7話
汗を流し風呂場を後にする。
バスタオルを取りに行こうとした際、洗面台にある鏡に自分が映ったのを視野が捉えた。
足を止めなんとなくその姿を眺めてみる。ひどい顔…。
どこか憔悴と陰鬱を綯交ぜにした表情の自分と目が合う。顔に右手を這わす。疲れのせいじゃないのは自分がよくわかってる。
そのまま手をスライドさせ胸の付け根をなぞった。なんであんな事したんだろ…自分でもその時の記憶が曖昧。
悔悟の念を抱きその場にしゃがみ込んで膝を抱えると、静けさが辺りを包み込んだ。水分を含んだ髪からポタポタと水の滴る音だけが耳に入る。
「………………」よしっ!落ち込んでても仕方ない。
これからあっちゃんの傷を癒せるよう頑張るっ!頑張るんだ!ガンバルンバ!古いっ!
もう一度鏡に自分を映し気合いを入れるため両手で頬を叩く。高見盛のごとく…っていうのは嘘だ。
パンッと爽快な音が洗面所に反響する。
体を拭いてなかったため足下にちょっとした水溜まりができていた。拭かなきゃ。
現在私はあっちゃんの家にお世話になっているため私物が多く持ち込まれていた。だから服は自分の物だしもちろん下着もだ。
パジャマに着替え脱衣場を出ると醤油の焦げたいい匂いが鼻に付く。ん~グッドスメル。
リビングに足を踏み入れるとあっちゃんがキッチンに立ちフライパン片手に何かを作っている。
「何作ってんの?」
出来る限りの明るい声色で言うと同時に抱きつく。
「璃子危ない」
冷淡な口調で私を叱る。
「ごめん」
絡めた両手を解き冷たい言い方に俯き黙ってしまう。
やっぱりまだ怒ってる。
するとあっちゃんはこちらを振り向き、
「あぁもう!そんな顔しないの!野菜炒め作ってるからちょっと待ってて」
微笑むと頬を摘まれむにむにされる。
さっきの事等なかったように振る舞ってくれるあっちゃんに私は悦喜し「うんっ」と返事を返す。