第三十三話「リターン」
お待たせしました!
ろいらん、復活です!
ただ、毎日更新は無理をし過ぎたようなので、これからは2日に1回の更新を行います。
具体的に言えば、奇数日に更新します。
今日は16日、明日は17日。
そして、奇数日更新。
つまり、そういうことです。
『また汝であるか。何度やっても同じだ。返り討ちにしてくれる!』
「おう、戻って来たぜ」
ここは“森林の大狼”のボス戦フィールド。二回目の挑戦だ。
どうやら、一度行ったことのあるボス前広場へは、イワンの町中央にある噴水からワープできるらしい。よくある仕様だが、ありがたいな。
“黒氷騎士団”の奴らはいなかった。あいつらもボスへ挑んでいるのか、帰ったのかは分からないな。黄色モヒカンが鍛冶士だと言っていたし、きっと生産職を第二の町へ移動させるんだろう。
俺らも繭を連れて行った方がいいかもしれない。
だが、とりあえず今は。
「アウィン!」
「はい! 行きます!」
開幕ハウリング読みでアウィンを走らせる。狼はハウリングの予備動作中。読みは当たった!
よし、俺も右へ走っている。避けられるか?
「ぐぅ……!」
あー、ダメか。狼はどうやら最初、俺を狙っているようだ。
そりゃ、ターゲットが動けば首動かして当てにくるよな。
「お兄ちゃん! 危ない!」
「……え?」
ハウリングを食らって、立っていられなくなった俺を覆う影。
「こっちを! 向いて! くださいっ!」
後ろから攻撃しているアウィン達には目もくれず、右足を俺の頭上へと振りかぶる狼。
足が俺を押しつぶす瞬間。狼の顔が苦痛に歪み、HPが二割ほど削れたのが見えた。
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『また汝であるか。何度やっても同じだ。返り討ちにしてくれる!』
「何度でも来てやるけどな」
今回は四度目の挑戦だ。前回は後ろへ下がって威力減衰を狙ったが、俺のHPはキッチリ四割削られて膝を折られた。
今回の作戦は、避けられないなら受け止めりゃいい。って発想だ。
「アウィン、トパーズ! 頼んだぞ!」
「はい! 行ってきます!」
狼は息を吸い込む。開幕ハウリングは確定。しかし、それがまた厄介この上ない。これを対処しなければ俺達の勝利はないのだ。
「さあ、来るぞ。ラピス」
ハウリングは物理攻撃。一回目の挑戦でラピスだけが生き残ったことからも分かる。問題はラピスの体積が少ないことだが。
別に誰かに見られてる訳でもない。その場に座り込み、縮こまり、バスケットボール程のラピスの影に出来るだけ入り込む。
「……っ! よし!」
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プレイヤー名:テイク
種族:ヒューマン
ジョブ:テイマー(Lv.18)
HP 880/1000
MP 3170/3170
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被害は軽微。身体も動く。これぐらいなら《HP自然回復》で十秒後には全快だ。《即死回避》の発動条件まで持っていける。
回復薬は持ってきていない。というか、アイテム自体ほぼない。死に戻り前提でデータを集めに来てるから、ペナルティーでアイテムロストとか勿体ないだろ。
「トパーズさん、お願いします!」
そして、第二の作戦がこれだ。ハウリング後にトパーズをぶち込む!
二回目で一気に狼のHPが減ったのはトパーズの突撃がもろに当たったから。これが当たれば、狼は怯むはず。その隙に体制を立て直して、次だ!
「お兄ちゃん、ダメです! そっちに行きました!」
は?
見ると、HPの減っていない狼がこっちへ向かって来ている御様子。トパーズはフィールドの端までぶっ飛んでる。
避けられたか、狙いがズレたか。くそ、どっちだとしても、ピンチには変わんねえぞ!
俺の手元には投げるために《分裂》していたラピス(1/2)が二体。HPは960で、全快には少し足りない!
狼は既に見慣れたフォームで前足を持ち上げている。だが、今までと違うのは俺にはラピスがいる! 何とか上手く防御すれば!
「なっ!? 横薙ぎか!」
咄嗟に横からの衝撃を緩和するためにラピスを突き出す。
上から押しつぶす他に、横薙ぎのパターンもあるらしい。防御が間に合ったらしく、手が砕けるような痛みはない。完璧ではなかったようで、衝撃はあったが耐えられないものでもなかった。
吹っ飛ばされたが、距離を取れたと考えればむしろ、ありがたいな。とりあえず、着地してからは魔法を撃ち込んでみるか。
なんて、考えていたところで背中へ衝撃。堅いものが当たった感触があって、すぐに柔らかなベッドに包まれた。
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『また汝であるか。何度やっても同じだ。返り討ちにしてくれる!』
「ええ、はい。何度もすいませんね」
今回は十二回目の挑戦だ。
とりあえず、横薙ぎはアカン。HP全快でも横薙ぎ自体のダメージと、周りの木に叩きつけられてからの合計二回ダメージを食らうから《即死回避》が仕事しない。
そして、更にマズいのが噛み付き攻撃。腹を裂かれ、傷口を抉られ、身体が熱で溶けるんじゃないかって痛みが、牙の突き刺さった腹から全身に回った。
救いは、それが一瞬のことだったことだな。噛み付きのダメージ判定は一度だが、咥え続けられるとダメージも食らい続けるようだ。確か十回目のことだったか、ベッドに落ちた時もまだ腹が痛んでる気がしたな。
結論、横薙ぎと噛み付きは食らったら終わり。
横薙ぎはコースさえ良かったら木にぶつかる前に着地できるんだが、期待はできない。
だが、俺達だってただ死に続けている訳でもない。
「さあ、今度こそ頼むぞ、アウィン」
「が、頑張ります!」
アウィンがトパーズを乗せて走り出す。俺はラピスと待機。
ここまでは変わらない。変わるのはハウリングの後だ。
「ぐぅ。《土球》!」
ハウリングの後、狼は俺を叩き潰すために突っ込んでくる。そこを狙う!
ちなみに、トパーズも俺側で待機させてから突撃させたんだが、狼にはダメージを与え怯ませた代わりにトパーズが死んでしまう結果となってしまった。これは六回目だったかな。
土球はスピードを四倍、規模を五倍の消費MP400の代物だ。
規模だけデカくしたら全然飛んでいかなかったのは八回目の挑戦のこと。
狼の勢いも相まって、顔にクリーンヒット。威力は弄っていないのでHPは全然減っていないが、突進を妨害することは出来た。
この隙に全力で右側へ走る!
「うおおぉぉぉー!」
背後で狼が通り過ぎる気配がする。あの突進に巻き込まれただけでもお陀仏確定だ。
土球を撃ってなければ軌道修正して確実に当ててくるのもまた面倒なんだよな。
「さあ、犬っころ! こっちだ!」
手を叩いて狼を誘導する。狼がこちらを向いたタイミングで衝撃!
トパーズの突撃がヒット。HPが減り、怯んだところでアウィンの連撃。
「どうだ、アウィン!」
「やりました! 三回は当てたはずです!」
「よし!」
アウィンの言葉を聞いた俺は、スライムの粘液とポイズンバタフライの鱗粉からできた毒の粘液を手に移す。
MINが低いのですぐに毒に掛かってしまうが問題はない。
《HP自然回復》によって、ハウリングで減っていた体力が全快になっていたが、毒の継続ダメージでまた減り始めたHPを確認。
辺りが暗くなる。だが、俺は影など見ない。捕食者の目を見てやる。
「また、戻って来るぜ」
大きな足に潰された俺は、ベッドに包まれるのだった。
明日も16時に更新します!
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