(旧)タメシギリ・ハプニング
どうしてこうなった(困惑)
その武器は刀だった。
確かに僕は刀を使ったことがある。
が、それをガンツに話してはない。
「俺の持っている能力の一つに相手の適正と、力量を測れる能力がある。そいつを使っただけだ」
疑問が顔に出てたのだろうガンツは教えてくれる。
「じゃあドロシーが武器を選ぶ必要ないじゃないか」
「まぁそうなるな。そもそもドロシーがいる時点で話がこじれるのは解ってたからな。ドロシーは何を言っても都合の悪いことは無視だからなほっとくのが一番だ」
ガンツの言葉に僕は苦笑し、ドロシーはブーイングする。
「それはまぁいい。それで俺が言った言葉覚えてるか」
「たしか、職業と種族が案外いい組み合わせみだったかな」
気を取り直してガンツの問いかけに答える。
「そうだ。その答えがこの武器だ」
「でも、刀って皆持ちたがるせいで溢れ返ってるし地味じゃない」
ガンツの言葉を否定するかのようなドロシーの発言
「馬鹿やろう。武器は実用性が一番大事だろうが」
「まぁ、ドロシーが派手好きなのは初対面の時に解ってるけど、武器に個性を求めるのはどうかと思う」
ガンツの文句にドロシーへの仕返しとばかりに便乗する。
初対面の時の話題は触れてほしくないらしく、慌ててドロシーは口に人差し指を唇にあて黙っててと無言で言ってくる。
まぁ、解ってて言ったのだけどね。
「ん。やらかしたのかドロシー」
「い、いや、何にもやらかしてないよ」
ガンツの質問にドロシーは目を泳がせながら答え、『ねぇ』と僕に訊ねてきたので全力で目をそらしてやった。
ハァとガンツはため息を付き言う。
「その件は後で、じっくり聞くとして。とりあえずドロシー、試し切り用の案山子を出してくれ」
ドロシーは僕を睨みつけてくるので、笑顔を浮かべ親指を立ててみる。
ドロシーにチョップされた。
「はいはい。案山子ね」
ドロシーが手を叩くと鍛冶屋から白い空間へと変化する。
そして、傍らには怯えたウサ耳をした僕と同年代ぐらいの少女が立っていた。
「おい、ドロシーさっきレイに悪ふざけも大概にしろって釘刺されたばっかりじゃないか」
どうやら、ガンツは僕の発言をそう捉えたらしい。
ただの、意趣返しだったつもりなんだけどね。
「巨乳は滅びればいい」
ドロシーは真顔で言う。
ドロシーの言うとおりウサ耳少女はちょっとだけ胸が大きかった。
「僕にコレをどうしろと」
「思い切ってバッサリいちゃって」
ドロシーがジェスチャー付きで言うとウサ耳少女はビクッと体を震わす。
「出来るか」
「しょうがないな」
僕の叫びにドロシーは残念そうに手を叩く
すると、そこには目隠し猿轡をされ簀巻きにされているさっきのウサ耳少女が現れた。
「コレでいいでしょ」
「「余計に悪いわ」」
やり遂げた顔をして言うドロシーに僕とガンツが怒鳴る。
コレは一度ドロシーを懲らしめたほうがいいだろう。
刀を抜きウサ耳少女の前に立つ。
右下から左上に、
左下から右上に、
上から下に、と流れるように計3回刀を振る。
確かな手ごたえを感じる。
ドロシーもガンツも僕の行動に唖然している。
僕が使ったのは幻影斬と言う技で効果は相手に斬られたと錯覚させる。
そういう事で、実の所ウサ耳少女には傷一つ無い。
せいぜい、斬ったのはウサ耳少女を拘束していた目隠し、猿轡、簀巻きだけだ。
だけ、だったはずなんだけどなぁ。
しゅるりとウサ耳少女を拘束していたものすべてが外れると共に察しのいい人は気づいただろうが、服がストンと落ちた。
「にゃっ」
僕はなんとも情けない悲鳴を揚げ慌てて後ろを向く。
「ドロシー、服を」
ドロシーに救援を求めると、唖然としていたドロシーはニヤニヤと笑みを浮かべながら答える。
「解ったわ」
案外素直だ。
絶対何かたくらんでるな。
だけどこの状況では下手に止められない。
「もういいよ」
ドロシーの言葉に振り返るとそこには、顔を真っ赤にしたウサ耳少女が居た。
「不束者ですがよろしくお願いします」
ウサ耳少女は頭をさげる。
どうしてこうなった。
この光景にガンツは苦笑、ドロシーは相変わらずニヤニヤしてる。
「駄目だよ。あんなことして辱めたんだから責任とって娶ってあげなきゃね」
どうしよう。逃げ場がない。
「あー。えっと、出来れば友達から始めませんか。ほら、お互いよく知りませんし」
僕のしどろもどろ発言が琴線に触れたのか、顔が真っ赤なウサ耳少女はしばらくもじもじしていたが意を決したように涙目で抱きついてきた。
にゃー!!。色々と柔らかくて良い匂いで温かくて・・・って何言ってるだ僕は、でもでもでもでも、というか何この状況。顔が熱い、思考が纏まらない。
どうする、どうする、どうする、どうs
突然すべてがブラックアウトした。