした。
「まだ気づかないの? 私だよ私。」
いや、私だよ私って言われても……、俺の知り合いに桃色の髪の女の子はいない。というか友達はいない。新手のオレオレ詐欺としか……
「??」
「そんなことより少し離れてくださらない? ここは学校ですのよ?」
そんなエリザベスの言葉を無視して謎の女の子は話を続ける。
「あっ、顔が違うから無理もないか……、妹の成美だよ、お兄ちゃん」
「おにっ!?」
「ショウってこんなにかわいい妹がいたの!?」
教室内が一瞬でざわめき、視線はショウのもとに集まった。
「いやいやいや、ていうかなんで前世の妹の名前を君が知ってる!?」
「だって本人だもん」
「えっ?」
「だから私は正真正銘お兄ちゃんの妹だって言ってるの、私も異世界に来たのよ」
「マジ?」
「マジ」
「じゃ、じゃあ誕生日は?」
「十一月二十四日、お兄ちゃんより一時間後に生まれたから誕生日は一緒でしょ?」
当たっている、確かに成美は俺と同じ日に生まれ俺より一時間遅く生まれたため妹なのだ。
「じゃ、じゃあじゃあ、前世での俺の彼女の名前は!?」
「「彼女!?」」
そう言うと若干二名が反応した。
「何言ってるのお兄ちゃん、彼女なんていないでしょ? ていうかできたことすらないでしょ?」
「俺の妹だ……」
「「ガクっ! なんでそれで納得!?」」
エリザベスとアイラはなぜこんな質問で妹おと認めたのか疑問に思ったようだ
「で、でもお前その顔と体はどうしたの!? 染めたの?」
「違うよ! 私の場合異世界転生だったから顔も体も違うの」
「転生!? てことはこの年までこの世界で生活してきたってこと!?」
「うん、だからこの世界のことはお兄ちゃんより先輩ね」
「どういうことだ? 俺の方が先に転移したのになんで成美が俺より十何年もこの世界にいたなんて」
「それはね、神様にお兄ちゃんと同じ世界がいいって言ったら、私は転生しかできないみたいでお兄ちゃんが来る前にとばして十何年待つことでしか再会できないって言われたの、だからしょうがないからそうすることにしたってわけ」
「マジか、お前すごいな」
「でしょ? もっと褒め称えなさい」
「偉い、偉い、てお前までこっちに来て母さんは大丈夫なのか!?」
他の生徒はみんな唖然として固まって二人の会話を黙って聞いていた。
「あ、それなら大丈夫」
「どういうこと?」
「ほらお兄ちゃんって異世界適正年齢過ぎてたでしょ? だからそれを口実に神様に頼んでみたの! お母さんとお父さんもこっちに連れてこいって」
…………神様脅迫されてる!?
「って、二人もこっちに来てるってこと!?」
「うん、二人は年を十何年分若返らせてもらって、こっちに来てまた私を育ててもらったの、だってお兄ちゃんと再会するのは十何年後になるからお父さんとお母さんおじいちゃんおばあちゃんになっちゃうもん」
「お、お前ってやっぱ頭いいのな……」
素直に神様を脅迫して十何年後の再開のためにここまで計画していた妹の頭のよさと度胸に感心していた。
「今更?」
「それで今二人はどこにいるんだ?」
「二人は結構遠くて隣の都市にいるんだ、私の召喚魔法を利用して昨日ようやくこっちにこれたんだよ」
「え? 昨日こっちに来たの!? お前泊まるとことかあるの? 無いよ? 勿論お兄ちゃんの家に泊めてもらうつもりだけど?」
「いや俺校長の使ってない家に居候させてもらってるから許可貰わないと……」
「ああ、それももう貰ったよ」
「…………ああ、そう」
「はいはい、感動の再開悪いけど、それは後にして早くホームルームをやっちゃうぞ、成美くんはショウの妹か、ちょうどショウの隣が空いてるからそこに座ってくれ」
するとステイン先生が様子を見てホームルームを再開した。
「はーい」
成美は少し残念そうに隣の席に着いた。
前から好奇心旺盛な瞳と怒りの瞳がこちらを覗いているの無視しながら先生の話を聞いた。
「はぁ、昼休みが大変そうだ……」
最近ブックマーク登録が増えてきてうれしい限りです! これからもがんばって投稿していきたいと思いますので是非ブックマーク、評価、コメントよろしくお願い致します。
もう一つの作品、『オカマだけど楽しくやっています!』もどうぞ見ていってください!




