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第二十六話  魔法祭と前日

 それから一週間何事もなく時が過ぎ遂に魔法祭前日まで来た。


「じゃあショウいくよ!」


「わかった」


 魔法祭は団体で魔法を披露する魔法美、数人のグループで魔を競う集団魔、それぞれのクラス代表が一対一で競う個人魔に分かれて行う。


 俺とアイラとエリザベスの三人は集団魔の連携練習として同じクラスの人たちと3対3の演習をしていた。


「エリザベス! 前!」


「え? きゃぁぁぁ!」


 ボーっとしていたエリザベスの足元に火の玉が当たり吹き飛ばされた。


「エリィ大丈夫!?」


「え、ええ、ごめんなさい、ボーっとしてて……」


「いいよ、いいよ、じゃあ休憩にしようか! ね、ショウ!」


「え、あ、うん」


 ここ最近エリザベスがボーっとしていることが多くなった。操られた後ぐらいからだろうか


「エリザベス大丈夫? 最近ボーっとしていることが多いけど何か悩み事でもあるの? あるなら聞くよ?」


「い、いえ、特に悩みという悩みはないのですけれど、気づいたらボーっとしていますの」


「そうなの? それって一回ちゃんと誰かに見てもらった方がいいんじゃない?」


「そ、そうですわね、魔法祭が終わったら見せに行ってみますわ」


「うん」


 飲み物を取りに荷物を置いているところに戻るとアイラも飲み物を飲んでいた。


「あ、ショウも飲み物のみに来たの?」


「う、うん」


「そっか~、そういえばエリィと話してたけど何か悩み事でもあるって?」


「え?」


「だってエリィのことチラチラ見て気にしてたし、エリィのところ行くんじゃないかなって」


 天然そうに見えて案外周りをしっかりとみていることに驚いた。


「あ、う、うん、特に悩み事はないみたいだけど、殺人鬼に操られてからボーっとすることが多くなったみたい」


「え? それって脳とかに負担がかかってやばかったってことじゃない!? すぐ専門の人に見せに行った方がいいよ!」


「俺もそういったんだけど、魔法祭が終わった後に行くって言ってたよ」


「そ、そうか~、心配だな……」


「俺たちがエリザベスに負担をかけないように頑張って援護しよう!」


 するとアイラは少し考えるようなしぐさを取った後、納得したように言った。


「うん! そだね! 私だけでも相手をボコボコにできるようになっちゃおう!」


 かわいい顔してとんでもないことを言ったな……


 それから俺とアイラは学校でのセーラとの特訓、学校での練習に加えてアイラと放課後秘密の特訓をし始めた。


「ふう、今日はこれくらいで終わろう、ショウの体力ももう限界でしょ?」


「そ、そうだね……ちょっと死にそうかも」


「死にそう!? 思ったよりやばそう!?」


「ふああああ」


 地面にへばりついて動けなくなったショウを心配そうに見つめるアイラ


「大丈夫?」


「冷たっ!」


「良かった、まだ元気はあるみたいだね!」


 これは……ゲームに出てくる女子マネとのシチュエーションにそっくりじゃないか!


「うひ、うひひひひ」


「え、どうしたのショウ……なんかすごく気持ち悪いよ……」


「え? あ、ごめん何でもない」


 もうこれは完全に癖になっているな、いつか重要なことをうっかり口に出してしまいそうで心配だ……


「それじゃあ、わたしはもう時間も遅いから帰るね!」


「あ、うんまた明日」


「じゃあねー!」


 なんか俺毎日訓練ばっかで青春してなくね……?

 


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