某月某日 人間万事塞翁が馬な途中経過報告
ものごとには何でもタイミングというものがありまして。
ここぞ! と思った時にすぐ跳べ! ということもままあるのですが、
逆に、ここぞと言う時に跳ばなかったら、どうなるかの一見本がここに。
小学4年生の息子がいると思いねえ。
グズ男で頭痛持ち、友達つき合いは下手、まあどこにでもいる一般的な小僧ですわな。
秋口くらいから突然、やたらと喉が渇き、しかも小用ばかり多くなる、という不思議な症状が出始めた。
ストレス? 成長過程のトラブル? それとも病気?
家庭事情でドタバタしていたので、気になりつつも病院にかかったのはすでに年明け。
かかりつけ医で飲む量と排尿量の24時間チェックをするよう言われ、調べて持っていくと明らかにヘンだ、ということで地元の総合病院に紹介される。これが2月。
ちゃんと原因が分るといいねえ、なんて呑気な事言ってたらアンタ!
下垂体に腫瘍が見つかった。MRIにうずらの玉子ほどの白い影が。
その地元病院では手に負えないということで、少し離れた病院で手術を前提にした入院を勧められる。
小児脳外の名医A先生に、手術をお願いすることに。開頭手術が必要になるかも、と。
そして春休み、小僧はA先生のいる総合病院に入院。
しかしちょうど年度末、しかも、担当医A先生は4月から他所の病院に移る事に。
どうでしょう、東京に開頭せずに鼻から穴をあけて手術できる先生がいるかもしれません、紹介状を書きますので夏に入院して、そこで手術されては?
と、勧められ結局、検査のみで退院。
東京の病院、紹介をいただいた間脳下垂体手術専門のB先生に相談すると、では夏休みに入院してください、だいじょうぶ、鼻から手術できますよ、と明るく請け負って下さる。
腫瘍は実際に中の組織を取って生検に回してからでないと、悪性か良性か判断はつき難い、しかし生検は30分程度でできるので良性ののう胞だったら中身を抜き取って終了、例え悪性であってもすぐに切除手術ができます、との心強いお話。
不安は多いが、とりあえず大船に乗った気ですべてお任せする気に。
そして夏休み。小僧が入院。手術は一応、1週間後に決定。入院予定は4週間程度。
何かといろんな検査があってどうのこうの、親は1人が病院に泊まり込み、もう1人は自宅で残りの家族の面倒をみる、というにわか別居生活とあいなる。
手術予定日3日前、両親そろってB先生に術前説明を受けることに。
「まず、昨日撮ったMRIをみてみますと……あれ」
ドクター、淡々と告げる。
「腫瘍が半分以下に縮まってますねえ」
それは悪性のものではなく、たんなるのう胞だったもよう。しかも
「この分ならば、しばらく手術も必要ありませんね。検査が全て終わったら退院していいですよ」と。
……それからすでに数年が経過し、ほとんど何ごともないように過ごしている小僧と家族。
もっと早く病院にかかっていたら、もしかしたらもっととんでもないことになっていたかも……
なんて怖いから考えないようにしたよ、ぶるぶる。
まあ、終わりよければすべてよし。ところで、終わりっていつ?