某月某日 強制ロードー省
先日は、地域の奉仕作業で、ミゾサライというのをやらされた。
え、ミゾサライ? ご存知ない? じゃあ教えてしんぜよう。
スコップ一本持って、ゴム長履いて、組長の指示の下、決められた田んぼ脇の用水路から泥をかき出してあぜ道に上げていく、という非常にエキサイティングでクリエイティヴなお仕事なのよ。
我々の組に割り当てられたはなんと、その溝じたいがなぜかコンクリートで固められたものではなく、ただ単に土を掘り返してくぼみにしてある「用水路」のみ。
そこに枯れ草だけではなく、勢いのいい春の草どもが生えそろってドロドロぐちゃぐちゃと、身を護ることのできない塹壕が100メートル以上も続いているんだねこれは、といった有様なのです。
そこの「泥をかき出して下さい」って、一体どこまで掘ればいいんだよ、気づいたらアルゼンチンに出てしまうのでは、というような。強制労働ギリギリの香りが漂うよね。
それでも働いたよ、あたしらは。ええ、掘って掘って掘りかえし、草をなぎ倒し、泥をかき上げ……
らちが明かないので数人が家まで草刈り機を取りに戻る。そのうちに、力強いモーター音があたりに響き、ようやくモジャモジャの草たちは取っ払われ、私たちスコップ部隊も、敵はドロのみになったのさ。
けんめいに作業にいそしむ中、刈り取られた草ごと泥をすくうたびに、不思議な物体に気づく。
横倒しになったカエルさん、気を失っているのかと思えばさにあらん。草刈り機でたて真っ二つ、ですわ。載せたスコップを放り出すわけにもいかず、つい裏面を観察。綺麗な断面です。うーわ。
田舎ってさりげなく残酷描写だらけ。それでも命に近い所で暮らしているという醍醐味だけは、日々味わえるかもね。