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第二十五話  面影と宣言

 そしてホームルームが終わり闘技場へ向かうショウの後ろからエリザベスが話しかけてきた。


「ショウ!」


「エリザベス……?」


「私にもなにか手伝えることはない?」


「いや特に大丈夫だけど、どうしたの?」


「他の人は気づかなかったかもしれないけど、ショウあの時どこか思いつめたような目をしていましたわ。だから力になれることがあれば私も何か……」


 あー、それはセーラの過去のことが気になっていただけで別に思い詰めていたわけじゃあないんだよな……


「それはちょっと考え事をしていただけで特に思い詰めていたわけじゃないんだ、心配してくれてありがとう」


「そ、そうですの……何か助けがいることになったらいつでも頼ってくれてもいいですわよ」


「ありがとう、じゃあ訓練があるからもう行くよ」


「ええ……」


 どうしたんだろう、俺よりもよっぽどうかない顔をしていたようにも見えるけど……


「おっと今は訓練訓練っと、まじめにやらないと次こそ絶対やられるからな」


 闘技場に着くと、セーラが一人特訓していた。その姿は前に見た蝶のような動きとはまるで違く、今はまるで怒りをあらわにした猛獣のように激しい。


 しばらくその姿を眺めているとこちらに気づきこっちに来るよう目配せしてきた。


「来てるなら声くらいかけえなさいよ」


「つい見とれちゃって……」


「はぁ、あなた危機感ってものはないの?……」


「すいません」


「もういいわ、さっそく始めるわよ」


「はい……」


 それから二時間休憩無しで魔法系の特訓をしていた。


「そう、一点に魔力を集めるイメージよ、凝縮できたら後は放つだけ」


「くっ、この、一点に集めて……うわっ!」


 すると一点に集めた魔力が弾けて吹き飛ばされた。


「凝縮した瞬間に気を抜いたらダメよ、むしろそのあとのほうが重要なんだから油断しない!」


「ちょ、も、もう休憩にしようよ、限界……」


 地面に倒れこみ懇願すると流石にセーラも疲れたのかようやく休憩になった。


「大分よくなってきたわよ、この調子でいけば魔法を極められるのも時間の問題ね」


「あの、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」


「? なに?」


「もしかしてセーラは誰かと俺を重ねてない?」


「!!」


「幼い頃に異世界から来た人に命を助けられて家族のようになついてた人がいたって聞いたよ」


「どこでそれを……」


「アリシア校長から聞いたよ、君を守って命を落としたって」


「姉さん……余計な事を……」


「これだけは言っておきたいから言うよ」


「……」


「俺は絶対死なない、目的があるから」


「目的?」


「ハーレ……ううん! 折角能力をもらったんだからみんなを守るために使いたい」


「そう……立派な目的ね、確かに私には命の恩人がいたしその人とあなたを重ねていたかも知れない」


 っぶねーーー! 危うくこのシリアスな空気の中ハーレム宣言するところだった


「そ、そうか」


「でもあなたに死んでほしくないのは紛れもない気持ちよ、そこは大切だった人と重なっているからとかじゃなく本心よ」


「う、うん。俺はずっと一緒にいるから安心して」


「ずず、ずっと!? そ、それってけ、けっこ」


 ?? はっ、『結構!?』俺みたいなやつとは金輪際一緒に居たくないという……


「そ、それじゃあ訓練の続き始めよ……」


「え? あ、ええ分かったわ」


 




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