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プロローグ
甲子園――
高校球児の憧れの場、野球の聖地――
そして俺は今、そこにいる。
ゼロ行進を進める決勝戦、十二回裏の俺の打席で交代した投手
それは、見惚れてしまうようなサブマリンだった。
全く無駄の無いフォーム、アンダーでありながら速球。実際、俺は見惚れていた
その速球には『東の怪物』と言われる俺すらファールで精一杯だった
そして、彼が三球目を投げようとしたとき――
「あっ…………」
突然の風の悪戯で飛んで行った、背番号『1』の帽子の下には――
長くきれいな黒髪に、整った美しい顔――
マウンドの上にいるのは
一人の、少女だった