15話
約1年ぶりぐらいの更新。待っていた方は殆ど…というか全くおられないと思いますが、よろしかったら読んでやって下さい。
なんとなく結末は決まっているのですが、5つ程の作品を平行して進めていたら(書きかけも含めると膨大な数)、こちらの存在を失念していました。
次に思いついた作戦といったら、みっちゃんを肩車することだった。
愚直な考えだけど、俯瞰する形になるので、案外、妙案じゃないかろうか、と自賛。
「みっちゃん肩におのんなさい」
「へ?なんで?」とみっちゃんは無垢な表情を湛え、小首を傾げる。
「高い所から見渡せば、ママが見つけられるかもって思ったの。どうする?高いところが嫌いだったら、無理強いはしないけど」
「ううん」首を振り、「乗ってみたい」と進言してきた。
その言い方だとただ単に、肩車をして欲しいだけに聞こえるけど、まぁいいか。
搭乗しやすいようにしゃがみ込むと、みっちゃんが私の肩に乗る。それを確認したのち、腰を上げる。ふむ。見た目相応、みっちゃんは軽量だ。これぐらいの軽さだと、惰弱な私でも長時間、耐えられるはず。
「どんな感じ?よく見えるでしょ」頭上に覗くみっちゃんを見上げて、乗り心地を窺ってみる。
「うん。これならママを見つけられるかも」
「よしっ。じゃあ出発」と私は行進を開始する。
これが事態の打開策となればいいけど。
10分程、店内を散策していると、「…しっこ」みっちゃんから何か声を掛けられた。お客さん達の喧騒に呑まれて、よく聞き取れず、「へ?なんか言った?」と聞き返す。
「おしっこしたい!」
今度は喧騒に負けぬよう朗々と声を張り上げ、生理現象が限界を迎えたことを伝えてくる。
「あぁトイレね。了解」
みっちゃんを背負ったまま、女子トイレに向かう。
到着してみっちゃんを下ろし、「一人で大丈夫?」と問う。
「うん。だいじょうぶ」
そう首肯したみっちゃんは、個室へ駆け込んでいった。よっぽど我慢していたのかな。
特に尿意を催してなかった私は、トイレに備え付けてある鏡とにらめっこ。
「あらら」みっちゃんが頭部に掴まっていたからか、あっちゃんにセットして貰った髪型の造形が崩れてしまっていた。勿論、一人では直せないので、解くと手櫛で整える。う~ん。手櫛で元の形に補修するのは、やっぱり限界があるな。若干、お団子の残滓が付いているけど、そこは妥協する他ない。櫛、忘れた。
「そういえばいま何時だろ?」
ケータイを鞄から牽引して、時刻確認。
「あっ」
あっちゃんからの着信が何件も入っていることに気付き、焦燥感に駆られる。ヤバイ。これは絶対お怒りだ。
私は怒鳴られるのを覚悟で、あっちゃんに電話した。