お嬢様は執事に恋をする
初めましてGAGUARと言います。初めての短編小説なのでかなり下手だと思いますが、精一杯書いたので読んで見てください。よろしくお願いします。
「ねえ、早くいらっしゃい!」
少女が広い庭を走り回る。
「待って下さいよー、お嬢様ー!」
少年は急いで少女を追いかける。
「もう、トールは遅いんだから!」
「はあ、はあ、レーネお嬢様が早いんですよ」
少年はなんとか少女に追いついた。
「もう!お嬢様は付けなくていいっていつも言っているでしょ!」
「そういう訳にいきませんよ。私はあなたの執事ですよ」
「私がいいって言ってるからいいの!」
「そう言われましても……」
「はあ〜、まあいいわ。今日はお嫁さんごっこをして遊ぶわよ!私が奥さんで、トールは旦那様ね!」
「分かりました」
二人はどうやらお嫁さんごっこを始めたようだ。
「ねえ、あなたお帰りなさい!」
「た、ただいま」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも……」
「ご飯で!ご飯でお願いします!」
トールは先の言葉を言わさせなかった。
「もーう!まあいいわ!そう言えば私たち結婚して……」
レーネは言葉を詰まらせる。
「どうかなさいましたか?」
「私が18歳になったら結婚させられるのよね……」
「身分の高い女性の方は、18歳で貴族の男性に嫁ぐのはこの国、いえ、この世界の常識ですよ」
トールはレーネに言葉を返した。
「私嫌よ!何も知らない人と結婚するなんて!」
「お嬢様……」
「だって!私はトールと……」
チュン、チュン、チュン
小鳥のさえずりが朝を知らせる。
「ん〜、朝か〜」
一人の男が目を覚ます。
「そう言えば懐かしい夢を見ていたような……」
しかしいまいち夢の内容を思い出すことが出来ない。
「あ、もう時間だ!急がなきゃ!」
慌てて準備をし部屋を出る。
男は走ってある所に向かっている。
そこに向かう途中に何人かのメイドに会い、声をかけられる。
「あ、トールおはよ〜」
「おはよございます」
「今からお嬢様を起こしに?」
「はい!」
どうやら男の名前はトールというらしく、お嬢様を起こしに行くようだ。
トールはしばらく走り
「はあ、はあ、着いた」
扉の前に来た。
コンコンコン
トールは扉をノックする。
「お嬢様朝ですよ!」
扉の向こうから返事はない。
「まだ寝てらっしゃるのかな?」
「お嬢様ー!入りますよ」
トールはそう言って中に入る。
中に入るとお嬢様はまだ寝ていた。
「お嬢様!レーネお嬢様!朝ですよ!」
トールはレーネの体を優しく揺する。
「ん、ん〜、あ〜、トールおはよう」
レーネはやっと起きた。
「おはようございます。お嬢様」
これがトールとレーネの朝の日常だ。
「さあ、お着替えをなさって下さい。私は外で待ってますので」
「トールが着替えさせてよ」
「え、あ、いや、し、失礼します!」
トールは顔を真っ赤にして、部屋を飛び出る。
それを見たレーネは
「うふふ、本当にかわいいんだから!」
凄く満足した顔だった。
それからしばらく時間が経ちトールは再び扉をノックする。
コンコンコン
「お嬢様着替え終わりましたか?」
「大丈夫よ」
今度は返事がある。
トールは部屋の中に再び入った。
「もう朝食の時間です。早く行きましょう」
「分かってるわよ」
二人少し急ぎ足で食事を取る広間に行く。
「遅れてすみません」
トールが謝罪をする。
「遅いぞ!もう時間が過ぎているではないか!」
すでに食事の席についているレーネの父のダーレスが
トールを怒る。
「お父様、トールを怒らないで下さい。悪いのは私ですから」
レーネがかばう。
「まあいい、とりあえず朝食にしよう」
ダーレスがそう言って朝食が始まった。
そして食事もそろそろ終わりになる頃だった。
「レーネ、お前は明日で18歳だ。今日の夜、結婚相手が来る。準備をしておけ。いいな!」
明日はレーネの誕生日で18歳を迎える。
「はい……」
レーネの表情が暗くなる。
ダーレスはその言葉を最後に席を後にした。
「ねえ、トール……これから買い物に行きたいんだけど付き合ってくれない?」
「分かりました」
トールにはレーネの気持ちが分かっていた。もともとレーネは結婚を望んでいない事を知っていたからだ。今は買い物でもして気分を晴らしたいのだろう。
「では、30分後に出かけましょう。昼食は私が作っておくので、どこか見晴らしのいい場所で食べましょう」
「ありがとう、トール……」
朝食の時間も終わり、約束の30分が経過した。
「さあ、トール。行きましょう」
「はい」
二人は街に出た。
街に出ると早速買い物を始める。
元気がなかったレーネも少し元気になってきた。
「せっかくだし、トールに何か買ってあげるわ」
「いいですよ。お嬢様」
「遠慮しないの!私が買いたいから買うの!」
「分かりました」
レーネは何を買うか悩みながら商品を探す。
「よし、決めた!これにするわ!」
レーネはペンダントを買うことに決めた。
買ったペンダントをトールの首にかけてあげた。
「うん!よく似合うわ!」
「ありがとうございます。一生大切にします」
レーネからのプレゼントにトールは素直に喜ぶ。
(本当によく似合ってるわよ、トール……)
レーネは心に呟いた。
時刻も昼過ぎになった。
「そろそろお昼にしませんか?」
「そうね。お腹も減ってきたし」
トールの意見にレーネも賛成する。
二人は見晴らしのいい草原で昼食をとる。
昼食はトールの手作りのサンドイッチだ。
「お嬢様どうぞ」
トールはサンドイッチをレーネに渡し、一口食べる。
「美味しいわよ、トール」
正直トールは料理が得意ではない。トールも自覚はある。
「お口にあって何よりです」
レーネはサンドイッチを食べ続ける。
レーネもトールがあまり料理が得意でないことは知っている。しかしトールが作ってくれたことに意味があるのだ。
(本当に美味しいわ……)
レーネの目から涙が溢れる。
「大丈夫ですか?お嬢様!」
トールが心配をする。
レーネはついに我慢できなくなった。
「私まだ結婚したくない!これからもずっとトールといたいよ!!」
レーネの本音が出る。
「お嬢様……」
しかし、トールには何も出来る事はない。
トールは自分の無力さを呪った。
2人は屋敷に戻る。帰りはお互いに無言だった。
屋敷に戻るとすぐに夜になった。
「レーネ、結婚相手が来たそうだ」
「分かりました、お父様……」
レーネから表情は消えていた。
レーネとダーレスは結婚相手が来ている部屋へ向かう。
部屋へ向かう途中レーネの足取りは重たかった。
ダーレスが扉のノックをする。
コンコンコン
「どうぞ」
中から声が聞こえた。
「失礼する」
ダーレスはそう言って中に入り、レーネはそれに続く。
中に入ると丸々と太った男とその父がいた。
「この度はどうも!私はポレロと言います。そしてこちらが息子のゲル二です」
相手が挨拶をする。
「どうも、私はダーレス、そしてこれが娘のレーネだ」
(ウヒョ〜、かわいいじゃん)
ゲル二は舌をなめる。
着々と婚約の話は進んでいった。
話の途中にゲル二はレーネに話をかけた。
「明日の結婚が楽しみだなあ?」
しかし、レーネは何も言葉を返さない。それどころか目すら合わせなかった。
それをゲル二はおもしろくなく思う。
(なんだよこの女!まあいい婚約したら俺のやりたい放題だ!)
ゲル二は薄笑いをした。
そして婚約の話がまとまり明日の10時に結婚式が開かれることになり、それぞれ解散した。
レーネはすぐさま部屋に戻りベットに転がる。
(トール助けてよ!ねえ!)
レーネは一晩中そう思い続けた。
夜も明け、いよいよ結婚式の時間になる。
結婚式は街の教会で行うようだ。
そしてついに始まった。
式にはたくさんの人が来ていたが、トールの姿がない。そのことにレーネも気づく。
(最後にトールの顔くらい見たかったな……)
式はいよいよクライマックスを迎える。
神父が近いの言葉をレーネに聞く。
(もういいか……)
レーネが諦めかけたときだった。
バターン
教会の扉が激しく開く音がした。
「その結婚、ちょっと待ったーー!」
扉から出て来たのはトールだった。
「誰だよ!お前は!」
ゲル二は驚きの声をあげる。
「お嬢様が望まない結婚をさせるわけにはいかない!」
その言葉を聞きレーネの顔に表情が戻る。
トールはレーネの側に近寄る。
「さあ、お嬢様ここから逃げましょう!」
「うん!」
トールはレーネの手を引き会場を出ようとする。
「待てよ!」
ゲル二が吠えた。それに気付きトールが振り返ったそのときだった。
バーン!!
銃声が教会に響き渡る。
バターン!
トールが倒れる。銃はトールに当たっていた。
「キャァー!」
教会の中はパニックになる。
「お前が悪いんだぞ!貴族に歯向った罰だ!」
どうやらゲル二が撃ったようだ。
「ねえ!トール!トールってば!!」
レーネが号泣しながらトールの体を揺する。
(お嬢様泣かないでください……)
トールのの記憶が遠のいていった。
あれから何時間経っただろうか。
トールはベッドの上で目が覚めた。
「トール!良かった!生きてる!」
レーネが声をあげる。
「本当に良かった……私このまま死んじゃうかと思ったよーー!」
レーネの目から涙が溢れる。
「すみません。心配をおかけしました」
「本当だよ。馬鹿!」
「そういえば式は?」
「パニックになって中止よ!結婚は保留になったし」
どうやら結婚は一旦保留になったらしい。
「なんで、あんな馬鹿なことしたのよ!私があげたペンダントに当たっていなかったから今頃……」
「すみません、お嬢様の事を考えたらいてもたってもいられなくなって、それで……」
その言葉を聞きレーネは決心をした。
「私、ずっとトールのことが好き!大好き!!私と結婚してください!」
その言葉にトールは驚く。
「でも、私とお嬢様じゃあ……」
「そんなの関係ない!私がなんとかしてみせる!」
その言葉を聞きトールは微笑む。
「分かりました。よろしくお願いします。レーネお嬢様」
「お嬢様はいらないって」
「よろしくお願いします。レーネ」
「うん!」
レーネが人生で一番の笑顔をみせる。
これから二人は大変な道を歩むことだろう。
しかしこの二人ならきっと……
この度はお嬢様は執事に恋をするを読んで下さりありがとうございます。感想やアドバイスをいただけると幸いです。
好評であればこのストーリーを連載にしてみたいと思っていますのでよろしくお願いします。
また、幼馴染と一緒に異世界攻略!?といった話を連載しているので、宜しければ読んで見てください。よろしくお願いします。