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第十五話  泊まりと衝撃

「ん、ここはどこだ?」



 暗い、真っ暗で何も見えない。

 体の上には薄い布のようなものが被さっている。

 すると急に当たりが明るくなった。

 どうやら特殊な魔法石のようで、人の動きを感知して自動的に明かりを灯すようだ。



「教科書に書いてあった、偉い俺、ちゃんと勉強きてるな。」


 そんな独り言を呟いていると、横から聞き慣れた声が聞こえてきた。



「あら、起きましたの」

「エリザベス……さん?」

「え、ええ」

「ここは……どこですか?」

「私の部屋ですわ」

「そうです……………ん!?」



…………




 俺はどうやら一時間くすぐりの刑を受けて気絶したらしい。

 思い出すと体がブルリと震えた、くすぐりがあんなにおぞましいことだとは思いもしなかった。

 もう調子に乗るのはやめよう……



 するとエリザベスが口を開いた。



「あのままにしておくのが悪いと思って連れてきたのですわ」

「そ、そうですか。なら一時間もやらなければ……」

「あなたのしたことを忘れたのかしら?」

「いえ、忘れておりません。その節は申し訳ございませんでした」

「わかればよろしい」



 エリザベスは納得したようにフンッっと言って横を向いた。

 これが世に言うツンデレーションか。


 とそんなことよりもあまり長くいても邪魔だな。

 帰るか……。


 そう思い立ち上がろうとするとエリザベスが制服の袖をつまんだ。



「ま、待ちなさい、もう夜遅いわ。と、泊まっていっても良いですわよ?」

「と、泊まる!?」

「か、勘違いしないでくださる? もう遅いから危ないと思っただけですわ!」



 しかし女の子の部屋に泊まるのはいささか問題が……。

 そういえば殺人鬼が俺を狙っているって……。


 いやいやいいのか!? 言い分けないだろ! もし、万が一にも間違いがあったらどうする!


 よし、そうと決まれば俺がとるべき行動は一つだけだ。













「 ……じゃ、じゃあお言葉に甘えて泊まっていこうかな……」

「そうするといいわ」

「「……」」











 ……しょうがないじゃん……俺だって男の子だもん……






「変なことしたら殺しますわよ!」

「し、しないよ、それよりシャワーかりてもいい?」

「ええいいわよ、わたしはもう入りましたから」

「あ、ありがとうございます」

「なぜ敬語……?」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 シャワーを頭からかぶりながら今後の対策を考えてみる。

 

 対策といっても今わかっていることは少ない、まぁそれでも一応整理しておこう。






 1.まずはこの剣、この剣は自称か……じゃなかった、神様との唯一の通信手段らしい。しかしこちら側から連絡することはできない。


 2.あの神様は天使セシル様のパンツを召喚することができる。


 3.異世界人を狙う殺人鬼がこの世界にいるということ。


 4.殺人鬼の次のターゲットはなぜか俺だということ。


 5.その殺人鬼は不老不死の薬を飲んで無敵だということ。




 整理してみると現状がどれだけ詰んでいるのか一目瞭然だ。


 はぁ……それに関しては用心するしかないな……



 ……



「それよりも今俺は女の子の部屋でシャワーを浴びている! そしてエリザベスはもうシャワーをすましている。ということはつまり!」



「聞こえてますわよ!」

「ひゃい! エ、エリザベス!? どうしてそこに!」



「タオルをおきに来たら、あなたが独り言を言ってるのが聞こえてきましたのよ! タオルはここに置いときますから変なこと考えてないでさっさとあがって寝ますわよ!」


 頭の中で考えているつもりが口に出してしまっていたのか……気をつけなければ。


「はい」


 さっきまで動揺して気づかなかったがエリザベスはピンク色の生地に白の水玉模様のパジャマを着ていた。



「やっと出てきましたの、あなたの布団は隣の部屋に敷いときましたわ」

「かわいい……」


 うっかり本音が口から滑り出してしまった。


「な、なにを馬鹿なことを言っていますの! さっさと寝ますわよ!」

「は、はい」

「おやすみなさい」


 エリザベスが小さい声で恥ずかしそうに言ったのが聞こえてきた。


「お、おやすみなさい」


 俺も女の子におやすみなさいなんていったことがなく、恥ずかしくなってそそくさと隣の部屋に移動した。


 隣の部屋に行き、あたりを見回してすぐに横になり電気を消して、目を閉じた。

 いつもは体感時間で言うと三十分くらい瞼の裏側を眺めているのだが、今日はすぐに深い眠りについた。














 苦しい。


 


 


 ふとそんな言葉が脳裏に浮かんだ。



 なにかに首を絞めつけられているかのような……。

 体も思うように動かない……。

 これが金縛りというやつなのだろうか。


 初めて経験する金縛りの苦しさに、夢見気分でゆっくりと目を覚ました。


 「!」


 何者かが俺に覆いかぶさって本当に首を絞めていた。



「あっ、がは」


 俺は必死に首に絡まる細い腕を振り払おうともがいた。

 身動きがとれず手と足を闇雲に振っていると照明のひもに手が引っ掛かった。

 辺り包む光が首を絞めている人物を照らした。


 そこにはついさっきまで可愛らしい笑顔を見せていた金髪の女の子がいた。


「エ、エリザべ……」


 

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