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北風と太陽、再び

作者: 木こる

それはある日のこと、

北風さんは太陽さんに話しかけました。


「太陽さん、僕と勝負をしないかい?」


「え、また?

 こないだは僕の圧勝だったけど……

 今度はどんな内容なんだい?」


「前と同じさ

 あそこに旅人がいるだろ?

 彼のコートを脱がせた方が勝ちさ」


「いや、待ってよ北風さん

 君はそのルールで負けたんじゃないか

 違う勝負内容にするべきじゃないかな?

 でないと、また僕が勝っちゃうよ」


「ふっふっふっ、それはどうかな?

 この僕がなんの策も用意せずに、

 同じ内容の勝負を挑むと思うかい?」


「……ということは、何か秘策があるんだね?」


「ああ、“矛盾脱衣”だよ」


「えっ、北風さん」


「人間という生き物はあまりに寒い思いをすると、

 まるで暑い所にいるかのような錯覚を起こすんだ

 それで自ら服を脱いじゃう現象が矛盾脱衣さ」


「北風さん……

 それを聞いてしまった僕が、

 勝負を引き受けると思うかい?

 秘策をベラベラと喋るべきじゃなかったね」


「あっ、しまった……」




後日、北風さんは太陽さんに再び話しかけました。


「太陽さん、こうしよう

 あの旅人を脱がせるんじゃなくて、

 女の子を脱がせる勝負というのはどうだい?」


「北風さん、君はどうしてしまったんだい?

 まあ、そっちの方が盛り上がるのは確かだけども」


「だろ?

 それで、ルールなんだけど、

 脱がせる方法はなんでもありってのはどうかな?

 例えば口説き落とすとかね……」


「え、それがOKならまたもや僕が有利だよ?

 なんたって僕は陽キャの権化だからね」


「あ、そうか

 じゃあだめだな……やめとこ」




また後日。


「太陽さん、かけっこをしよう

 なんたって僕は北風だからね

 文字通り、風のように速く走れるんだ」


「北風さん、残念だけど……

 それもやっぱり僕の圧勝だよ

 君は頑張れば秒速100mで走れるかもだけど、

 僕は常に秒速220kmの速さで動いてるんだ

 次元が違いすぎて勝負にならないよ」


「まーじーかー」




またまた後日。


「……北風さん

 もうジャンケンとかでよくない?」


「いや〜、ただの運任せじゃないか

 もしそれで勝てたとしても嬉しくないよ」


「そっかあ、困ったねえ」


「ジャンケン……あっ

 それなら野球拳ってのはどうだい?」


「君は僕を脱がせて楽しいのかい?」




数日後。


「よし、これならどうだ

 ……太陽さん、僕と麻雀で勝負だ!」


「え、麻雀?

 僕ルール知らないんだけど……

 まあ、いいよ

 ようやく一緒に遊べそうだね」


「以前、君との勝負に負けて以来、

 脱衣麻雀にハマっていた時期があってね」


「その情報はいらない」


「とりあえずルールブックを貸してあげるから、

 1週間後に本番といこうじゃないか」


「うん、それまでにルールを覚えておくよ

 ……って、あれ?

 麻雀ってたしか4人でやる遊びだよね?

 2人でできるものなのかな?」


「あ、そうだった

 脱衣麻雀のゲームはCPUとの1対1だったけど、

 生身の相手とはやったことがないから……」


「今回も企画倒れかな……?」


「……いや、そうとも限らないよ

 僕の親戚に声を掛けてみようと思う

 遊び好きな連中だから、きっと参加してくれるよ」


「君の親戚というと……ああ、そうか

 北以外の方角の風さんたちだね」


「そういうことさ

 とりあえず風同士で対局して、

 本番までに上位3名を選出しておくね」


「うん、それじゃあ1週間後に!」






そして1週間後。


太陽、東風、南風、西風の4者が卓を囲み、

伝説の一夜が幕を開けるのだった──。

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