第九話 友達と力試し
席に着くと同時にクラス中の生徒が押し寄せ質問攻めにされた。
ステイン先生「こら!いまは授業の最中だぞ席に戻れ、質問は後にしろ。」
答える間もなく生徒達は席に戻った。するとさっき大きく手を振って読んでいたボーイッシュな子が後ろを向き話しかけてきた。
???「やあやあ、僕の名前はアイラ・ジェーン! アイラって呼んでよ!」
「よ、よろしくお願いします、アイラさん」
い、いきなりクラスメイトとの会話が女の子か……緊張する
アイラ「で、こっちの澄ました顔したお嬢様がエリザベス・アグナウェル! 僕はエリィって呼んでるから君もそうしなよ。」
金髪で姿勢がとても良く漂う雰囲気はまるでお嬢様みたいだ。
いやいやいや、アイラならそのままだからともかくエリィなんて中高ボッチだった俺にはハードルが高すぎる……でも無視してエリザベスと呼ぶのもアイラに失礼か
「よろしくお願いします、え、エリィ……さん」
恥ずかしい。今すぐに帰りたい。
エリザベス「気安くそのような呼び方で呼ばないでくださる? 私にはエリザベスという立派な名前がございますの。」
終わった。出だしから機嫌を損なってしまうなんて……これで俺の学校生活はボッチルートまっしっぐらだ
「まあまあ、今のは僕の冗談がいけないんだからそう機嫌を損なわないでくれよエリザベス~、ほらショウも泣きそうな顔してこっちを見てるよ」
「べ、別に怒っているわけではなくて初対面の相手にいきなり名前を省略するのは失礼だと!」
「お、おれだって泣きそうな顔はしてませんよ!」
「そこ! うるさいですよ」
「「はい」」
俺とエリザベスは同時に返事をした。
「おっ二人とも息ぴったりじゃん、うらやましいな~」
「違っ、それは……」
エリザベスは顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
*******
この学校は午前中に魔法、歴史などの勉強を行い、午後に実際に魔法を使う訓練をするようだ。
「よし、今日はショウにとっては初めての訓練だ、いい機会だからみんなの実力を測るテストを行う。」
は~、ここに来た時にも思ったけど、何から何まで建物がでかくて広い。
前の世界の学校の校庭の二倍はあり、弓道に使ったりする的がたくさん並んでいる。そして地面には巨大な魔法陣が描かれている。
俺はなんとか開始ボッチルートを避けアイラ、エリザベスと一緒に行動することが多くなった。しかし、未だに女性恐怖症は治っておらず、俺がこの世界に来て出会った人たちが表裏の無い人しかいないから今のところなんとかなっているが会話の時には無意識に敬語を使ってしまう……
…………どうしたものか
とりま嫌われないようにやるっぺ、おらがんばるだ。
「魔法かこっちに来てまだつかったことがないからできるか不安だな……」
「大丈夫だよ~、異世界から来た人は大体魔法適正は高いんだ」
「できない人もごく稀にあるそうよ」
何か嫌な予感がした。
こういう時には失敗するのがセオリーだ。
いやまさかね、俺も一応は異世界転移者だからね! イレギュラーだけどそれは無いよな、うん。
「エリザベスは何でそういうことを言うかなぁ~、せっかくショウが緊張しないようにがんばったのに~」
「わ、私は別に事実を言ったまでよ」
「そうだけど~」
「ちなみに二人は魔法どのくらいできるんですか?」
「ん~、僕は普通かな。 重力系の魔法が少し得意ってくらい」
え? 重力って十分すごい魔法じゃなかったっけ
「私は水と炎系が得意ですわ。」
え?正反対の属性をどっちもつかえるなんてすごいんじゃないの?
「二人ってすごいんですね……」
「そ、そんなことないよ、ショウのほうができるはずだよ」
「ま、まあ期待してますわ」
そしてついに俺の順番が回ってきた。そして予想通りの結果になった。




