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登校
「おはよう。冬花」
「おはよう」
私は雪村冬花。
隣にいるのは、私の親友の東城里莉。
今はその里莉と登校中。
「あっそうだ、冬花。今日ね弓道部の練習が遅くなりそうなんだ。だから、先に寮に戻ってて?」
「うん。わかったよ」
「ごめんね」
「ううん。がんばって」
私がそう言うと、里莉はニッコリ笑ってうなずいた。
すると、私の隣を一人の男子生徒が通過した。
あ…あれは…。
「澪」
私が言うと、その男子生徒が振り向いた。
「何か…用ですか?…冬花様」
冬花様。
「あっ…いえ。おはよう」
「…おはようございます。では」
そう言って澪は校舎歩いて行った。
「冬花。大…丈夫?」
「うん」
「なら…いいんだけど」
冬花様…か。
確かに、澪と私は同じ名家といっても私のほうが立場というか、そんなようなものが上。
でも、あんな話し方をするくらいの差はないのに。
寂しいよ…澪。