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第十八話  再会と実力

「あ、こっちきた」


 アイラがそういい振り向いてみると、銀髪に真紅の瞳をした見覚えのある子がそこにいた。


「久しぶり、また会ったわね」


「どうして……」


 そう、彼女は俺が異世界(ここ)に来て間もない頃、モンスターの群れに木の棒一本で戦い死にかけたところを助けてもらったのだ。


「どうしてって、私もこの学校に通っているし、それに姉にあなたに魔法の戦闘について教えてくれって頼まれたから」


「あ、ああ、姉ってまさか校長が!?」


「ねえねえショウ~この人誰? お友達?」


「私も同じ質問ですわ」


 エリザベス!? なんか顔が怖い……


「ああ、この人は」


「初めまして、私はセーラ・エイプリル。ショウとはモンスターの群れに木の棒一本で挑んで返り討ちにあっているところを見かけて助けたって仲よ」


「「木の棒一本!?」」


「あ、あなた相当お馬鹿さんですのね……」


「い、いやあの時はまだこっちに来たばかりで……」


「それにしても無謀すぎだよ~」


 くっ、自分のバカさ加減に腹が立つ


 ほかのクラスメイト達が一斉に質問を開始した。


「ねえねえ、お姉さんが校長先生って本当?」 「さっきモンスターの群れから助けたって言ってたけどまさか一人で?」 「彼氏いますかー?」


 一気に質問攻めされ、セーラも困っているようだ。って今変な質問聞こえたぞー


「その話はま、また今度ね、姉からショウに魔法戦闘について教えるよう頼まれてるの」


「そうか~残念」 「でもショウが強くなれば魔法祭の勝率も上がるし」 「そ、そうだな」 「ちっ」


 おい、今明らか誰か舌打ちしろ……


「じゃあ、行きましょうか」


「行くってどこへ?」


「もちろん、演習場よ」


「今から?」


「今から」


「え、ニートの俺にはいきなり運動はつらい。もう少したってから来るとおもってちょっと走り込みでもしようかと思ったのに」


「残念ね、そんな時間はなかったようね。それに……」


 すると周りに聞こえないような声で


「それに一人で走っている最中に暗殺されるかもしれないしね」


 ウインクしながらとてつもないこと言いやがった……、まあ正論だけど


 そして、流されるまま演習場まで連れていかれるとそこには校内とは思えないほどの広さのもはや闘技場があった。


「じゃあ、まずはあなたの実力を見るわ」


「は、はい」


「それじゃあまずは脚力でも見たいわ、ちょっとそこの端から端まで全力で走ってみてくれる?」


「え?」


「え?」


 いやいやいや端から端までって、二百メートルくらいはあるぞ、五十メートルでヘトヘトになる俺に二百メートルも走れと?


「無理です」


「どうして?」


「自分は五十メートルまでしか全力で走れません。」


「え……」


 やめてっ! そんな目で俺を見ないで! 俺だって走れるなら走りたいよ……


「そ、そう、なるほど分かったわ。じゃあ筋力でも見ましょうか、腕立て伏せを限界までやってみて頂戴」


「そ、それなら」


 腕を肩幅くらいに開き、体を下すときに息を吸う、そして上げるときに息を吐く。顔は前を見据える!

 ふっ何を隠そう家では少し筋トレをしていたのだ。これくらいのことなら余裕で知っている


「おっ、なかなかいい形じゃない、これなら期待できそうね」


 では参る。



「いーーーーーーち、にーーーーーーーーい、さーーーーーーん、よーーーーーーん、ごーーふあああもうダメ限界」


「え……?」


「え?」


「も、もう終わり?」


「え? はい今回はそうですね過去最高記録とまではいかなくても過去二番目くらいは出せましたかね」


「最高記録は?」


「7回ですね。」ドヤァ


「はあ」


「どうです? すごいでしょ?」


「どこが? 想像以上にできなさすぎて驚いたわ……」


 そ、そんなフォームは完璧に見本通り再現したはず……


「形はよくても肝心の筋力がまるでないようね」


 がっ、その瞬間ショウの心の中に冷たい風が吹き抜けた。


 そしてまるですべて終わったかのような瞳で近くを見ているようでどこか遠くを見ているようだった。


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