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極振り好きがテイマーを選んだ場合  作者: ろいらん
第4章「ローツ攻略編」
99/141

第八十八話「奇襲対策」

昨日より、「極振り好きがテイマーを選んだ場合」をカクヨムにも投稿し始めました。

閑話などはなろうで投稿したものとは別の話を新しく書こうと思っています。


閑話は読まなくてもストーリーを楽しめるものにしたいと思っているので、読まないと展開が分からない。ということはありません。

ありませんが……、せっかく書くのでなろうでの読者の方々にも読んで頂けると嬉しいです。

 木々の隙間から零れ落ちた木漏れ日が足元を照らす。

 一歩足を踏み出せば、そこには枝や枯葉が重なっていて大きな音を響かせる。


 音は三つ。

 俺とアウィンの歩く音。そして。


『……くぉー。……かぁー』

「…………」


 ハーピーの羽ばたく音だ。

 バッサバッサと空気を周囲に撒き散らし続けている。

 うるせえよ。せめて歩けよ。なんで森の中で飛んでんだこいつは。


 いや、実を言うと理由は分かっている。

 十中八九、空中で浮かんでいる光の玉が原因だろう。


 周りの木は色々な方向へ枝が伸びており、とても複雑な形をしている。

 その影となった部分からいくつも光の玉がふわふわと漂ってくるのだ。


 木の幹はとても黒く、嫌でも光の玉は目立つ。ハーピーが目を付けるのも当然だろう。

 まあ、結局触ったら儚く消えていくんだがな。


 しかし、静かにしろと言って聞くことはないだろうし、そもそも俺の言ってる意味を理解できているのかも怪しい。

 てか、多分理解してない。俺がくーとかかーとかのハーピー語を雰囲気でしか掴めないのと同じだ。


 こればかりは仕方ない。

 諦めて今自分にできることをやろう。


 耳をすます。

 集中しろ。聞き漏らすな。

 対応できなければ、痛い目を見るぞ。


『っ! くけ』

『……右側頭部、二時、斜め上です』

「《土球》」

「どうぞ、トパーズさん」

『おるらぁあっ!』


 ハーピーが《気配察知》し、俺達へと知らせるのと同時にラピスの声が頭に響く。

 このエリアでは奇襲を仕掛けてくる敵がいる。となると、確かに《気配察知》があれば便利だろう。

 だが、俺の手札にはトパーズの持つレベル一の《気配察知》しかない。これでは攻撃されるのを事前に察知できない。


 それなら、仕方ない。

 攻撃された後のことを考えよう。


 奇襲対策の作戦を練り始めて最初に考えたのは布陣だ。

 ハーピーは数えないとして、俺達が確保できる奇襲を察知するための視界は合計四つ。


 だが、これでは必ず抜けがある。

 確保しなければならない視界は水平方向だけではない。

 木の上から、幹の影から、頭上から、すぐそこの木の裏から。

 三次元的に奇襲を察知するのに四つの視界では不十分なのだ。


 だったらどうするのか。単純な話だ。増やせばいい。

 四つから三十五個の視界にまで増やす手段はある。

 ラピスの《分裂》だ。


 これで、ほぼ全方位からの奇襲をされたかどうかの判断はできる。

 受け身になってしまうが、それはもうどうしようもない。攻撃されてからでないと分からないんだからな。

 後はその攻撃への対処をすればいい。


 だが、ここにも問題はあった。

 ラピスが攻撃を知らせてくれるのはいいんだが、攻撃が当たるまでに対処できるのがアウィンしかいないのだ。

 しかし、ある理由からこの奇襲をしてくる敵モブは倒したいと思っている。

 倒すにはトパーズの突撃が必要だ。そして、それにはアウィンのサポートも不可欠。


 以前までの俺なら倒すのは諦めていただろうな。倒さなくても成果を得られるのは確かだ。

 けれど、俺だって成長している。

 特訓していたのはラピス達だけじゃねえぞ。


『くぇ』

『……左肩、七時、水平』


 また来たか。

 今までならここで相手に向き直り、右手か左手を伸ばして狙いを付けているところだ。

 そんなことをしていては確実に攻撃は俺へと到達してしまう。


 だから、俺は手を使わずに狙いを付けられるよう練習した。

 左肩から枝を伸ばすイメージ。七時の方角へ、水平に……。


「《土球》」


 ……痛みはない。

 どうやら、攻撃を叩き落とすことには成功したようだ。

 やはり、後ろ側へ撃つのは難しい。今回は成功したが、まだまだ練習は必要だな。


 この、イメージして魔法を撃つ方法は精度が甘い。

 細かい向きを要求される時には使えないだろう。それに、自分の体から枝を伸ばすイメージでないと魔法が発動すらしない。

 ラピスやトパーズ、アウィンを起点にして魔法を撃ったりはできないってことだ。


 さっき跳んでいったトパーズと、外した時のために追い討ちをかけにいったアウィンは今、ここにいない。

 二体目は見逃すしかなさそうか。この敵モブ、一度奇襲すると仕切り直しのつもりなのか、どこかへ行ってしまう。

 今のところ、その姿を確認できたことはない。なので、名前すら分からないのだ。


「お兄ちゃん! 大丈夫ですか!? 怪我してませんか!? 死んじゃ嫌ですぅっ!」

「見たら分かんだろ。死なねえし、怪我もしてねえよ。それより、どうだった?」

「あ、はい! トパーズさんは木に刺さってました。そして、これも落ちてました!」


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 仕込み針 アイテム(暗器)

 毒Lv.2


 投げることで相手へ

 ダメージを与える。

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 よし。

 ドロップで六本ゲットか。これはついてる。

 俺が奇襲してくる敵を倒したい理由がこれだ。


 暗器の投擲(とうてき)武器。ぜひ、アウィンへ持たせたい。

 この仕込み針は毒にできるようだが、きっと、他の状態異常も付与できるはずだ。


 アウィンは敵の懐へ入ってからの手数が武器だ。投げナイフを持たせたりしても遠距離攻撃はあまり使わないし、かさばって邪魔になるだけだと思っていた。


 だが、闘技大会での大狼戦ではナイフを投げることで活路を見出すことができた。

 あの時、投げたナイフを取りに行かなければまた違った結末になっていた可能性だってある。


 そこで、この仕込み針だ。

 ナイフと違って細く、スペースも取らない。

 投げるのに技術がいるだろうが、アウィンのDEX(器用さ)とセンスなら問題ないだろう。


 土球で撃ち落とした仕込み針もしっかり回収する。

 勿体ないからな。どうせ消費アイテムだろうし、大量に欲しいところだ。


「よし、それじゃもうちょっと仕込み針集めるぞー」

「はーい!」


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~~


 いやー、大漁大漁!

 見えないところからの奇襲は厄介この上ないが、対処法が確立されてしまえば楽なもんだな!

 全員、レベルも一ずつ上がった。さすが、いい感じにレベルの高いエリアだ。遭遇率は悪いが経験値は美味いのかもしれない。

 レベリングをここでやるのも手だな。


『右肩、三時、斜め上です』

「《土球》っと」

『おらよっ』

「わたしも行ってきまーす」

『……かー』


 楽勝楽勝。

 勝ちパターンができれば後はそれをなぞるだけだからな。余裕だ。


『っ! 左側頭部、八時、水平です!』

「っ《土球》!」


 危なかった。少しヒヤッとしたぞ。

 なんだ、どうした。奇襲のスパン短くねえか?


 敵もなかなかやるようだ。

 普通なら今のでやられていただろうな。まだ前に撃った《土球》が残っていた。

 俺に《魔法複数展開(Ⅱ)》が無ければ魔法を撃つことはできなかっただろう。


「危ねぇ危ねぇ。間に合ってよかったな」

ご主人様(マスター)! 後ろですっ!』

「三体目か!?」


 しかも、後ろ。

 背中から枝を伸ばすイメージは最難関だ。何しろ、人生で一度も見たことの無い自分の背中をイメージするのだから。

 しかし、やらなきゃやられる。やるしかない!


「って、魔法二発撃ったからデメリット発動中じゃねえか!」

ご主人様(マスター)っ!』


 《魔法複数展開(Ⅱ)》のスキルはデメリットを持っている。

 魔法を同時展開した後は、一定時間攻撃魔法が使用不可になるというデメリットを……!


 俺は、なす術もなく、背中へと攻撃を受けた。


 ……って、なんだこれいってえ!

 ほんとに針か!? 鉄の杭を打ち込まれたんじゃねえのか!?


 ステータスを確認。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 プレイヤー名:テイク

 種族:ヒューマン

 ジョブ:テイマー(Lv.28)

 HP  370/1000

 MP  6300/6340

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 はあ!?

 これってただのひょろい仕込み針での遠距離攻撃だよな!?

 牽制程度の威力だよな!?

 六割以上削れてるんだが!?


 ここまで来ると、VIT(生命力)やHPが初期値なのが無謀な程になってくるな。

 極振りしてると、最初は何とかなるんだよ。だが、中盤辺りから壁にぶち当たる。

 ここからが極振りの本番ってとこだな。


 しかし、極振りの洗礼に武者震いするのも束の間。

 簡易ステータスの横に表示されたアイコンを見つけてしまった。

 ヤバい。ヤバいヤバいヤバい!


「毒だ! アイテム! 毒消し!」

『マ、ご主人様(マスター)、冷静になって下さい』


 分かってる。分かってるが、前に毒になった時を思い出してしまう。

 ポイズンバタフライの鱗粉をモロに浴びて、毒状態になり、そして……。


「う、ぐ、ぁあ……ぁ」

ご主人様(マスター)!』

「お兄ちゃん!?」


 くっそ、毒のダメージは固定ダメージ。

 毒レベル二のダメージ量は二百だったようだ。


 ここまで来るプレイヤーのHPは少なくても恐らく六千はあるはずだ。盾役なら一万を超えていてもおかしくない。

 そこで二百ダメージを食らったとしてもそこまで大きなダメージではないのだろうが……。


 俺にとっては、最大HPの二割を持ってかれることになる。

 しかも、それが継続ダメージという鬼畜仕様。


 もう一度、毒のダメージを貰えば死ぬっ!


「はあ、はあ……」

ご主人様(マスター)、しっかりしてください!』

「だ、大丈夫。大丈夫だ、ラピス。解毒薬は飲んだ。毒も消えた」


 それに、もう魔法の再使用もできるはず。

 何とか、危機は脱しただろう。


 しかし、今のは何だったんだ。

 三連続で奇襲だと? 今までにそんなことはなかった。

 しかも、タイミングまで見計らったような連携だったぞ。


 そう。連携。確かに今のは指揮官がいるような連携だった。

 敵モブに自我を持つやつがいる……?


『アウィン、てめえ、オレを投げ捨てやがったな!?』

「ご、ごめんなさい。お兄ちゃんが倒れてるのを見て、何も考えられなくて……」

『ああ、ご主人様(マスター)。ご無事で良かった。本当に』


 そうだ。どうして今まで疑問に思わなかったんだ。

 三人はテイムモンスだから例外だとしてもいいだろう。自我を持っていてもテイムモンスはそうなのだ、と言うことができる。

 しかし。


『……くぇー』


 こいつはどうだ。

 このハーピーのアイコンは敵対モブ。なのに、俺を襲わない。

 他のハーピーは俺を襲ってきたのに、何故このハーピーだけは俺について来るだけなのか。

 敵対モブの中に、自我を持つやつがいる……?



 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 プレイヤー名:テイク

 種族:ヒューマン

 ジョブ:テイマー(Lv.28)

 HP  290/1000

 MP  6340/6340 (used 37)

 ATK  10

 VIT  10(+30)

 INT  10(+55)

 MIN 10(+30)

 DEX  10(-28)


 スキル

 《鞭》Lv.1

 《火魔法》Lv.1

 《水魔法》Lv.1

 《土魔法》Lv.1

 《風魔法》Lv.1

 《光魔法》Lv.1

 《闇魔法》Lv.1

 《HP自然回復》Lv.6

 《MP自然回復》Lv.1

 《即死回避》Lv.1

 《魔法複数展開(Ⅱ)》Lv.☆

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 モンスター名:ラピス

 種族:マルチスライム(Lv.23)

 HP  800/800

 MP  273/273

 ATK  3

 VIT  9

 INT  2

 MIN 259 (used 23)

 DEX  1


 スキル

 《粘着》Lv.1

 《吸収》Lv.1

 《分裂》Lv.5

 《擬態》Lv.1

 《物理攻撃無効》Lv.☆

 《被魔法攻撃5倍加》Lv.☆

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 モンスター名:トパーズ

 種族:ホーンラビット(Lv.23)

 HP  3130/3130

 MP  20/20

 ATK 261(+40) (used 22)

 VIT  5

 INT  2

 MIN 2

 DEX  6(-10)


 スキル

 《跳躍》Lv.5

 《気配察知》Lv.1

 《採取》Lv.1

 《ハウリング》Lv.☆

 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 モンスター名:アウィン

 種族:町盗賊(Lv.23)

 HP  2740/2740

 MP  20/20

 ATK  2 (+4)

 VIT  2 (+16)

 INT  2

 MIN 1

 DEX 273 (+8) (used 23)


 スキル

 《盗む》Lv.5

 《暗器》Lv.1

 《隠密》Lv.1

 《気配察知》Lv.1

 《闇魔法》Lv.0

 《罠設置》Lv.0

 《罠解除》Lv.0

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