表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/53

某月某日 飼いモノの始末

特に猫の好きな方にはごめんなさい。かなりぐろいので苦手な方は本当に見ないでください。

 あんがい途切れることなく、猫は飼い続けている。


 幼い頃には三毛猫がいた。よくお産していたらしいが、あまり記憶がない。

 昔のことだし、田舎だったので猫に避妊させる、という発想は多分ほとんどどこの家庭にもなかったと思う。

 どこのうちでも、子猫が生まれると放って半野生においたり、箱に詰めて道端に置いたり(たいがいが他の獣に獲られてしまう)、川に流したりしてしまう。犬もしかり。

 野良猫、野良犬がまだ当然のようにその辺を闊歩していた時代だからね。

 だからタイを旅行した時、すごくなつかしい気分になったよ。あ、うろつくイヌネコだ、って。

 ちなみにうろつくイヌネコには決して手を出してはいけないよ。恐水病にはなりたかないからね。


 まあそれはおいといて。


 だから遊んでいるとけっこうな頻度で捨てられた子猫なんかもみかけた。特に4月からの春先。

 小川に茶色い紙袋が膨らんでおちている、なんてのも拾い上げてみたら中から……なんてのも。


 そして時が過ぎ、オイラも巷の学生さんとなり、何代目かの猫を飼っていたときの話。

 その猫も近所をうろついていたのを拾い上げて育てていたのだけれども、やはり避妊というあたまはなく、次々と子猫を産みまくった。


 それでもその頃には、さすがに簡単に子猫を処分することはできず、生まれるたびに知人や友人のところに電話をかけまくり、身の振り方を相談させていただいてましたよ。


 なぜかその当時、近所にシャム猫が住み着いていた。

 そしてそいつがうちのコの連れ合いになったらしく、ある時から生まれる子猫がみょうにオシャレな銀毛やグレイのトラやらと洋猫のかほりが漂うように。


 するとニンゲン、薄情なもんですな。「次に生れたら譲って」というキトクな方も出てきた。


 そんな中、ついに出産の朝。


 この母猫、愛嬌はないがこの自分にはなぜか懐いており、お産はいつもオイラの枕元で、と決まっていた。なのでその時もオイラは半分寝ぼけながら産気づいた母猫の腹をさすってやったり声をかけたりしたものですわ。


 その朝も、目がさめた時にまずまっ先に箱をのぞいた。

 何もおりません。しかもかなり静か。

 ふと足元の布団の上を見ると、母猫がこちらに背中を向けて、何かぴちゃぴちゃと音をたてている。

 少し離れてかなり小さな三毛猫。なぜか久々の三毛猫。しかしそれはもう冷たくなっていた。

 もう一匹は大丈夫だったんだ、それで舐めてキレイにしているのか、そう思ってみるとさにあらん。

 

 母猫は端からキレイに口におさめている最中でした。


 何とむごいことを、自ら生んだ子をその場で! そう思いよく見ると、何とその子の腹は元々くっついておらず、内臓が剥き出しの状態で生まれていたのです。あまりにも綺麗な開き方で、あけびを思い出させるような。


 どうも、今度の父親とは相性が悪かったのか、それとも母猫の体調が悪かったのか、このお産では元気な子猫を産むことはできなかったようです。


 このケダモノの割り切り方、いまだに強烈な印象ですわ。

 見たもののグロさよりも、このスタンスがね。


 でもニンゲンはもっともがいてもいいと思ったけどさ。


 単純に、身体が悪いからそうか始末したんだね、などと思ってはいけない。そんなことを思うようになると「キレイなものだけ残ればいい、普通と違うモノはどんどん始末しよう」なんて簡単に考えられるようになる。

 まあ、そう思ってしまう点ですでにそれは普通とは違うんだろうが。



 とにもかくにも……アンタならどうする? をつきつけられた春の朝でしたわ。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ