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某月某日 うさぎやさんが来た、袋を持って

ウサギを愛する方には申し訳ありません。

 先日書いた中に、民家の軒先に棒に挟んだマムシが干してあった話を載せたのですが、それを取りに来る業者さんがいる、というところでまだ続きが。


 かなり昔、近所の友人宅でウサギを飼っていた。

 大きな農家で、母屋の他にも小物と呼ばれる納屋や離れが中庭を取り囲むように並んでいて、母屋の裏には小さな畑と、更に納屋がいくつかと並ぶように件のウサギ小屋がひとつ。

 ウサギはつがいでして、春になると可愛い子どもが次から次へと生まれたのでした。

 全部で6羽と言ってたかな。その友だちはたいそう喜んで、小屋に入って菜っ葉を食べさせたり、そっと抱いたりしていたそうな。

 ある日、一人で留守番をしていると見知らぬオジサンが大きな袋を持って訪ねてきた。

「お母さん、いる?」

 聞かれた友だちが「今、田んぼに行ってる」と答えるとそのオジサンは更に

「あのさ、ウサギが生まれたんだって?」と聞いてきた。

 友だちは、あっ、この人もウサギが生まれたのを知ってるんだ、とびっくり。

「見せてもらっていい?」とニコニコしているので、そうか、このオジサンもかわいいウサちゃんがみたいんだな、と友だちはその人を裏庭の小屋まで案内した。

 オジサンは「おー、いたいた」と嬉しそうに小屋を開けると、何と、次々と持っていた頭陀袋の中にそのウサギの仔を放り込み始めたのだと。

 あぜんと見守る友だちに、彼は

「あのね、お母さん帰ってきたら『うさぎやさん』が来た、って言ってくれる?」

 そう言い残し、去っていったそうな。



 あんたねー、そりゃ、かなりのショックだったさ。友人は大人になってからも何度かその話をしてくれた。

 あんたね、うさぎ屋だよ、ウサギヤ、知ってた?


 あとで大人に聞くと「だってソーセージとかさ」との返答だったが。

 そう言えば、昔のソーセージとか肉団子とかの食肉加工品にはよく原材料に

『畜肉(豚、その他)』とあった記憶が。

 その他の部分に、ついあの友人の話がかぶってしまったオイラでした。

 現在でも、どうも生鮮食品品質表示基準というものを見る限りでは単に肉類という分類にしても

『牛肉、豚肉及びいのしし肉、馬肉、めん羊肉、やぎ肉、うさぎ肉、家きん肉、その他の肉類』

 という表記なので、特に問題になることではないのだが、やはり

「うさぎやさん」

 が親の留守中に来て、目の前でうさぎを袋に投げ込んで行った、というのは何だか民話にでも出て来そうなシチュエーションかなー、と。



 今ではみません、ウサギ屋さん。どこで何をしているのやら。 

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