第三十二話 ネタバレと食事
エリザベスの家に着いたショウはアイラもいることに少し残念なような感情が浮かんだが、これはこれでハーレムっぽいからよしとした。
そして現在は一人暮らしとしては少しでかいテーブルにつき、アイラと雑談をしていた、エリザベスはというと料理作りに励んでおり、エリザベスの家だというのにいまだに彼女とは顔を合わせていない。
「ごめんね~。エリィ料理の事となるとすごい真剣になっちゃうの」
「い、いや全然いいよ、それにその真剣さがおいしい料理につながるんだと思うしね」
「ショウは優しいね~」
「いや~。普通だよ」
「「…………」」
気まずい! 学生時代はボッチだった俺にはコミュ力というものがほとんど備わっていないのだ。だからこういう誰かと二人きりになると何を話したらいいか分からなくなる。
「ショウってさ~」
「?? なに?」
「エリィの事どう思っているの?」
「ヴオフっ!」
あまりにも突然に予想だにしていない質問が飛んできたため飲み物を拭き出してしまった。
「だ、大丈夫!?」
「ゴホっ、きゅ、急にどうしたのさ」
「単純にどう思っているのかな~って思っただけだよ~」
「それは異性として?」
「異性として」
「それは、んふふふ、なこともしたいという意味で?」
「んふふふ、なこともしたいという意味で」
『な、なんだ、いきなりどうしたのだ、まさかハーレム計画がばれた!? いや、そんなはずはない、このことは誰にも……』
「ゆ、友人としては好きだよ? で、でも異性としては分からないかな……?」
「一ついいかな?」
「ど、どうした?」
「心の声、全部聞こえてるよ」
「マジですか」
「マジです」
「ハーレムの意味は……ご存知で……?」
「知ってる」
「「…………」」
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! やっちまったぁぁぁぁぁぁ!! あれだけセーラの時に気をつけないとって思ってたのに、まさかよりによってアイラの目の前でハーレム計画暴露しちまうなんてぇぇぇぇぇぇ!! 俺のバカ! アホ!
「お願いします、このことは誰にも言わないでくださいアイラ。いや、アイラ様」
ショウは椅子に座るアイラの足元に跪いて懇願した。
「ショウは前から緊張したりすると思ってること口に出しちゃう癖があるよね」
いつも笑顔のアイラも流石にその笑顔がひきつっている。
「はい……、気をつけてはいるんですが……」
「ショウはエリィをハーレムの一員にしようと思ってるの?」
「ま、まぁ端的に言うとそうなります、はい……」
「ふ~ん、そうなんだ、でも決してエリィを悲しませちゃだめだよ?」
「え?」
「約束できる?」
「あ、は、はい!」
「ならよし、ところでご飯はまだかなぁ~、ぼくおなかすいちゃったよぉ~」
「あ、あの、もう終わりですか……?」
「何が?」
「いや、その、止めたりは……」
「悪いようにはしないんでしょ?」
「は、はい」
「なら好きにやればいいんじゃない? それに成功するとも分からないしね!」
天使か!? この糞みたいな欲望の塊の計画を知ってなおこの俺を気持ち悪いとは思わないなんて!
セシルさん合わせてこれで二人目だぞ!? 天使俺の近くにいすぎだろ! これが異世界というものなのか……
「俺……アイラも絶対ハーレムの一員にするよ」
再びアイラの足元に跪き、まるで告白でもするかのように手を取り言った。
「プロポーズするような感じでハーレムの一員にするって言われても……」
「ダメかな……」
「ぷっ、ぷははははははは! ほんとショウっておもしろいよね」
「そ、そうかな」
急に吹き出したアイラに少し困惑していると
「そうだよ、普通ハーレムの一員にするなんて言う人いないよ、うん、それもいいかもね」
「ほ、ほんと!?」
「な~んてね、冗談!」
「え~、そんな~」
「その代わりこのことはエリィには秘密にしておいてあげるよ」
「うー、よ、よろしくお願いします……できればエリザベスにもでお願いします」
「りょーかい」
そう言うとアイラはいつもの笑顔をした。
「料理できましたわよ」
すると話が終わりちょうどいいタイミングでエリザベスの料理が出てきた。
「お、待ってました!」
「ところで、さっきとても楽しそうな声が聞こえてきましたけど、何の話をしていたんですの?」
ギクっ!
「んー? 秘密ー」
「そ、そうですの、まあ召し上がってください」
そこには照明に照らされてかは分からないが光り輝く料理がずらりとならんでいた。
「す、すごい……、これ全部一人で?」
「え、ええ」
「ね! エリィの料理はすごいでしょ?」
「す、すごすぎる」
こっちの料理は分からないものが多いがそれでも、これがすごいことだけは分かる。
「じゃあみんなで!」
「「「いただき(ま~す)(ます!)(ます)」」」
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