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シュゾク・ショクギョウ

疲れた。

本当に疲れた。

一体何があったかと言うと話は家に帰った頃までさかのぼる。


家に帰った僕は『一握りの楽園』をインストールしようと思いゲートを起動。

すると、ゲートのメール機能に『新着メールが100件来ています』と表示された。

これには、流石にびっくりしたよ。

何事かと思いメールを開くとなんとバイトからのヘルプ要請だった。

100件送ってくるなんてもはや嫌がらせの域に達している。


正直言って嫌だった。

けれどもしぶしぶベットに横たわりゲートを装着してバイト先へログインする。

バイト先は軽く引くぐらい、ひどい惨状だった。

数人がうつ伏せで倒れてて、倒れてない人達も皆疲れた顔をしている。


「待ってたよ。もう死ぬかと思ったよ」


目に涙を溜め震える声で社長は言う。

社長は20代前半の女性なんだけど、メンタルは小学生並みなんだよな。

これでよく社長が務まってるものだ。


何があったか聞いてみた所この社長、

つい勢いで大量の仕事を受注したのはいいが処理が全然、追いつかなかった。

この事がばれたらヤバイと考えた社長がとった行動は、事実を隠しひそかにポケットマネーで数十名を手伝いとして雇って処理をしていた。

だが、とうとうこの事実が発覚し秘書からお叱りを受けたらしい。

受けてしまったのは仕方ないので、秘書が整理をしてみると。

期限が今日までの仕事が大量に見つかり緊急招集を掛けられたということだった。


これでよく社会人が務まってるものだ。


それからと言うものずっと大量の仕事を処理していき、

ようやく仕事の処理がすべて完了した。

これでようやく開放される。

精根尽き果てたような仕事仲間達に声をかけさっさと上がらせて貰う事にした。

帰り際、社長に涙目で感謝をされ『特別ボーナス楽しみにしてて』と言われた。

どうやら、今回の一件は特別ボーナスが出るんらしい。

特別ボーナスに期待をしながらバイト先からログアウトする。


ここまでが事の顛末である。

まったく、酷い内容だ。


ゲートをはずし、一度ベットから起き上がる。

さて今は何時だ。

ゲートに内蔵されている電波時計で時刻を確認する。


時刻は午後6時

『一握りの楽園』のインストール作業だけでも先に始めますか。

あれだけ大変なことをしても、ゲームをする気力が残ってる辺り自分の特異体質に感謝だな。


貰ったチケットをカバンから取り出しシリアルコードを入力。

すると、インストールが開始する。

それと同時に、インストール完了推定時刻も表示される。

インストール完了推定時刻は午後7時となっていた。

やはり、それなりに時間がかかりそうだ。

それならば、その間に夕食等を済ませてしまおうか。


一人暮らしをしている身なので家事をすべて自分でこなさないといけない。

しかも、この家事と言うのは意外と時間をとられるもので。

夕食と、残った家事の片付けに二時間はかかってしまった。


すべてを終え戻ってきた頃には、ゲートへのインストールは済んでいた。

ようやく遊べる。


ベットに横になりゲートを装着。

そして期待を胸に『一握りの楽園』を起動する。


なんだこれ、眩しい。

目の中に光が入り込む感覚に思わず目を細める。

次第に光は収まり気がつくと、薄暗い部屋に一人椅子に座っている状態だった。

あんまり趣味がいいとは言えないなこの演出。

さてと、どうすればいいんだ。

自分しか居ない状況に悩む。

普通こう言うのはサポートしてくれる何かがあるはずだろう。


「誰か居ませんか」


ためしに、呼びかけるが返事は無い。

相変わらずシンと静まり返っている部屋。


本当にどうすればいいんだ。

本気で困っていると突然、ガコンと機械音がなり床から何かかがせりあがってくる。


さすがに、ビビった。

体がビクンと反応したぞ。


舞台装置の奈落か何かだろうか。

だから、こう言う悪趣味な演出はやめてほしい。


それにしても一体何が出てくるのだろう。

現時点ではまだ解らない。

恐らく危険なものではないだろうが、用心の為に椅子から立ち上がり構えておく。


「えっ」


奈落も上がり、姿を現したのは魔法少女だった。

正直、自分でも何を言っているか解らない。

だが、事実そうしか言えなかった。


ピンク色をベースにしたフリルが付いている衣装を着ていて。

手にはピンクの塗装され、色々と装飾がついたおもちゃみたいなステッキ。

何処からどう見ても魔法少女だ。


さすが、ゲームの世界だ。

だが、どう反応していいやら困る。


そんな事はお構いなしに、少女はエーイとステッキをふる。

次の瞬間、色々なことが起こった。

部屋の一部が明るくなったり、

気づいたらステージが出来上がってたり、

レーザー光線の光が照射されてたり。


これはアレだ。

コンサート会場だ。

流石の演出に思考が止まる。

なんだこれ。


『みんなードロシーのライブに来てくれてありがとー』

イエーイ


ドロシーが言うと、明らかに録音したような完成が響き渡る。


『みんなのアイドル。ドロシーちゃんです』


もう一回言う、なんだこれ。

こんな時なんと言えばいいのさ。

脳をフル回転させようやく一つの答えを見つけだした。


「チェンジで」

「むー。ドロシーじゃ不服なの」


口を尖らせ拗ねているようだが、正直そんな顔をされてもねぇ。


「不服だよ。なんで人生初のVRMMOで開始早々こんな濃いキャラと出会うんだよ。VRMMOのイメージ壊れたよ」

「あっれー。初めてだったんだVRMMO。ごめん、ごめん。でもドロシーの可愛さに免じて許してね☆」


絶対、反省してないだろこいつ。

それならば、いいだろう。とことんやってやろうじゃないか。


「何を言ってるだ。このぺチャパイは」


魔法の言葉を唱える。

すると案の定、ドロシーの頭には青筋が浮かんでいる。


「いま、なんて言ったのかな生意気なお嬢ちゃん」

「いや何も言ってないよ。気のせいじゃないかな。後、僕は男だ」

「ごっめーん。可愛いからてっきり女の子にみえちゃった」

「そうか。気をつけてね」

「えぇ気をつけるわ」


勝ち誇った顔を浮かべてくるが、これで終わらせるはずがないじゃないか。

まだまだ、ここからだよ。


「ドロシーも『胸は男みたいだね』と言われたら嫌だろう」

「男の癖に器が小さいわね」

「たとえ話に目くじら立てられても。それと、僕の器はドロシーの胸よりは大きいつもりだよ」

「よーし。そこに直れ全面戦争だ」


彼女が今すぐにでも暴れそうだったので仕方ないから関節技で押さえ込む。

そう、仕方ない。

仕方ないから僕の怒りを受けとめてくれ。


「ギブギブ」


涙目で、訴えてくる。

如何しようかな。


「もう暴れないって約束するなら離してあげる」

「暴れません」


あっさり誓ったので、開放してやる。

よし、これで僕の完全勝利。

大満足だ。


「あー、痛かった。もうちょっと、女性には優しくしないとモテないよ」


嫌味のつもりだろうか、間接をさすりながら言ってくる。


「優しいつもりだよ。そっちがバカな事をやらない限りは」

「私から、それを取ったら何も残らないのに」


それはそれで、大問題だろう。


「まぁいいわ。少し真面目にやってあげる」

「最初からそうしてくれよ」

「はいはい。行くわよ」


ドロシーが手を叩くと半透明のウィンドウが目の前に現れる。


「まずはキャラクターネームを入力してね。ただし名前は重複はできないから使えない名前があるかもしれないけど、その場合は違う名前を付けてね」


ウィンドウに、あいうえお表があらわれた。

おぉこんな感じなのか。


とりあえず自分の名前である『レイ』と入力してみる。


「その名前は使えるわよ。これでよければYESを押してね」


ウィンドウにYES・NOのパネルが表示されるのでYESを押す。


「次に種族と職業の選択ね」


ウィンドに種族一覧や職業一覧が表示される。

結構たくさんあって選ぶのが大変だ。


やっぱりここはランダムに身を任せよう。

ランダムに選択されたもので工夫して遊ぶ。

一種の醍醐味だね。

決して面倒になったわけじゃないよ。


種族、職業、伴にランダムを選択する。


「おぉ、大博打を打ったわね。これでいいのね」


YESを押す。


「最後に髪の色と目の色を選択してね」


ウィンドに表示された色見本を見てみる。

結構種類があるんだね。

そういえば昔、圭吾に白髪・赤目は主流だと力説されたっけな。

ちょうどいいので、白髪と赤目を選ぶ。


「中二病かな」

「中二病いうな」


さすがにそれは嫌だ。

そう、思いつつもYESボタンを押す。


「さてさて、結果はどうなったかな」


ドロシーは一枚のウィンドウを呼び出し僕より先に見る。

あれ、こう言うの先に僕に見せないか普通は。


「おぉ、すごいことになってる」


一体何が起きた。

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