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第三十話  協力と勝利

「本当にいいのか? これから厳しい未来が待っているかもしれないよ」


「いい、それほどのことは私はしてきた、どんなことでも受け入れて謝る、それが……私の贖罪」


「そう、か」


 その言葉を聞くとショウは連れていかれたアイラとエリザベスを取り戻すため走り出した。


 錆びれたドアを開けるとアイラとエリザベスの手足を拘束している男がいた。


「さあ私のかわいい玩具たち楽しませておくれ」


「やめろ!」


 するとショウをみたアイラの顔が安堵の表情を浮かべていた。


「なに!? お前あの殺人鬼はどうした!? どうやってここまで……、まさか! 殺したというのか」


「二人を救うためだ、自分の手が汚れるのは仕方がない」


「お前も案外こちら側かもしれないな、なら玩具で遊ぶ前にお前は私が殺すとしよう。」


 男は杖を取り出すため背中に手をまわした。その隙をついてショウは魔法を放った。


「フラッシュ!」


「光魔法の初級段階などこの私に効くとでも?」


「どうかな」


 すると目に張張はっていた防御魔法を貫通し男は目をおさえた。


「ぐ、ああああああ、目が、なぜ初級魔法でこれほどの……」


 その隙にアイラ達の拘束を解いた。


「ありがとうショウ! とっても怖かった」


 するとアイラはものすごい勢いで抱き着いてきた、今まで僕っ子で女の子としてあまり意識はしていなかったが改めて彼女のあたる感触で女の子であると思い知らされた。


「くっ、貴様ら、よくもこの私に……、初級魔法などというもので……殺す、絶対に生かしてはおかない」


「よくも不意打ちなんてことしてくれたね、生かしてはおくけどただではすまさないよ!」


「貴様ごとき小娘に何ができる」


 すると男は巨大な炎の玉を一瞬で作り出しこちらに放ってきた。

 しかし、アイラの重力魔法ですぐに地面にたたき落とし、男は自分の魔法の威力で吹き飛ばされた。


「こんなことができるんだよーだ」


 アイラは挑発するように舌を出した。


「き、さま、」


「ならばここらいったいすべて吹き飛ばしてやろう」


「え? そんな魔法聞いたことがない……、でもあの表情……本気の目だ、止めなくちゃ」


 すると杖を天にかかげ詠唱し始めた、しかし、唱え始めた瞬間杖と右手が地面に転がった。


「?? どうしてわたしの右腕が地面に転がっている……?」


 何かに気づき後ろの影に目をやった。


「アイラ重力であいつの動きを止めてもらえる? 今なら抵抗できないっはずだから」


「え? う、うん、グラビティ!」


「ぐっ、貴様、さっきあいつに殺されたと……それになぜわたしの腕を」


「わたしは罪を償うことにした」


 影の中からさっき分かれた女の子が出てきた。


「え? あの子ってショウのこと狙っていた……」


「大丈夫。彼女はもう誰も殺したりしない」


 ショウは不安そうな顔をしているアイラをなだめる。

 当然だ、さっきまであの男とともにいた子が仲間だった男の腕を切り落としたんだ。困惑するのも無理はない。


「貴様、裏切ったのか! クソっ、動けない、小娘ぇ! この魔法をとけ! さもないと貴様ら全員皆殺しにするぞ!」


「ありがとう、えっと名前は?」


「……(きょう)


「ありがとう響、こっちはアイラ、そしてあっちで寝てるのはエリザベス」


「知ってる」


「あ、あのよろしく」


「私のせいでひどい目にあわせてごめんなさい、罰なら何でも甘んじて受けるから何でも言って」


「え? い、いいよ罰なんて、私けがとかなんもしてないし、それに助けてくれたからチャラだよチャラ!」


「ありがとう」


 申し訳なさそうに謝る響にアイラは相変わらずの笑顔でかえした、このなんだか安心する感じはアイラの最大の魅力だとショウは思った。


 それからあの男は警備隊に拘束され王都の一番警備が厳重な牢屋にいれられた、あとで判明したが女の子を誘拐することで指名手配されていたヴォルデ・エリックという男だった。


 響は過去があるため流石に今の状態では隠れてもらいあとで対策をたてることにした。魔法祭はと言うとアイラ、エリザベス、ショウの三人は制限時間ギリギリに間に合い勝利をおさめ。無事あの忌々しい士郎をボコボコにし魔法祭は優勝することができた。


 エリザベスに関してはとらわれている間の記憶はなく、自分がまだ精神支配の魔法にかかっていたことを聞くとまた落ち込んでいた。精神支配の魔法を解除してもらうとエリザベスは謝ってきた、ショウは謝る必要はないといっても聞かなかったのでご飯をおごってもらうということで話しをつけた。


こうして無事殺されず、ハーレムを築き上げる計画はなおも進行中である。



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