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第二十三話  花と花

『ん、んんん~、息苦しい~!』


 目を覚ますと何か柔らかいものに挟まれている。


「なんだ? これ」


『ムニュ』


「あんっ」


 !?


「な、ななな、なんで?」


 よく見ると目の前にたわわに実った果物に挟まれていた。


「ん、どうした? 眠れないのか?」


 な、なな何がどうなっているんだ……


 そうだ、思い出してきた! 確か殺人鬼に襲われて宿がなくなって泊まるところを探していたんだ、それでアリシア校長が現れたんだ!


___________________________________________


「「「す、隅々……!?」」」


「ちょ、ちょっと待って姉さんそれってどういうこと?」


「どういうことも何もこいつの*・*・*も見たからいまさら恥ずかしがる必要はないって言ってるんだ」


「「「がっっ!!」」」


 三人は口を開けたまま氷像のように固まった。


「ちょ、校長! 誤解を招くようなことは……」


「ええい、うるさい! お前は寝ていろ!」


『ドスッ!』


 鋭い手刀が首に直撃し意識を失った。

________________________


 そうだ校長に気絶させられて……


「アリシア校長これは流石にまずいですって……」


 って全裸!? 年齢=彼女いない歴のこの俺にこんな美人の裸は……だ、だれか助けて……


「明日も学校だろ? 夜更かししてたら起きれなくなるぞ?」


 そういうと果物に再び挟み込まれた。


 やばい! 頭がおかしくなりそうだ……


「で、でもこの状態は……」


「いいからいいから」


 この人のキャラクターが全然わからない! ある時は強気、ある時はめんどくさがり、そして今回は優しい……このままこの中で……


「いいわけないでしょおおおおお!!」


 勢いよくドアが開き電気がついた。


 セーラ!?


「なんだぁセーラこんな夜遅くに」


「なんだはこっちのセリフよ! なんで裸で一緒のベッドで寝てるのよ」


「これはショウに結界を張って寝てるときに殺されないようにしてるんだよ」


「それなら一緒に寝る必要もないでしょ?」


「近づいた方が効果が出るんだよぉ」


「言い訳無用! ショウは私の部屋で寝ますから」


「はいはい」


「来なさい!」


「え、あ、はい」


部屋を出て長い廊下に出た。


「あなたもあなたよ! 起きてるならさっさと離れなさい!」


「はい……」


『ガチャッ』


「ここよ」


「あの、結局これはこれで女の子の部屋で寝るのと変わらないんですが……」


「仕方ないでしょ! 一人部屋にしてもいいけど姉さんが忍び込むでしょ?」


「確かに」


「わかったらさっさと寝なさい、変なことしたら殺人鬼の手間が省けることになるわよ」


「しない! しない!」


「それでいいのよ」


「そういえばさっき結界がどうとか言ってたけどどういうこと?」


「ああ、それはね、姉さんは特殊で属性適正がない代わりに結界という守護壁をはれるの」


「そうなのか、すごいね」


 適正属性が無くて結界がはれるってどこの異世界人ですか? 俺よりも異世界っぽいんですけど……


「ええ」


 床に敷かれた布団にくるまり疲れからか先ほどの話を一通りすると二人とも寝てしまった。


「は~あ」


 大きな口を開け頭が回るまでしばらくぼーっとしているとしよう。


「はやく顔洗いなさい! 朝食もできてるわよ」


 !? エプロン姿のセーラが出てきた、普段は気高い雰囲気を放っているセーラがエプロン姿になるとギャップ萌えも相まってつい見とれてしまった。


「綺麗だ……」


「な、なななな何を言ってるの! はやく顔を洗ってきなさい!」


 しまった、また口に出ていた……、完全にキモイナンパ野郎じゃん、でもつい口に出してしまうほどの可愛さだったなぁ。


「今日はどうすればいいの?」


「いつも通り私とみっちり訓練よ」


「わ、わーい……」

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