第十二話 発見と光
あれから俺達は、武器庫に戻りまた自分に合う武器探しを続けている。
「じゃあそろそろ私たちは授業に戻るね~」
「あ、手伝ってくれてありがとう」
そろそろ昼休みが終わりを迎え実技の時間だ。
二人にはなんだかんだ言って手伝わせてしまっている、今度何かお礼をしなくてはいけないだろう。
「友達なんだから当たり前だよ!」
「ま、まああなた一人では一生かかっても見つからないでしょうしね!」
と、友達か……、照れくさいな
「じゃ~」
そういうとアイラ達は重たそうにドアを開け去っていった。
「てかこれ見つからなかったらどうするんだろう……、もしかして才能無いから退学とか!?」
退学させられたらどうするか……
この街には確か冒険者ギルドがあるって聞いたし、もしそうなったら冒険者にでもなるか。
ま、できるなら退学なんてしたくないし頑張りますか!
---------数時間後ーーーーーーーーー
「お~い、どうだ~? 見つかったか~?」
ステイン先生が様子を見に来たようだ。
「んヴぁ~~~~~~~~~」
「うおっ! どうしたショウ! 前々から少しバカっぽいとは思っていたけどついに頭がおかしくなったか!」
なんだこいつ、今前々からバカっぽいとか教師にあるまじき発言をしなかったか?
「もう無理ですよ~、ここどんだけ武器あるんですか~、いくら探してもこれじゃあ見つからないですよ」
「そうだなぁ~、確かにこの膨大な武器の中から自分に合う武器探せって言われても無理があるか……」
「はい……」
「「・・・」」
「あ、そうだ、確かその本に、その時はむしゃくしゃしていて魔法で適当に街をぶっ壊そうとしたそうだ、魔法使えないけど。ショウも魔法を使おうとしてみればいいんじゃないか?」
そういうの先に言えよ……
ていうかそいつ本当に英雄なのか!? 街ぶっ壊そうとしたってただの悪党じゃん!
「じゃあ、取り合えず、聖なる光の化身よ、悪を断ち切る光を、フラッシュライトッ!」
相変わらずショウからは魔法が出る気配がない。すると武器棚の端の方から強い光が生じた。
「お、おいショウあれ! あっちで光ってるぞ!」
「まさか本当に光るとは……」
俺と先生は武器が置いてる棚に向かった
「「…………」」
「え?こ、これか?」
そこには先ほどアイラが床を引きずりながら持ってきた、そこら中錆びだらけの鉄の塊があった。
それは鉄の長柄の先端に四角形の鉄の塊が付き、棘がびっしりがついている。いくつかの棘は錆びれて取れてしまったのだろうか、所々棘が無い部分がある……
持つところもかけて持ち主を傷つけてしまいそうな武器だ。
「こんなのどうやって使うんですか……」
その鉄の塊は明らかに人間用の武器ではない。
これじゃあ使えないよ……、はぁ、これで俺も晴れて冒険者の仲間入りだ。
と半ば諦めかけた時、ステイン先生が何かに気づいた。
「いや待て、光はこの後ろから出てるぞ!」
「え?」
本当だ、大きな鉄の塊の後ろに短剣が光り輝いている。あまりの光の強さに短剣自体が消えて鉄の塊が光っているように見えたのだ、輝きが弱まった今だからようやく気付けたのだろう。
「思ったより小さい剣だな」
先生がそう言っているのを横目に剣を手に取ってみると光がおさまった。
その剣はナイフのような短剣だ。柄には六芒星の魔法陣が描かれ、刀身は翡翠色で見惚れてしまうほど綺麗な色をしている。
「これがあれば魔法が使えるのか……」
「な、なにか変わったことはあるか?」
変わった所と言っても……
なんかやけに手になじんでいる以外特には何も感じないが
「い、いえ特には……」
「そ、それじゃあ魔法使ってみろもしかしたら使えるかもしれんぞ!」
そうだな……
ここまでは先生が読んだっていう本のまんまだ、それなら俺は魔法が使えるようになるはず
「じゃ、じゃあいきますよ」
「お、おう、念のためにサングラスかけておくわ、目がやられても困るしな」
サングラス……? 妙に準備がいいな、まあいいか
俺は唱え慣れた呪文を噛むことなく詠唱した。
唱えて成功することは無かったが、この魔法で何回も恥をかかされたからいつの間にか覚えてしまっていた。
「聖なる光の化身よ、悪を断ち切る光を、」
「フラッシュライト!」
すると一瞬で体育館一個分はあるこの武器庫が光で包まれた。
「め、目がぁぁぁぁぁぁ! サングラスが全然効かない~!」
ステイン先生の叫び声が聞こえた瞬間気づくと真っ白な部屋にいた。
辺りを見回すとドアが一つついていることに気がついた。