パートナー2
ちょっと過激かも・・・
ガンツが言う通り武器をガンツに渡す。
「あっ、あの、何ですかこの衣装」
「いいから、いいから」
「普通の衣装がいいのです」
「いいから、いいから」
背後ではウサ耳少女とドロシーが揉めている。
つか、ドロシーどんな衣装を着せようとしてるんだ。
「おい、後ろが気になるのはわかるがこっちの話も聞いてくれよ」
「ああ、すまない」
ガンツも気まずい顔をしている。
やっぱり背後の二人の会話が気になるんだねそっちも。
「で確認だが、お前がやろうとしてたのはレミ・・ウサ耳を傷つけずに拘束具だけ斬るつもりだったんだな」
レミってなんだ。ガンツは何を言いかけたんだ。
ウサ耳少女の名前だろうか。
そういえば、まだ名前すら知らなかったな。
色々ありすぎて・・・。
名前なんて言うのだろうか。
「今はそんなことはいいんだよ。お前が何をやろうとしていたのかが問題だ」
「ああ、確かに僕は拘束具だけ斬るつもりだった」
今、考えていた事を読まれた気がする。
気のせいだよな。
「でだ、お前はアレには絶対的な自信が有ったんだよな」
「ああ」
あの技は、幻影斬と言って格下の相手を脅すと言うものだ。
この技は僕が覚えた技の中では最も練習量が多くて、最も得意とする技だ。
そして、師匠から始めて教わった思い出深い技でも有る。
そもそも感情に流されて刀を振ったこと事態が恥なのだ。
そこに更に得意とする技の失敗と言うのは精神的にくるものがある。
「で、ここからが本題だがお前さんの太刀筋に違和感を感じた」
「太刀筋に違和感か。それはつまり僕の太刀筋がおかしかったと言うことか」
「いや、そういうんじゃねぇ。刀がおかしい気がするんだ」
「刀がか。僕にはよく解らないな」
「鍛冶師としての勘みていなものだから気にすんな」
僕にはよく解らないので、じっと黙ってガンツを見守る。
ガンツはと言うと刀に視線を向け、何か呟いている。
一体何をしているのだろうか。
そして、呟き終わると急にしかめっ面になった。
何かわかったのだろうか。
「やはり、この刀は不良品だったか」
「不良品だって。僕にはそう見えなかったけれど」
「見た目では判断できなだろうが、5センチも刀身が長かった事が今解った」
5センチ長かったと不良品の因果関係がよく解らない。
どういう事だ。
「まぁ見ていろ。すぐわかる」
そう言うとガンツは巻きわらを一つ出現させ、刀を抜く。
「これ持ってな」
鞘をこっちに投げて寄越してきた。
っておい。鍛冶師ならもうちょっと丁寧に扱え。
「今から刀を軽く振るから良く見てな」
そう言うとガンツは、刀をあまり早くないスピードで振る。
すると巻きわらに浅く傷が付いた。
「そう言うことか」
目で追えるスピードで振ってくれたから気づけた。
ガンツの振った刀の切先は巻きわらに触れるか触れないかという所を通過した。
それなのに、巻きわらには浅くでは有るがくっきりと傷跡が残っている。
明らかに、刃が触れてない部分が切れている事が解る。
まるで刃の先端に透明な刃がさらに付いている様だ。
これがガンツが言っていた不良品と言うことだろう。
「理解できたか」
「ああ」
本当にウサ耳少女は危なかったんだな。
後一歩間違えていたら取り返しの付かないことになっていたかもしれない。
「まぁ、そう言うわけだ。本当にすまなかった」
「頭を上げてくれ。僕が色々と未熟だったのだ」
「いや、これは俺の点検不足のせいで起きた事故だ。けじめはちゃんとつける」
頭を下げ謝り、不穏な言葉を言う。
確かにガンツの言うことも解るのだが・・・。
これは、参ったな。
さて、どうするべきか。
「なら、僕とガンツの処遇は被害者であるウサ耳に託そう」
「あぁ、それが筋だな」
悩んだ末に出した答えはウサ耳少女に丸投げというものだった。
ウサ耳少女、本当にすまん。
だが、こうするのが一番だと思ったんだ。
「話は終わったかしら。こっちも着替え終わった所だから、こっちむいていいわよ」
タイミングを見計らっていたようで、話を終えた直後にドロシーが楽しそうに声をかけてきた。
こいつのこの態度をみると、急に不安になってくる。
また何か仕込んだのだろう。
どうやらガンツの方も僕と同じ気持ちなのかなんとも言えない表情をしている。
僕たちは覚悟を決めて振り返る。
そして、慌ててユーターン。
ガンツも同じようにユーターンしたようだ。
「バカじゃないかな。バカじゃないかな」
バカじゃないかな。
下着姿のままじゃないか。
これの何処が着替え終わったんだよ。
「言っておくけど、これ下着じゃないわよ。水着だから」
「いや、布面積変わってないじゃないか」
「変わってるわよ。確実に減ってるもの」
「何で減らすの、増やせよ」
「ならすく水かしら」
「水着から離れろ」
「じゃあ、全裸」
「何でそうなるんだよ」
ボケと突っ込みの応酬を繰り広げる。
本当にこの子何なの。
「ウサ耳も嫌なら嫌って言わなきゃ駄目だぞ」
「いえ、大丈夫です。むしろ見てください」
発言は痴女っぽいのだが、声が震えている所から相当無理をしてるのがわかる。
何か弱みでも握られてるのか。
「だ、だからこっちを向いてください。た、大切な話があります」
「向かなきゃ駄目か」
「は、はい」
「本当に向かなきゃ駄目」
「お、おねがいしましゅ」
「・・・・・」
「早くしてください」
緊張しているのだろうか、ウサ耳少女はあまり、うまく話せていない。
そんなに、緊張するならしなければいいのに。
このままでは埒が明かないので、意を決して彼女の方へと向く。
顔が熱い。
今、僕は一体どんな顔をしてるのだろうか。
人に見せられないような顔になってないことを祈る。
「ちゃ、ちゃんと見てください」
目をそらしていることに気づいたウサ耳少女は僕に言う。
勘弁してください。マジで。
「お、お願いします。こっちを見てください」
仕方が無いので、覚悟を決めウサ耳少女に視線を向ける。
赤いビキニをきたウサ耳少女は顔を真っ赤にしている。
「み、見ましたね。せ、責任を取って付き合ってください」
「な、何を言ってるんだ」
ウサ耳少女が顔を真っ赤にして涙目で言ってくる。
一体何がどうなったらそうなるんだ。
新手の罠か。
「ドロシー。いったい何を吹き込んだ」
「にひひひひ」
仕込んだであろう張本人を問いただしたが、あいつはこちらを見て奇妙に笑っているだけだ。
一発殴りたい。殴っていいよね。
「いえ師匠は悪くありません。私の意志です」
「何でだ。僕は君を辱めたんだぞ」
「それは、あ、あなたが・・・好きだからです」
「なっ・・・」
その発言には流石に面食らった。
「でも、僕たち出会ったばかりだし・・・互いの事―――」
言葉が続かなかった。
なぜなら、ウサ耳少女が真っ赤な顔してこちらに近づいてきたからだ。
その光景には思わず、後ずさりしてしまうほど迫力が有る。
ウサ耳少女が近づいてくるたびに僕は後ずさる。
そんなことを繰り返していたのだが、急に体が石のように動かなくなった。
「だめよ。逃げちゃ」
犯人はドロシーだった。
こんちくしょう。
「助けて、ガンツ」
ガンツに助けを求めるもののガンツは耳をふさぎしゃがみこんでいる。
えっ、マジで。
僕どうなっちゃうの。
嫌な汗が背中を流れる。
気が付けばウサ耳少女が目の前に・・・・。
そして、僕の頭はウサ耳少女の胸へと包み込まれる。
柔らかい・・・そして、いい匂いがする。
いかん。頑張れ僕の理性。
理性と本能が格闘していたところに更なる問題がやってくる。
よりいっそう強く抱きしめられたのか胸に口と鼻をふさがれ息が出来なくなる。
ヤバイ。
暴れてでも離したいが、残念ながら体が動かない。
あ、意識が遠のく・・・。
そして、僕はゆっくりと意識を手放していった。
どうなんだろ。やりすぎたのでしょうか。
全部書こうと思ったのですが、精神的にきつかったので分割させてもらいます。