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極振り好きがテイマーを選んだ場合  作者: ろいらん
第2章「イワン攻略編」
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閑話「黒氷騎士団泥蛙討伐作戦」

ギルドNo.002“黒氷騎士団”のメンバー紹介のようなものです。

シャノとゼノは第三十一話「ボス前広場」にて、初登場しております。


後日、“青薔薇”編も改稿として、書くかもしれません。

「ありありー? シャノっち、いつの間にログアウトしてたん? 出ていったのに二階から降りて来るとか不可思議現象じゃん、ウケるー」

「ゼノか。別に不思議でも何でもない。死に戻りしただけだ」

「まったまたー。シャノっちが死に戻りとか信じるわけないっしょー」


 ギルド“黒氷騎士団”のギルドホーム内でギルドマスターのシャノと、ギルドホームの元となった店の持ち主、専属鍛冶士のゼノが会話する。

 シャノが言い放った言葉、死に戻り。それは、ゼノにとって到底信じられるものではなかった。

 シャノ達が先ほど出ていった理由は、北エリアのボス“沼の主 異形の泥蛙(マッドマスター)”を倒し、第二の町に向かうため。通過点に過ぎないボス撃破。しかも、相手はβ版で狩られ続けていた“沼の主 異形の泥蛙(マッドマスター)”。

 攻略法も確立されている相手にシャノが負けるなど、考えられることではなかった。


 だが。


「おい、どうなってんだあのAI! βと動きが全然違うじゃねーか!」

「ああ、この俺の魔法が避けられようとは……! 無念でなりません」

「ねえ、わたし、β組じゃないから知らないんだけど、そんな違うの?」

「いやー全然違ったなー。ボクの回復なんていらねーと思ってたしよ」

「あの、何もできなくて、すみませんでした」


「なあなあ、シャノっち。今降りてきた全員もしかして」

「死に戻りしてきたんだろう」

「シャノっちも合わせて一から四番手まで出揃ってんのに!? ヒーラーのガブちゃんまでいんじゃん! っべーっしょ!」


 ギルド“黒氷騎士団”。現在登録されている五つのギルド中、最多の所属人数を誇るギルドだ。

 そして、その中でもボス戦攻略など、強さを求められる場合に招集されるメンバーがいる。


「えー、そんなに弱かったの? 倒せる気しないんだけど。って、シャノさん! ……先程はお見苦しい戦いを見せてしまい、申し訳ありません」

「もっと、私に対しても気軽に接して欲しいんだが、雪華」

「それは、わたし自身が許せません」


 四番手、雪華。


「おお、俺の魔法を尽く避け、あるいは撃ち落とし、最後には己の舌でこの俺を突き刺すとは……! この罪、万死に値しますね」

「メガネを持ち上げる手がプルップル震えてっけどー? シゲっちー?」

「怒りに決まっているでしょう」


 三番手、シゲヒデ。


「おい、ギルマス。何盾職がさっさとご退場してんだよ。トップがそんなんでいいのかよ、あ? さっさとその椅子寄越せってんだ」

「その台詞は一度でも私に勝ってから言え、骸津」

「おっしゃ、なら表出ろ、シャノ! 今日こそその澄ました顔、オレがこのハンマーでかち割ってやっからな!」


 二番手、骸津。


「まーた、やってやがる骸津の野郎。飽きないもんだなー。おっす、ゼノっち。おっつー」

「おつおつー。ガブちゃんいて死に戻りとかパネェー。相手はあのカエルっしょ?」

「いや、マジであのカエルはやべえって。今までに見たことねえ動きしやがるし」


 ヒーラー、ガブ。


 そして、ギルマス。

 一番手、シャノ。


「あの、えっと」

「シャノっちー、あの見覚えのない弓持ってる坊っちゃん、だれー?」

「ギルメンの一人だ。五人よりも六人の方がいいだろう」

「あー、数合わせねー」


 しかし、弓を持っている少年を除いたとしても、これだけの戦力で負けるとはやはり思えない。

 ゼノの疑念はますます深まっていく。


「シャノっちー。わっけ分かんないから説明プリーズ」

「ふむ。そうしたいのはやまやまだが、もう一度挑んでからでもいいか?」

「お? 何か作戦ある感じ?」

「作戦という訳ではないが、さっきの戦いではβ版での戦いに固執しすぎた気がする。それに、私の戦い方はあのボスに合っている気がするんだ。それを試してみる」

「りょー。今度は入口から帰ってきてよん」

「善処する」


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~~


「この、蛙が飛び出して来る時間長いの、どうにかなんねーのかよー」

「ガブ、焦りは禁物です。貴女がやられては成功確率が下がるのですから」

「おい、シャノ。またいきなり死んだらぶっ殺すぞ」

「骸津! シャノさんへのその口の聞き方直してよ! すみません、シャノさん。油断せず、行きましょう」

「……ああ。そうだな」

「あああ、また来てしまった。僕だけ場違いすぎだって……」


 北エリアボス戦フィールドの中央。そこでは、六人の男女が背中合わせで集まっていた。

 各々の武器を構え、周りを取り囲む泥沼を睨みつけながら。


「来ましたよ! また、俺へと向かって来ています!」

「シゲヒデ、下がれ!」

「シャノ、てめえ、しくじんなよ!」

「シャノさん、お願いします!」

「あああ、また、大きなカエルが降ってくる……!」


 杖を構えていたシゲヒデが《火球》を撃ちながら下がり、盾を持ったシャノが前へ出る。

 しかし、巨大な蛙は走りながら、迫ってくる火球へと泥を飛ばし、撃ち落とした。


「またしても、あの蛙! 俺の魔法を泥なんぞで……!」

「お前の魔法崇高理念、ボクにはほんと理解できねーなー」

「わたしはシャノさんの魔法になら共感できるよ?」

「雪華のシャノ崇高理念、オレには理解できねえっつーかしたくもねえ」

「骸津に理解してもらいたいとも思わない!」

「な、なあ! 避けなくていいのか!? さっきはギルマス受け止めきれなかっただろ!」


 弓を持った少年に注目が集まる。

 少したじろいだ少年だったが、意を決して全員を見返した。何も間違ったことは言っていない。さっき起こったことは事実である、と。


「えっと、君も黒氷騎士団のギルメンだよね? シャノの戦闘見たことない?」

「シャノ、あんまり使うとこ見せねえからなー。アレ」

「ああ、俺もβテストに参加していれば、あの魔法を……!」

「β特典は誰でも貰える訳じゃねーんだ。そもそも、あのスキルはβ特典一覧にも載ってなかった」

「そうなの、骸津?」

「えっと、何の話を……」

「まあ、見とけ」


 注目が、少年からギルマスの背中へと移る。

 そのタイミングで、大きく跳躍する“沼の主 異形の泥蛙(マッドマスター)”。ついさっき見た光景。すぐにやってくる押し潰される恐怖。


「また……!」

「お前、さっきシャノが言ってたこと覚えてるか?」

「確か、何かを使うとか、何とか」

「このボスには《火魔法》と《光魔法》が有効ってことは知られてんだ。シャノの魔法はどんな影響があるか分かんねえし、火と光で倒せるならそれに越した事はねえ」

「ああ! もう時間が!」

「癪だが、シャノは強え。そのシャノが全力を出すっつってんだ。オレ達は攻撃することだけを考えてりゃいい」


「《巨大化(ヒュージ)》」


 シャノの持つ、黒い盾が巨大化する。ゼノの作ったこの盾にはスキルが付いている。《巨大化》。その名の通り、発動すれば盾自身が大きくなるのだ。

 そして、それだけでは足りない。《盾》スキルのレベルをそこまで上げていないシャノは敵を押し返すスキルを使うことができない。

 だが、代わりにレベルを上げているスキルが他にある。

 シャノ特有のスキル。


「《氷結(フリーズ)》」


 《氷魔法》。


「出た! シャノさんの十八番(おはこ)、盾を凍らせるコンボ技!」

「《氷魔法》!? で、でも盾を凍らしたってなんの意味も……!」

「キミキミー、凍ったらさ。何か減るとは思わねーか?」

「凍れば摩擦力が減る。常識ですね」

「後は、シャノの力量次第だが、何とかなんだろ。おい、雪華、シゲヒデ、あと弓の数合わせ。シャノの正面回るぞ」

「か、数合わせって……」


 シャノの持つ盾に着地する泥蛙。だが、シャノは衝撃が加わる前に盾を後ろに引いた。体を沈みこませながら、丁寧に、かつ迅速に。

 そして、泥蛙の重心が盾の中心より下になったところで。


「《盾撃(シールドバッシュ)》!」


 少し後ろへ跳び盾を真っ直ぐ構え、《盾》スキルを発動させた。

 巨大化していた盾がスキル効果時間の終了とともに縮む。


 シャノの目の前にあったものは、身体の下半分を凍らせて身動きが取れないカエルを、焼き、殴り、斬り、突き刺しているパーティーメンバーの姿だった。

後日(明日)

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