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極振り好きがテイマーを選んだ場合  作者: ろいらん
第4章「ローツ攻略編」
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特別編「ドタバタばれんたいん!(前編)」

お久しぶりですっ!


うわぁ、何だか凄いサブタイトルを付けられちゃいましたね……。

「四ヶ月以上の間、更新されていません」

ほんとに申し訳ないです……!


本当は、2月14日に復活する予定だったんですが、そこからもゴタゴタしておりまして……。

まあ、そんなこんなでやっとバレンタインのが公開できる! ってな時には既に3月21日。なんでやねん。


また、これから少しずつ勘を取り戻しつつの更新にはなりますが、ばんばん小説書いていきますよっ!

もちろん、YouTubeの動画もエンヤコラと編集中です!


ですので、どうかどうか!

これからも「極振り好き」をよろしくお願いしますっ!

「ただいまですーっ!」


 大通りから横へ伸びる、暗い路地にちょっとだけ入って、左に曲がる。すると見えてくる、わたしたちのお家。

 古ぼけた看板には見慣れた“オッドボール”の文字。

 最初は何の模様か分からなかったけど、お兄ちゃんに教えて貰ったのです。

 物覚えがほんのちょこっとだけ悪いわたしだけど、この字はさすがにわたしも覚えました!


 ……意味は誰も教えてくれませんけれど。

 なんででしょう?


ご主人様(マスター)ご苦労様でした』

「ああ。ラピス達もお疲れさん。何か久しぶりに素材集めに行ってきた気がするな」

『ま、狩りしてりゃ勝手に素材集まんだから仕方ねぇよ。しかも、アウィンがいりゃあ盗み放題じゃねえか』


 わたしの後ろからお兄ちゃんたちもオッドボールへ入って来たみたいです。

 トパーズさんがわたしの方を見て笑ってます。お兄ちゃんの役に立ててるのかな?


 でも、それよりも、わたしは今、とっても難しい判断に迫られているところなのです。

 むむむむ……。これは、わたしが先に入っちゃったので、お兄ちゃんに「おかえりなさい」って言っても許されるのではないでしょうか。

 それとも、途中まで一緒に帰ってたから言っちゃダメ?


 ……うん。きっと大丈夫!

 何より、わたしが言いたいですっ!

 言っちゃえ!


「お兄ちゃん、おかえりなさいっ!」

「お前も一緒に帰ってきただろが」

「あう」


 頭を軽くチョップされちゃいました。

 でも、お兄ちゃんに「おかえりなさい」って言えて、わたしは大満足です!


 それに、ちょっと呆れ顔で、でもやっぱり笑いながら、頭を撫でてくれて、小さく「ただいま」って言ってくれて。

 そんなお兄ちゃんが、わたしは……。


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~~


「アウィン、あなた、テイクのことが好き?」

「もちろんですっ!」

「……それは、どういう意味で?」

「え? えっと、大好きって意味です」

「ほんと、あんたのその感情はどっちなのかよくわかんないわね」


 ギルド“オッドボール”の二階は部屋がたくさんありますが、ここはその内の一つ、ユズのお部屋です。

 所々に女の子らしいインテリアが飾られた部屋の中には、人が三人とスライムが一匹。

 どうやらワタシの他に、アウィンと癒香もユズに呼ばれたようですね。


 ご主人様(マスター)はまた、屋上か“アウィン親衛隊”の皆さんと特訓をしているのでしょう。

 ワタシも負けじと特訓していたのですが、そこをユズに拉致された訳です。

 重要な話があるとのことでしたが、最近、何かあったでしょうか……?


「ユズさん、アウィンさんをからかうのはその辺りにして、本題に移りましょう」

「んー、まあ、本題から離れてる話題でもなかったんだけどね。みんなに集まってもらったのは、明日から始まるバレンタインイベントのためよ」

「ばれんたいん……ですか?」


 バレンタイン。聞いたことがありません。

 そもそも、ヒューマンの文化に触れることがなかったので、マルチスライムである私が知らないのは、仕方のないことかもしれませんが。


「ラピスさん、知ってますか?」

『いえ、ワタシの知識にはありませんね。アウィン、質問をお願いします』

「ばれんたいん、ってなんですか?」


 アウィンも“ばれんたいん”について知らないようです。

 ご主人様(マスター)達が現れてから、少しヒューマンの文化が変わったようにも思いますが、この“ばれんたいん”

もそういったものの一つなのかもしれません。

 アウィンが、そういう文化に疎いだけという可能性もありますが。


 ワタシの声はユズ達に届きません。

 なので、アウィンから“ばれんたいん”についての質問をしてもらわなければなりません。

 少し不便ですが、仕方のないことです。さすがにもう慣れました。


「それでは、私から説明しますね」

「ありがと。それじゃ、癒香にお願いするわ」

「バレンタインとは、女の子にとって、物凄く重要なイベントです。この日にどう行動するかでその人の人生が変わることだってあるかもしれません」

「うんうん。とっても大事な日なのよ」


 ふむ。“ばれんたいん”というもので人生が変わる、ですか。

 これは、相当に重要なもののようです。

 それに、女の子にとって、というのも気になります。性別が関係しているとはどういうことなのでしょう?


 一体、何をするものなのか。

 心してその説明を聞きましょう。


「バレンタインとは……」

『ばれんたいん、とは……?』

「投資の練習なのです」

「そう。トウシの……ん? 癒香? 投資?」


 投資、ですか。

 確かにお金は重要ですが、投資に限定する必要性が見当たりません。

 それに、女性のみ練習するというのも合理性に欠けるような……。


「いいですか、ラピスさん、アウィンさん。この日、表面上では女性から男性へとチョコレートというお菓子が渡されている光景をよく目にします。しかし、それはただの先行投資。本命はホワイトデーという1ヶ月後のお返しで得られる利益の方なのです」

「ちょっと、癒香……!?」

「誰にチョコを渡せば見返りが大きいのか。より良いものに変わるのならそれもよし。学生ならば内申点、社会に出れば上司からの評価にも繋がります。ただ、注意点として、世俗的なバレンタインの意味合いに、好意を持った異性へチョコを渡すというものがあります。投資の練習で勘違いされないよう、相手を見極めるというのも」

「ストップ! 癒香、ストーップっ!」


 なるほど。

 恐らく、好意を持った異性へ渡すというものが投資の練習という意味を持つようになった結果、女性のみが行う習慣という位置付けを確立した要因となったのでしょう。


 確かに、ご主人様(マスター)やケンを見ていれば、ヒューマン社会では、男性よりも女性の方が強いように感じられることが多々見受けられます。

 この、バレンタインという行事に女性の強さが隠れていたのですね。


『これは、ワタシ達もバレンタインを経験すべきだと判断せざるを得ません』

「そうなんですか、ラピスさん?」

「ま、待って、アウィン! ラピスも! 癒香のこの説明だけでバレンタインを決めつけるのは……」

「この投資に成功すれば、資金を増やすことが可能ですよ、アウィンさん」

「資金っ! 癒香お姉さん! それって、お金のことですねっ!?」


 金銭と強さを同時に手に入れることができるとは、ヒューマンも恐ろしい慣習があるようです。

 バレンタインで人生が変わる……。ここまでの説明でその言葉も納得のいくものになりました。


 アウィンもどうやらバレンタインに興味が出てきたようです。

 お金が絡むと目の色を変えますからね、あの子は。


「癒香お姉さん! どうすれば、お金がもっといっぱい……わわっ!? ユズお姉さん!?」

「アウィン! あなたはここにいちゃダメよ! せめて、せめてあなただけでも純粋なバレンタインを過ごさせてあげるから……っ!」

「トーシが……! わたし達のお金がぁ……っ!」


 虚しく響く、部屋の扉が閉まる音。

 遠ざかっていくのは、ユズの足音とアウィンの嘆き。


 取り残されたワタシと癒香はどうすればいいのでしょうか?

 何のためにユズはワタシ達を集めたのか結局分からないままなのですが……。


「あらら、ちょっと冗談が過ぎてしまいましたね。本当はみんなで素材集めをしたかったのですが……。行ってしまったものは仕方ありません。ラピスさんと私だけでもイベントの準備を進めてしまいましょうか」


 どうやら、ワタシのやるべき事は癒香が知っているようですね。


 バレンタイン。

 このイベントを乗り越えた時、ワタシは更に強いワタシへと変貌しているに違いありません。


 待っていてください。

 ワタシの全ては、ご主人様(マスター)のために……。

後編は近日公開ということで……。汗

(明後日公開と言えないチキンな作者の図)

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