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第一話  日常とトラウマ

  異世界



 それは自分が現在生活をしている世界とは異なる世界。

 この異世界に行く方法は何種類かある。




1 異世界転生・・・自分が生きている世界で死を迎えることで、異世界で生まれ変わりまた新しい人生をやり直すというものだ。

  



2 異世界召喚・・・ありふれた生活の中である日突然気づいたら違う世界にいたというのがそうである。この場合異世界にあたる場所の誰かが意図的に召喚したことになる。





3  ????・・・転生したわけでもなく召喚されたわけでもないのになぜか異世界にきてしまった





 2050年現在、異世界生活はありふれている。理論は説明されてはいないがそういう事象が存在することは確認されている。



実際に俺の高校の時の友達だった中沢が異世界召喚される瞬間を見た。



この他にもうちの高校では数人の生徒が異世界召喚だの転生だのが目撃されているそうだ、ありふれているといっても一つの高校で複数人が異世界に行くのは珍しくテレビや新聞でも取り上げられた。



だからいつか俺も異世界にいけるのではないかとワクワクしていたが、結局その転機が訪れることもなく大学入学まで一ヶ月をきった。



 「お兄ちゃんスーツ似合わな!」


 こいつは俺の妹のなるみ、黒髪ショートボブで顔は整っている、身長は165くらいだろうか性格はあれだが成績優秀、運動神経抜群、容姿も多分クラスの女子と比べたら上位に入るはずだ。こいつは本当に俺の妹なのかいつも疑問に思っているぐらいだ。



「うっさい!」


「それよりなんでお前ついてきてんだよ・・・友達と買い物行くんじゃなかったのかよ」


「べ、べつにいいじゃない お兄ちゃんのスーツ姿を笑ってやろうと思ったのよ!」


 …………おそらく友達との約束が中止になってこっちへ来たのだろう。


「あら、案外似合ってるじゃない、ネクタイはそうねー、この色がいいんじゃないかしら」


 と母の絵里加は青色で白のストライプが入ったネクタイを差し出した。


「お、なかなかいいじゃん」


 母は服などを選ぶのがとても速い、そのくせ妙にセンスが良いので頼りになる


「まあまあじゃない」


 うるさい妹よ、お前は口を出すさなくてよい。

 妹はいつも俺にふざけた服を着させようとしてくる、本人は絶対似合うといっているがセンスは最悪。


「じゃあこれで決まりね、ママはお会計してくるからフードコートでアイスでも買って待ってなさい」


「「は~い」」


 俺と妹は帰る前にはここのフードコートでいつもアイスを食べてから帰るのだ。


 俺はチョコチップ、そして妹はカラフルな緑とピンクのマスカットバスケットを買い、そこらへんを見渡すが今日は日曜日なだけあって席はどこも空いていない。



「仕方ない、店の前で立ちながら食うか・・・」

「えー」



 不機嫌そうに店の前に立つと、突然ニヤニヤした表情に変わり、こちらを覗き込んできた。




「なんだよ気色悪い顔でこっち見んな」

「ふふ~んお兄ちゃんはついに大学生かぁ~」

「だからなんなんだよ・・・」

「べっつに~? 大学生になるのに彼女の一人や二人もできなかったな~なんて思っないよ~?」




 くっ、このやろう俺だって好きで彼女いない歴=年齢でいるわけではない、実を言うと俺は軽い女の子恐怖症なのである。



 この際だから、少し子供の頃の話をしよう。



 俺には小学5年生の頃好きな女の子がいた。


 その子の名前は美里、見た目はクラス内で断トツの可愛さであったが彼女はツンツンした性格だったため告白などはみんなためらっていたようだった


 勿論当時バカだった俺は一目見た瞬間、一目ぼれして告白した。


 振られた。


 急ぎ過ぎたというのもあった。今思えばもっと段階を踏んでからするべきだったのだろう。


 けれど、振られるというだけであればいつかは立ち直れるくらいの傷を負うくらいなのだが俺の場合振られ方が最悪なのは小学生でも分かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「美里ちゃん一目見たときから好きでした!」


「悪いけど私あんたみたいなお調子者一番嫌いなのよね。ていうか好きですだけって何?だから何?どうして欲しいの?」

    

「つ、つきあ」


「付き合ってくださいなんて言おうとしてるのなら答えは嫌よ。はぁー、わかったらさっさと消えて二度と話しかけないでくれる?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 この告白で俺は小学生ながらに心を砕かれた。


 それからクラスでは人気者の部類に入っていた俺は中学、高校と陰気な奴と呼ばれるほどクラスではいつもはじにいるようになった。


 単純に人が信じられなくなり、自然と他人と関わるのを避けるようになったのだ。



 この告白がなかったら俺は彼女もでき薔薇色の学校生活を送れていたのだろうか、悔やんでも悔やみきれない。


 もちろんこれは妹も知っていることである。



「うるせえ、第一お前だって高校生にもなってまだ彼氏できたことすらねえじゃねえか」



 なぜ妹はこの話がブーメランとしてかえってくることを考えなかったのか。



「! はぁ?お兄ちゃんと違って私の周りにいい男がいないだけだし!別に作ろうと思えば作れるし!」



 妹は感情が顔にでやすい、この顔は嘘をついている顔だ。



 ……本当に出来なかったんだろう。



 まぁできたとしてもうちの妹に手を出そうものならボコボコにして近づかせないようにはするが……



 こうして俺の日常は異世界になんて行くことなく過ぎていく。はずだった……

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