第二十七話 開催と嫌な予感
そして魔法祭当日。
「それでは第1021回魔法祭を開始する! みな存分に楽しめ! 以上だ!」
「おおおー!」 「やるぞー!」 「今年こそは勝つ!」
闘技場に全生徒があつまり、アリシア校長の話が終わると歓声が響き渡った。
「なぁなぁ、ショウ、アリシア校長の胸を見てみろよあの豊満に実った果実……ああ、俺いつかあの果実を食べてみたいなあ」
「そ、そんなこと言ってんな相手は校長だぞ?」
「だからいいんだろ? 禁断の恋、燃えるぜ」
「……」
クラスメイトのキモい発言を聞き、不覚にも果実に目がいってしまった。確かにすごい俺はあんなものに挟まれていたのか……
「ははあん、お前も今考えていただろう、あの豊満な果実に挟まれてみたいと……」
「うるさい」
と顔を赤く鼻をのばしていると、隣のクラスからすごい勢いでこちらに迫ってくる影がある。
「な、なんだありゃあ、こっちに来るぞ!」
『ふが! ふが! 果実!? どこだ! どこにあるぅぅぅぅぅ!!』
『トンキーが暴走したぞぉぉぉぉぉぉ!!』
「ん? トンキー? トンキーってまさか……」
「お、おいおいおいちょっとまて止まれ止まれ止まれぇぇぇぇぇ!! ぷぎゃああ」
するとさっきまでゲスな事を言っていた罰が当たったのかクラスメイトは巨大な物体に体当たりされ吹っ飛んだ。
クラスメイトを吹っ飛ばしショウの目の前で止まると、こっちを向き睨みつけた。
「果物はどこだぁぁぁぁぁぁ、隠しても無駄だぞ、俺はしっかりこの耳でお前らが果実っていうのをきいていたんだからなぁ」
「と、トンキー!? 他クラスの異世界人って君だったの!?」
「ん? お前はショウか!?」
「そ、そうだよ、トンキーもこの学校だったんだね」
「ああ、そんなことよりも果物を隠すなら例えショウだろうと容赦しないぞ……」
「く、果物なんて持ってないんだ」
「嘘をつくな! おれは確かに聞いたぞ!」
「嘘じゃ……、あっ! あっちに転がっている奴が隠し持っているから問い詰めればくれるかもしれないぞ!」
悪いな、クラスメイトAお前の犠牲は無駄にはしない……
「お前かぁぁぁぁぁぁー!」
すると吹っ飛ばされたクラスメイトの胸ぐらをつかみ揺らしまくっている。
「ふぎゃ、ほぎゃ、や、やめ、果物なんてもってな……」
「うそつけぇぇぇぇぇ!」
さらに激しく振り回し始めた。
「まさかトンキーまでこの学校にいるなんて、あいつは一体どんな魔法を使うのだろうか……、取り合えずあいつの前では食べ物のことは禁句だな」
「あ、ショウー! いたいた」
「アイラ? どうしたの? 団体魔はまだまだ先だよね?」
「うん、エリザベスが対戦相手の人がどんな魔法を使うのか三人で見て対策をたてようって!」
「そ、そうだね、確かに何も知らないまま戦うには危険だしね」
「うん! じゃあ行こー」
観客席につくとエリザベスの姿はなかった。
「あれ? エリザベスは?」
「あれ? おかしいなぁ、さっきはここで待ってるって言ってたのに、トイレにでも行ったのかなぁ~」
あのエリザベスが何も言わずに待ち合わせの場所から離れるか……?
「ちょっと俺そこらへん見てくるよ!」
「分かったぁ~、トイレかもしれないからあんまり遠くまで探しに行かないでね~」
「うん」
そう言うとなにか嫌な予感がし、探す足取りがいつの間にか早歩きから駆け足になっていた。
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