某月某日 むしむしくん
寄生虫の嫌いな方はスルーしてください。
先日、可愛い小さな虫の話をさせていただいたが、実はこの虫たちにかなり興味がある。
少し前に寄生虫ブームとも言える一連の流れがあったが
『寄生虫館物語―可愛く奇妙な虫たちの暮らし』
という名著を覚えていらっしゃる方も多いのでは。
目黒寄生虫博物館の館長であった、故・亀谷了氏の著作。
以前は、ただ単にキモチワルイ、退治が必要なだけの存在、とレッテルを貼っていた彼らが急にイキモノとして身近な存在として再認識された、オイラにとっても重要な一冊でありました。
もちろん目黒の博物館にも行きましたよ、ずいぶん昔でしたが。
数メートルのサナダムシに感動でした。
この虫は実物も結構お目にかかっている。
特に今の季節、外遊びをしている猫がお尻から長い稲庭うどんのような一本をぶら下げて呑気に歩きまわっているのを、もしかしたらご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。
最初、我が家のカイネコがこれを下げて歩いているのを見た時にゃあ、もうびっくり。
それでも、以前から話には聞いたことがあったので、とにかく獣医に電話。すると
「じゃあ、出てきたモノも持って、猫ちゃんを連れておいで下さい」
と。え、下げたまま? それともやはり、引っぱりだして?
散々迷ってから、ビニル手袋をして猫を捕まえ、おそるおそる『うどん君』を引き出してみる。
15センチかそこらでぷつんと切れ、端がぴたんと手首に跳ね返り思わず「ぎゃあ」と取り落とす。
しかしどうにかビニル袋におさめ、猫と共に病院へ。
「ああ、マンソンだねー」
条虫の一種で、主にカエルを食べることで猫にも寄生するらしい。注射を一本していただく。その後の便で融けた虫が排泄されるのだそうな。
そういえば、ずっと以前に飼っていた猫は、ひとの枕元や布団の中が大好きでよく一緒に寝ていたのだが、外にもよく遊びに行ったせいか、変な虫をよく連れて来てくれた。マンソンももちろん、ノミやらダニやらもいて、しょっちゅう駆除をしていたなあ。
そんな頃。
ある朝、枕元の床を見ると米粒のようなものが落ちていた。少し艶がある。
離れたところにもう一粒。そしてもう一粒。
よくよく目をこらしてみると、それらはかすかに、蠢いていた。
猫から出てきた寄生虫だったらしい。たぶん瓜実条虫という種類だったと。
その頃からオイラの体内にもいくばくかのムシ君が入り込んだに違いない。時々、何かが奥底のほうで歌っているのが聴こえるぜ。へいへい♪ ボクラハミンナイキテイル、って。
オイラも退治されないように気をつけよう。