某月某日 焼肉セマタリー
警告。ちょっとだけ血。そして大量の肉。そして静謐。
休日は、子ども絡みのイベント。近所の空き地にてバーベキュー。
大人子どもとりまぜて全部で30名程、わいわいがやがやと新緑の下、焼肉&ヤキソバを愉しみました。
まずは、フランクフルト、それから海鮮焼き。ホタテ貝柱や烏賊ブツギリの味付けを鉄板で焼く、焼くそして焼く。
それから肉。豚カルビ、牛タン、牛カルビ、部位の不明な切れっぱし、ホルモン、焼いた端から子どもが攫っていったり呑んべの腹に収まったり。
誰かが割り箸に縦に刺して作ってきてくれたキュウリスティックの浅漬けも、サラダなどの生ものも、あっという間にがっついたニンゲンどもの胃袋に吸い込まれていった。
焼きそばにたどり着く頃には大分みんなおとなしくなり、子どもたちは食べるのにも飽きて広場周辺に遊びに行ってしまった。
あとは比較的落ちついたオトナの時間。オッサンおばはん、みんなでてんでに好きな飲み物をすすりながら、近所の噂話から趣味の話まで、五月の軽やかな陽気の中、素敵なひとときを過ごしましたよ。
……えっ? あまりにも爽やか過ぎる話だろう? って。
まあいいじゃないですか、たまには。
えぐい話も色々聞いたけどね、例えば、散歩させていたわんこが、カラスの毒エサを拾い食いした直後、血を吐くだけ吐きまくって10分かそこらで息絶えた、とか(あの身体のどこからあんな量の血が、ってびっくりしたよ、と肉喰いながら淡々と話すおっさん)。
で、それでもあまりにオチがないだろう、どうしたんだかっきー? とおっしゃるそこの貴方。
この辺でつまらない種明かしをお聞きになりたいと?
まあ、たいしたことではないんですが。
このバーベキュー会場、実は、近所の霊園なんですわ。
緑と墓に囲まれた閑静な一帯にぽっかり空いた地上のオアシス、宗派は問わないが一応それなりの敬意の払われるその一画で、我々は肉を焼き、喰らい、酒を酌み交わし、明日への英気を養っておりました。ちゃんと許可は頂いてますがね。
そして子どもらは、腹がくちくなるとみんなして駆け出していって、霊園内にて追いかけっこやかくれんぼに興じるわけで。
時おり、納骨らしい、写真や骨箱を抱いた方々も通りかかったりしますが、それも人生の一交差、というところでしょうか。
生者も死者も、乾杯。