某月某日 飼いモノの末路
犬ねこ金魚、とカイモノの多い我が家。
食からしつけから(金魚には必要ないか)、何かと気苦労もあるのだが癒しにもなるし。
それでもお別れのことを考えると、確かに気鬱にはなるわな。
元々、ドウブツはそれなりに好き、という性格上、昔からいろんなペットを飼ったものですわ。
バリバリと働いていた独り身の時代には、なぜかゴールデンハムスターと暮らしていて、転勤時もアパートで同居。たまに週末帰る実家にも連れ帰っていた。
とても懐っこいヤツで、カゴから出すとどこかにもぐったりうれしそうに近くに来たりして無心に遊んでいた。
ところが、実家に帰ったおり、カゴから出して遊ばせていた時のこと。
さてカゴに入れて帰り仕度してアパートに帰ろう、と探したところ……
齧られた延長コードの近くに横たわる彼を発見。
まだ温かさの残るからだを拾い上げ胸にかき抱くと、彼はまさにわが手の内で息を引きとった。
口の端に血の塊をこびりつかせて。
死因は感電死。家族からは「ヨコハマに帰りたくなくてジサツじゃないの?」と軽く言われ、更なる傷心を抱いたままアパートへの帰路につく。
やがて傷も癒えた頃、今度はジャンガリアンハムスターと暮らすことに(懲りない)。
こちらもすぐに慣れ、やはり帰宅するたびにカゴから出して遊ばせていた。
ある晩。
その日は出張先の納入機器に大トラブルがあり、早朝から夜まで激怒ユーザーのもと、針のむしろに座りながら原因究明と対処に奮闘していた。更にカイシャに帰って担当者と打合せもあり、ボロボロになって帰宅したのさ……もうすぐ12時、って頃ね。
まずハムちゃんをカゴから出してやり、着替えしていたら電話が。
トラブルの原因となったバグを出したプログラマーからだった。
彼は天才肌で、今回のトラブルも最初は「あり得ない、現場で対応して」と言い切っていたものの、午後の切り分けで判明した原因を連絡してからは一転、遠方のサポートセンターで懸命に直し作業をしてくれていた。
本当に申し訳ない、ごめんなさい、妙に素直だがしかし滅茶苦茶長いお詫びの電話。
うん、うん、もういいからだいじょうぶ、先方も納得したから、となぜかなだめ役に回りながらふとサイドテーブルが壁から少し離れているのを無意識に足で壁に寄せ直し、延々と続く繰りごとにつき合う。
ようやく電話が済んだ。コバラも減ったし何か食べよう、そうだハムちゃんをまずカゴに戻して一緒にご飯食べよう。
エサ袋をガサガサさせたが、彼は出てこない。
疲れていたので探すのをあきらめ(朝になるとよくひとりでカゴに戻っていたので)カゴの戸口は開けっぱなしで、自分はそのまま寝てしまう。
翌朝になってもハムちゃんは出て来ません。まずい、捜さねば。
捜して捜したオイラが発見したものは……無残にも、サイドテーブルと壁との隙間に挟まれて固まっていたハムスターの姿でした。
死因は圧死。
それでもどうしてイキモノと関わってしまうのか、いまだに謎ですが。
しょせん学習能力のない哀れなイキモノなのですね、こちとらが。