第六十八章：精霊王の秋（3）
「だめだ！ だめだ！ だめだだめだ！ 絶対にだめだ！」
フィリアは狂ったように頭を横に振って、目の前の金髪の少年を気まずい思いをさせた。
「なぜですか？」
フェイラインは好奇心を持って尋ねた。
「私なんかがあなたの予言した王様になるはずがない。火球術でさえ操りにくいのに、突然私に王ということを言うのはおかしいと思いませんか。 ！ なぜ私はあなたたちと一緒にソオリリス全体を支配しなければならないのですか？ ！」
フィリアはぺちゃくちゃとしゃべり続け、目の前の二人の少年は辛抱強く待っていた。闇の妖精が疲れて言葉が出なくなった後、二人は口を開いた。
「あの……クーリーさんも私たちのことを聞きたいですか？」
菲亜ラインは丁寧に聞いて、相手はうなずいた。
「エフィリアさん、まずあなたの間違いを正したいです。私たちが王になる目的は世界を支配することではなく、世界を救うことです。」
「……世界を救う……？」
フィリアはしばらく経緯が分からなかった。
「もしあなたが第四ジハードのことを言っているなら、その必要は全くないでしょう？ 多くの索欧級の強者は十会と中央の指導のもとで無理獣を討伐したが、私たちのような一般人の助けは必要なかった。それに……私たちの世界は無理獣が進む道にはなく、戦争に巻き込まれることもなかった……」
「アフィリアさん、【索欧の冠】を聞いたことがありますか？」
菲亜ラインは相手の説明を中断し、強引に話題を挿入した。
「あの伝説？ そんな出所もわからない童話と世界を救うことに何の関繋があるのか？ ！」
フィリアは目の前のわけのわからない人のせいで怒った。
「もし索欧の冠が本当に存在したら？」
「不可能だ！ 歴史にはそんなものは記録されていません。【第二聖戦】の前の歴史は未知です。装着すればすべての創造神を超えることができる【起源年代】の王冠は、もし本当に存在するなら、なぜ誰も発見したことがないのでしょうか。」
「王冠は自分の所有者を選定するから、その所有者がその存在を認識し、それを見つけてこそ、王冠が世に現れる。」
「あなたの言う通りに……待って！ どうやってそれを知ったの？」
フィリアは好奇心を持って尋ね、フィアラインは笑顔を浮かべた。
「どうやら本人の自己紹介がおざなりだったらしく、改めて自分を紹介させていただきます。【全能の目】という呼び名は聞いたことがあるでしょうか？」
クーリーもアフィリアもびっくりして、妖精は冷静になって少年の目を見ました。その瞳の形は確かにソオリリス全体に有名な全能の魔眼です。
「全能の魔の目は模倣されることも、画像を作ることもできない。たとえ変身魔法でもあの瞳をコピーすることはできない……あなたは本当にソオリリスに恵まれた聖子ですか？」
フェイラインは頭を上げ、その目は精霊と目を合わせた。
「はい、あなた今私の言うことを信じてもいいですか？」
フィリアはしばらくためらって、うなずいた。
「じゃあ……世界を救うとはどういうことだ。第四ジハードの問題でなければ……ソオリリス全体を傷つけるものは何かあるのか？」
「これはまだ言えません。あなたが私のチームに参加してくれるだけで、私はソオリリスの未来をあなたに伝えることができます。私は騎士や安い占い師ではありません。私の口から出てくる予言は、ほとんどの人が信じているので、パニックを引き起こすものです。勝手に他人に言ってはいけません。」
フィリアはここを聞いてこぶしを握り締めた。
「じゃあ……どうして私を選んだの？ どうしてソオの冠は私を選んだの？」
「わかりません。」
空気が数秒間固まって、何人かはぼんやりとその場に立っていた。
「ああ！ あなたは知らない！ ？」
「もちろん、私は予言の未来が見えるだけで、あなたは索欧の冠の所有者の一人になります。しかし、王冠がなぜあなたを選んだのか、私にはわかりません。そんなことは本人が王冠をかぶった瞬間にわかるでしょう？」
精霊は頭の中でごちゃごちゃしていて、わけもわからずに選ばれて、理由もわからず、相手も自分の予言の結果を教えてくれない。
「だから私の王になる小隊に入りますか？」
フェイラインは精霊に自信を持って目を向け、傍らにいたバフィリトも興奮のまなざしを投げかけ、自分の弟まで説得してきた。
「お兄ちゃん！ これはいい機会ですね。 ソオリリスの王になると、家族が繁栄する！ 私たちは皆有名で、しかも世界を救うということはなんとかっこいいのでしょう。」
「お断りします。」
「ああ！ どうしてですか。 ？」
【天啓年922年—第5回戴冠式】
黒い流星と金色の流星がトルネードで満たされた台風の目の中を通っており、周囲に鉄筋を切るほどのカエデの葉が押し寄せてきて、山を吹き倒す暴風もある。
「まだ3分しか経っていないのか」
メリは外で襲ってきた木の葉を隠している。
「二十四分が一年だとすると、冬になるまであと三分……」
梵法は巨大な黄色い風の壁を見て、王の武器を奪わない限り、これらの落ち葉が絶えず襲ってくる。今、最も重要なのは王と戦うことではなく、相手を縛り付けて、息をつく時間を与えることで、二十四分も持ちこたえればいい。
「計画は成功しますか？」
梅丹佐は好奇心を持って尋ねた。
「今も彼らを信じるしかない。」
ポン！
大きな爆発音が台風の中心から聞こえ、風の壁に高速で回転するカエデの葉が落ち始めた。
黒い炎が風の目から出て、空に向かってまっすぐに飛んでいる。
「くそ……」
パルの全力一撃は精霊王に方向を変えられ、秋の鎌は黒剣を止められ、オルラインの聖銃も相手につかまれた。
「お二人はもう力がないですか？ ヘスと戦っている時より力を入れたほうがいいですね。」
三人は高空に硬直し、精霊王は無表情で、パルとオルラインはすでに全力を尽くしているが、王は少しも動いていない。
「じゃ、今すぐ終わらせましょう。心配しないでください。全員が死んだら、私はあなたたちを復活させます。そして強くなってから私に挑戦しましょう。」
王の軽い言葉を聞いて、パルルは武器を強く握りしめ、後ろの木の葉が二人に向かって襲ってきた。
「七合の王は私たちに一年だけの時間を与えてくれました……再び挑戦しますか？ 私たちにはそんなに多くの時間があるのか！」
黒い炎が少年の後ろから湧き上がり、同時に聖銃は第一螺旋の形態を解除した。
「私がこの2日間考えた新しい技を王に目撃させましょう！」
黒い炎が三人を包み始め、落ち葉が刃のように炎の表面にぶつかり、絹に戻った聖槍が精霊王の左手を巻きつけた。オルラインは相手の手を縛り、今の精霊王は鎌を持った右手だけを残している。
「黒炎の牢屋。」
黒い炎は小さな黒い太陽のようで、三人を閉じ込めている。
【炎を無効化できない？ 魔法じゃないの？ それらのシルクもひっきりなしに……聖銃は本当に不思議です。 】
フィリアは好奇心を持ってきた。
「それはどうですか？ あなたたちの力も私には及ばないのですか？ 拳一つで戦闘を解決できる。」
唰れ！
精霊王は咄嗟に拳を振り出し、強い拳の風が黒い炎をことごとく打ち砕いたが、パルの補修速度はとんでもなく速く、このミリ秒の間に、精霊王の拳は1ミリ進むごとに黒い檻が崩れていった。
「加護！」
あやして！
一瞬、パルルの両手はすべて切れ、後方に向かって飛び出した。同時に、オーラインは聖銃に守られ、精霊王という拳の慣性で鎌の前に閃き、相手の武器をつかんだ。
「あのパンチの威力は彼を直接分裂させることができるはずだ……」
「黒炎に魔がつく！」
オーラインの手に黒い炎が起こり、その後、炎は精霊王の武器にまで広がった。
「今こそ、梵法！」
「秋の鎌！ 私たちのところに来て！」
ゴッホ法の手に巨大な鎌が現れ、カエデの攻撃が停滞した。
「二重加護とはどういうことですか？ 私はあなたたちに一日一回の機会しか与えていません。加護を使いましょうか？」
「天才的な魔女と言霊魔法の吸血鬼がいるから、加護の使用権を移すのは簡単だ。」
腕が腕に戻る黒髪の少年を見て、精霊王は少し驚いた。
「ハハ！ 探知できない炎をずっと鎧の中に隠していますか？」
オーラインは丁寧にうなずいた。
「吸血鬼の血液の使い方を教えてくれてよかったよ、梵法。 吸血鬼の血液はすごいですね。」
目の前の二人を見て、精霊王は攻撃を一時停止した。
「いい策略だ。私の武器を奪えるなんて、でも……私はたとえその武器がなくてもすべての木の葉をコントロールできる。」
「何ですか！ ？」
二人は口をそろえて叫んだ。
「怖がらないで、難易度を調整すると言った。この試練の中で、私はその武器以外の能力で落ち葉をコントロールしない……」
二人はほっとして、精霊王の次の攻撃を引き摺ろうとしたかと思うと、寒気が突然心に押し寄せてきた。
「……冬が来るから……私の武器を奪う褒美として、しばらくあなたたちを殺さないでください。」
パチン！
黒い檻は一瞬氷に閉ざされ、割れてしまった。
【修復が間に合わない……黒炎は全部氷になった。しかも氷は魔法ではなく、純粋な氷だ……】
黒い檻が割れるにつれて、二人は外のシーンを見て、巨大なトルネードが氷霜と暴雪を運んで、気温が急落し始めた。
「どうしたの？ ！」
貝は自分の震えている体を抱いて、猫の耳はもう凍えてしまった。
「冬が始まった……」
梵法の手にある秋の鎌が消え始め、一枚一枚のカエデの葉になって風雪の中に散っていった。
メリルは大きな火の玉を呼び、梵法も同じ炎になり、炎の周辺から遠くを見る嵐の中に人々が集まった。
「オルラインたちはどうなったのか分からない？」
メリルは遠くを見て、嵐が広がり始めた。目の前の暴風が下の枯れ木をすべて根こそぎ奪い、大雪が寒風とともに大地のすべての生命を引き裂いた。
「メリ姉さん、肉体を強化する魔法をかけてください！」
魔女は躊躇することなく、肉体を強化する魔法をすべて発揮した。
「私は彼らの期待に応える…」
猫の少女の右手が形を変え始め、細い腕が龍鱗に包まれ、巨大な龍王の手が伸びてきた。
【これはあなたにあげましょう。 】
【ヘスお嬢さんどうして龍鱗を私にくれますか？ 私たちは敵ではないですか？】
【敵ではなく、相手であり、戦う価値のある相手なので、受け取ってください。また会いましょう。私たちはもっと強くなりますので、がっかりさせないでください。 】
貝は気合を入れて、巨大な龍爪を握りこぶしにして、炎と稲妻が龍鱗の間でジャンプして、少女は全力で振り出して、強い衝撃力が風の壁に穴を開けて、台風の拡大に伴い、数人が空洞を通って台風の目に来た。
「あなたたちは自分の仲間を助けたくないと思っていました……」
精霊王の声が遠くから聞こえてきて、台風の中は広々としていて、前のトルネードが全部消えて、精霊王は風の目の中央に浮かんでいる。
「オルライン兄さん……パル兄さん……」
梵法は怯えた顔で精霊王の後ろにある二つの氷彫刻の十字架を見ていた。二人の騎士は童話の中の眠れる美人のように十字架に閉じ込められていた。
「私はわざわざ心臓部に空洞を残しました。十字架の内部にはすぐに氷のとげが生え始め、2分後に彼らの心臓に突き刺さります。冠をかぶっている人たちも頑張ってください。」
フィリアの背後には雪の花の形をした妖精の翼があり、全身がすでに白い鎧をまとっており、手には白い長い銃が握られている。
「冬の妖精、冬の鎧、冬の銃、冬の雪、皆さん戴冠者、冬が始まりました。」
