19話
なろうの流行りの傾向として需要がないのは重々承知していますが、それでも観覧、ブックマークしてくれた方々がいてくれるのは、励みになっています。
「ぐへへ」
「ウザい」
「ぐふふ」
「うるさい」
「ぐははっ」
「キモい」
「キモいは言い過ぎ!」
あっちゃんとのキスの余韻に陶酔していたら、非情な一言が飛来して、私は異議を唱えた。
現在、私達はアイスを購入した後、店内に備え付けてあるベンチに腰を並べて、談笑中。
「さっきから何をそんなににやけてるんだ?」あっちゃんが私の奇妙な態度について言及してくる。
「あっちゃん、愛してるぜ」とりあえず愛の告白をしてみる。
「…全然答えになってないけど、そりゃどうも」
軽くあしらわれた所で、私はアイスをペロペロ。ちなみに組み合わせは、人気度の高いものを三つチョイスし、コーンにした。
「う~む、やはりアイスは美味いですな」
「アイス一つで機嫌が直るなんて、璃子は扱い易くて助かる」
「…そういうのは口に出さないで欲しいな」
「あ~ほら、ほっぺにアイス付いてる」
ますます子供だな、とあっちゃんは呆れたように言うと、ポケットティッシュを鞄から取り出し、「ほれ」と一枚私に手渡す。
「舐めとっておくれ」ティッシュの受け取りを拒み、私は頬を差し出す。
「……」
「イタいイタい」
無言で頬に付着したアイスを、荒々しく拭われた。もっと優しいの所望。
「さっきのあの娘、親が見つかってよかったな」
目の前を忙しなく行き交う人達を眺めつつ、あっちゃんがそんな独白を零した。
「さっきの娘ってみっちゃんのこと?」
「いや、名前は知らんが…璃子って子供が好きだったんだな」
「だってちっちゃい子って可愛いじゃん。無邪気だし元気だし」
私にもあんな時期があったんだなぁと思うと感慨深い。今では遠い昔のようだ。
「あっちゃんはどう?」
「ん~ちょい苦手かな。どう接したらいいのかがよくわからん」
「あっちゃん、一人っ子だもんね。私は妹がいるから子供の扱いには慣れてるの」
今は思春期を迎え、小憎たらしいけど。
「璃子の扱いには慣れてるんだけどな」
「私もあっちゃんの扱いには慣れてるぜ」と言いつつ、コーンをガジガジ。
「そうかい」今度は冷たくあしらわれた。
それから、デパートを心ゆくまで満喫して、私達は自宅に帰還した。
「やっぱり我が家が一番」見慣れた空間に名状しがたい安堵を覚え、背筋を思いっきり伸ばす。んぬぬ~。
「正確にはここは私の家であって、璃子は居候だけどな」
あっちゃんがわざわざ私の発言を訂正してきたので、私はムキになって、
「いいのっ私達の愛の巣なの!」
「あ~わかったわかった」
投げやりな口調だったけど、それはどこか嬉しそうに私には見えた。




