某月某日 リアルマムシ騒ぎ
夕御飯もお終い、という頃。
庭のわんこが「うーわん」と短く何度も咆えては、地面を見ておりました。
気にした家人がひとり、庭に出てのんびりこう言ったのです。
「あー、ヘビだ、蛇」
見に行ってみてちら見。そして、二度見。それから、ガン見。
柄が……そしてその頭の形。
痩せてはいたものの、どう見てもマムシでは。
人の気配に怯えて入った隙間から、今度はしっぽの先だけ覗かせていたものの、そのしっぽをずっと小刻みに震わせております。
近くのトタン板に当たって、シャカシャカと軽いビートを刻んでおりました。
「それ、たぶんマムシ」声に出したとたん、家じゅう大騒ぎですわ。
警察か、消防か、保健所か? しかし時刻は既に夜の8時過ぎ。
近所のマムシ大好きおじさんでも呼ぼうか、という話にもなったが、何だか殺されてしまうのも忍びなく(多分酒に漬けこんでしまうので)。
結局、じゃんけんで負けた人(マイ相方)がもぐりこんだ角材をそっと取りのけ、火ばさみで頭をぎゅむ、と掴んでそのまま裏の川にぽい。
火ばさみで掴んだ時も、うねうねと嫌がりはしたものの、それほど暴れもせず。
それでも長さは20センチ~30センチはありました。
そこでツイッタ―にも報告したところ……
なんと、『きゃっち☆あんど☆いーと』で著名なはくたくさまより
「ええっ!? 食べなかったんですか!?」とコメを頂く。
残念ながら今回は、キャッチあんどリリースでした。
その後はくたくさまより
「マムシはかなり美味しかった記憶があります。あとマムシ酒はアルコール標本と同じ臭いがするので、生物系の人間は飲めませんです」と。
鴉野兄貴さまからも、マムシをひっさばいて食った話とかそこから話は更に驚異の離れ島のお話とか、またこれはゆっくりと兄貴にヒヤリングせねば、ということでまた後日。
さておき
マムシで浮かれる人はこの地域にも結構おりまして。
沢山掴まえてザルに入れておいて「干そう(餓死させよう)」とした人は、途中でうっかり手を突っ込んで噛まれて病院に行ったり、草刈り機で藪を薙ぎ払う時に出てきたマムシをぶった切って持ち帰ったり。
怖いこわいという割に、ある意味愛されるイキモノかも知れません。
うちの母がまだ子どもの頃(昭和初期)には「へーびばあさん」という人も存在したらしく、マムシを布袋に獲り集め、それを目の細かいカゴに入れて持ち歩いていた年配女性もいたらしい。
どこかに売って生計をたてていたのだと。
子どもらがカゴの中を覗こうとするとえらく腹を立て、「あぶんない! やみょーえ(危険です、やめなさい)」とムキになって止めたのだと。
そして子どもらは「あ、へーびばーさん! へびンいた~!」と遠くから呼んでは、おばさんが慌ててとんで(走って)くるのを面白がって眺めていたののだと。
また、オイラがまだ幼かった頃にも近所でマムシの頭を二股にした竹の先に挟んだまま軒に干しているお宅があったので、どうするのか聞いてみたら意外にも
「○ジノ○ト」の会社の人が集めにくる、との返事。
多分何かの薬にするためだったとは思うが、その頃文字通り受け取ったオイラは、それからすっかりその名前に代表される調味料は使えなくなってしまったのでした。
それでも家の敷地内にマムシなぞ初めて。こんなことで大騒ぎするオイラたちってアンガイ都会っぽいんでね? と密かに思ったり(するわけない)。
まあ、噛まれなくてよかったです。マムシも今回ばかりは命拾いしたね!




