第五十五話「会場入り」
書いてたのが全部消えて、ちょっと萎えました。
小説書いてる人にはあるあるな出来事かもしれません。
(2017/02/07)
本文中に消えてしまっている箇所があったので修正致しました。
日付が変わり、昼が過ぎ、十六時。ESOのアップデートの時間だ。
奇数日の十五時五十分には毎回強制ログアウトされ、十六時からまたインして遊ぶことができる。こういったオンラインゲームは定期更新が長いものだが、どうしているのだろうか。
まあ、二日に一回定期更新してるゲームもそうないだろうが。
時計を確認。既に十六時になっている。ヘッドギアを付けて横たわり、いざ。
今日は、闘技大会の開催日だ……!
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「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
「おう、ただいま」
「えへへー」
「ま、十分ぶりだがな」
「いいんです! もー、お兄ちゃんは一言余計なんですよ!」
「そうかい」
肩に飛び乗るトパーズと、足下に寄ってきたラピスを抱えて俺の準備は完了だ。
視界にちらつくメールの受信案内。開くと案の定、闘技大会について書かれている。
エントリーNo.4ねえ。受付順だろうか。結構早めに受付したんだがな。抽選の可能性もあるか。
それにしても、縁起の悪い数字だ。気にしなければいいんだが、そういうこと考えてる時点で影響受けてるんだろうな。
トーナメント表は会場にて、ね。
とりあえず、向かうしかないか。
確か、町の中央にある噴水から期間限定で闘技大会会場に行けるはず。
「テイク」
「ん、ああ、繭か。繭は大会に参加しないんだよな」
「繭は、作るだけ。サポートに、徹する。はい、これ」
「……なんだこれ」
繭から送られてきたのは装備品、というより、衣装?
「テイク達、三人は、オッドボールの、広告塔。目立って貰わないと、困る」
「あー、ギルド作る時に決めたな。これ着ればいいのか?」
「着る、というか、付ける。今の装備の、見た目を変える」
「そんな事もできるのか。すげぇな」
「レベル上げ、頑張った、から」
ドヤ顔頂きました。ま、あんまり表情は変わってないけど。雰囲気が得意気に変わったから恐らくドヤ顔だ。
で、肝心の衣装は……。
「……どこの魔王だ」
「お兄ちゃん、似合ってます! 強そう!」
「うん、いい出来。いい仕事した」
「いや、まあ、絶対に着たくないとかじゃないんだけど。なんつーか、繭っぽいな」
全体的に黒の衣装は、完全に繭の趣味が形になったものだ。無駄な装飾がゴテゴテとくっ付いている。
マントまであるが、動きは阻害されないな。本当に見た目だけ変更されたようだ。
「それは、褒め言葉として、受け取っとく。で、これは、アウィンの」
「わたしのもあるの!? わ、可愛い! 見て見て、お兄ちゃん!」
「動けるのか?」
「はい! 今までのと変わりありません!」
「ならよし」
「テイク、ゼロ点」
なにがだ。機能を重視して何が悪い。
アウィンの衣装は丈の短いワンピースにショートパンツ姿の、今から走り出します! といった服装。
お転婆な子供に着せたい服だな。ってことはアウィンの服に最適な訳だ。
「うん、二人共、似合ってる。これで、活躍したら、オッドボールの、売れ行きも、上がる」
「それはどうだろうな」
「お金は大事ですからね。繭ちゃんのお金のためにも頑張りましょう!」
「おー!」「……おー」と盛り上がる子供二人。こっち見んな。俺はやんねえぞ。
「なあ、繭、こういう衣装、二人にも渡したのか?」
「もちろん。ただ、まだ初級編」
「初級?」
「繭の趣味は、抑え目に、作った。特に、ユズ」
「なるほど」
つまり、これからどんどん過激になっていくと。徐々に感覚を麻痺させていくわけですか。
繭、恐ろしい子。
「それじゃ、頑張って」
「おう、優勝して帰ってくるからご馳走用意しとけよ」
「繭ちゃん、行ってきます!」
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「……お兄ちゃん」
「いいから堂々としてろ。こんだけ人がいりゃ、わざわざNPCがどうとかで話し掛けてくるやつもいないはずだ」
「はい。でも、その、視線が」
闘技大会会場には、物凄い人が集まっていた。
ESOで最初のイベント、しかも闘技大会だからな。プレイ時間は全員そこまで変わらないだろうし、あわよくば優勝できるんじゃないか。そう考えている人は少なくないだろう。
戦闘職の奴は、ほとんど全員が参加してるんじゃないか?
そんな中に転移してきた、肩にウサギ、頭にスライム、可愛い女の子を従えた魔王様。
衣装外しとくんだった……!
アウィンにはああ言ったが、好奇の視線は間違いなく俺に集まっている。
アウィンへの変な視線は俺が間に入りシャットアウト。鼻の下伸ばしてんじゃねえぞ、コラ。
「アウィン、とりあえず建物の中に入るぞ! 目の前にあるコロッセオ的なものに向かえ」
「コロッケ?」
「後で買ってやるから、今は動け」
プレイヤーメイドの食べ物は高いが、美味いから買って帰ったのが間違いだった。
味をしめやがって、これでまた余計な出費がかさむ。
「よし、アウィンはここでラピス、トパーズと待機。俺は衣装を外してトーナメント表を見てくる」
「コロッケはいつになるのでしょうか!」
「今日、勝ったらな」
「頑張りましょう! ラピスさん、トパーズさん!」
うわ、ラピスとトパーズの目がギラギラしだした。
二人は半分……って訳にもいかなそうだな。
トーナメント表に近付くと人が増えてくる。掲示板とかで盛り上がってるんだろう。
だが、やはりと言うか、テイマーのトーナメント表の前には誰もいない。
俺にとっては好都合だ。さあ、肝心の中身はどうなってる?
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「ラピス、トパーズ、アウィン」
「あ、おかえりなさい、お兄ちゃん! どうでしたか?」
「俺達の目指す目標は優勝のみ。それが確定した」
「え?」
「俺達が二回勝てば決勝。そこで当たるのがエリー。俺達が倒すべき相手だ」
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本日の試合予定
第一回戦
エリーvs.犬士郎
第二回戦
テイクvs.曝首
第三回戦
ミルvs.第二回戦の勝者
決勝は後日行います。
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1月23日の更新は、試験対策のため、お休みさせて頂きます。
……明日の単位はほんと落とせないので、何卒(汗)
楽しみにしてくださってた方、申し訳ありません。




