某月某日 冷静になれないもの
いや……まだ心臓がバクバクですよ。
ニンゲンによって巻き起こされる何やかんや以外では、世の事物に案外淡泊な反応をしているカキノキですが、やはりどうしてもダメ、というものがありまして。
虫です、はい。……えっ? 寄生虫については熱く語っていただろう、って?
あまり大量にうにょうにょしていたら、ちょっと引くとは思いますが、それでもまだ「生きてるな」と思えるから、心に少しは余裕があるかと。
それよりさ奥さん(急に素に戻り)! 何が許せないって、気持ち悪いって、怖すぎって言いますと……
そう、ムカデ!!!!
しかも、体長15センチ超えとか、あの固い割に長いところとか、オレンジの触覚と足並みの揃いつつも小刻みにウェーブ、とか!!
それがさ、家の中に入ってきた日にゃあ、アンタ!!
梅雨に入るちょうど今じぶん、何故か我が家の周りにはムカデがかなりの高頻度で現れます。
川筋ということもあるのか、隣に低灌木の茂みがあって朽ち枝や枯れ葉も多いからか、とにかく昔からムカデは多い。
大きな石をのけてみたら、5センチ程度のが10匹ほどうじゃらうじゃらと逃げ出してきたこともあったし(その時はさすがに1.5メートルは後ろに飛び下がった、運動神経抜群なオイラ!)
つい昨日のことですが、いたんですよ、ヤツが。
玄関を開けるとポーチの端に、こちらを向いて、しかも
「ごめんくださーい」
って感じで。
うわーーーーーーーーーっっっと大騒ぎなオイラは思わず台所に駆け込み、床に置いた焼酎の2リットル紙パックをぐわしと掴み、また玄関に取って返し、蓋をあけるやいなやその訪問者の全身に
どばどばどば~~~~~
焼酎、浴びせてやりました。はい。
ソイツはややびっくりしたように身をくねらせ、一旦は家に入ろうとしたその身を翻し、あわてて庭の方向へと戻って行きました。
その直後、帰宅した相方にその模様を熱く語ると、彼は冷静に一言。
「あのさ、焼酎って……ムカデに噛まれた時に、自分にぶっかけるんじゃなかったっけ?」
そうでした。ムカデにぶっかけると良い物は、熱湯でした(イチコロなんです)。
あまりのパニくり加減に、つい、間違えてしまったオイラでした。
少し前には、子どもの布団の枕元、畳んだタオルの上に飲料用の水をペットボトルに入れて置いていた時期がありましたが、ある日それが倒れていたのでふと手を伸ばして直そうとしたところ……
タオルとペットボトルとの間に、U字に身をくねらせたまま、涼やかに潜んでいるオオムカデを発見したこともありますわ。
これは、ボトルに入った水のおかげでかなりデカく見えたのだが、実際12センチはあったなあ。
噛まれたことはないのに、何故か滅茶苦茶怖い。苦手です。ひゃあひゃあ言っちゃう。
まだ泣きそうですわーーー。嗚呼ムカデ。コイツだけはまじ、許せない。
この世で1つくらい、そんなものがあってもよいでしょうか神よ。
(実際よく考えると、もっと許せんモノが出てきそうだけど……)




