某月某日 その崩壊に気づいてますか
飲み過ぎに気づく前に書いてしまったので後ろ向きですみません。
ごめんなさいごめんなさい、って感じで部屋の片づけを少し。
本当に困った性格で、『捨てられない』人間なのですわ。
幼児期から高校までの落書き、プリント、メモ帳などを全て庭で焼却処分したのがつい最近のことだし。
だからテレビなどで、他所のお宅前からインタビューとか、お宅訪問とか、子ども番組の各家庭でのロケとか観ていると、なぜか怒りを通り越し、ドス黒い呪詛にも似た……あわわ、いけません。今日はステキな片付け上手のイメージで行くのさ。
今日は思い切って、三段組みになったプラスチック製チェストを廃棄処分。
今まで子どもの靴下とか小物を収納していたものだが、チェスト自体がずっと日当たりのよい場所に放置されていたため、劣化がかなり進んでいた。
おやっ、何だか調子よくなってきたね。全然グロくない。むしろ『スッキリ収納』『片付け上手は捨て上手』みたいな家事ネタでいけるかも?
そんなことを思いながら鼻歌まじりにチェストから細かい布モノを放り出し、空っぽになった引き出しをそっと外して、床に車のついた黒い枠と共に玄関から表に出す。
家の中から呼ばれて用事をこなし、さて、先ほどのチェストを廃棄の日まで倉庫に入れておこう、とサンダルを履いて再びご対面したところ……
そこにあったものは、チェストではなく。
そしてプラスチック成型品ですらなく。
強いて表現すれば『スクラッピーな燃える塊』というのか。
黒い枠こそはまだ原型を保っていたものの、中の透明な引き出しは日光に晒されたせいですっかりひびが入り、欠片が落ち、バリバリに割れ、黒い点々が湧き、変形し……
ニンゲンでいう所の『……見たわね』みたいな惨状。
これをつい今朝方まで、収納として使っていた我が家は一体どんな精神構造をしていたのか? とまで思わせるような、まるっきりナッテナイ代物でありました。
今までにもこんなことはあったのだ、ジブン。
だんだんと悪化する症状を抱える時、高齢となる親を看守る時、イナカなりし故郷から離れる人びとを横目で見守る時、不安定な職場でじっと耐えつつ業務をこなしていた間、相方との相性は実際どうなんだろうと日々心の片隅に薄暗い闇を抱える時、お気に入りの靴をずっと履き続けていた時……
アナタは、真正面から見つめられるか? それらの崩壊を。
そして気づいていただけたであろうか?
膨れ上がりつつあるエントロピーに、乾杯。




