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第35話 円卓会議を始めよう その1

 長い長い廊下の先、見えてくるのは豪華な装飾であしらわれている巨大な扉。


 この先は「円卓の間」。


 「聖騎士団」の最高戦力が集う神聖な会議の部屋。


 しかし、その豪華な扉と比べて扉の前に立つのはアーサーと、ウォーカー顔は決して晴れやかな物ではなかった。


 2人は意を決して重苦し扉を少しずつ開き、入室する。


 


 扉を開け放ち、最初に目に入るのは美しい円卓だ。


 純白の大理石を使い方、黄金の装飾があしらわれている巨大な円卓。


 これほど豪華絢爛な装飾がされているにも関わらず、窓からさす陽光に照らされるその姿は決して派手すぎず、白く輝くその光には暖かさすら感じる。


 また、その背後には巨大な女神の像が置かれている。


 腕と翼を広げ、見下ろすその表情は慈愛に満ちた、優しい微笑みを浮かべている。

 

「幸運の女神 フォルトゥナ」


 聖騎士団が信仰する、()()()()()()()()


 美しい円卓と、神々しい女神像。


 円卓会議の神聖さをより際立たせている。

 


 

 しかし、


「おや? アーサー殿。お久しぶりです」


 すでに席に着いている3人、うち2人の不気味な雰囲気に円卓の優しい光も、女神像の神々しさもくすんで見える。


 1人は黒い外套を纏い、十字架の首飾りを首にかける男。

 笑顔を浮かべているもののどこか作り物じみていて不気味さがある。


 もう1人は不機嫌そうにこちらを睨みつける女性。

 眼鏡をかけ、紫の髪をマッシュショートに整え、腰にはレイピアを差している。

 一見落ち着いたような雰囲気を出している。

 しかし、その刺すような鋭い目つきからこちらへの憎悪が滲み出ている。

 

 それに対しアーサーの目つきも決して穏やかではなかった。

 軽蔑が混じった鋭い目つき。

 彼らへの関係が感じられる目つきだ。


 マッシュショートの女性はアーサーを見るなり舌打ちをする。


「……随分と悠長な到着ね? 私たちをいつまでも待たせるつもりなのかしら?」


「激痛の勇者 メイデ」

 第2部隊隊長を務める勇者。


「まあまあ。メイデさん。そう喧嘩越しにならず」


「巨塔の勇者 アルト」

 第4部隊隊長を務める勇者。


 物腰穏やかではあるがどこか胡散臭さを感じるその口調で、メイデを宥める。


 一方メイデは、アルトに宥められるとふんっと、アーサーから視線を逸らす。


 対してアーサーは気にするそぶりもなく、2人にひと声もかけることなく自らの席に向かう。


 ウォーカーもまたそれに続きいそいそとついていく。

 


 アーサーが座ろうとしていた席、その隣に1人の男が既に座っていた。


「アーサー! 元気にしていたか!?」


 褐色の肌に、ターバンとマントを纏った男性。

 両腕には無数の刺青が刻まれている。


 男は立ち上がり、アーサーに向かって手を突き出し握手を交わそうとする。


「サハラ。久しぶりだな」


 それに応じるようにアーサーも手を前に出し握手をする。


「熱砂の勇者 サハラ」

 第5部隊隊長を務める勇者だ。


「ウォーカーも! 元気だったか?」


「サハラ殿……相変わらずうるさい声ですねぇ」


「おうさ! どこまでも届く声が俺の長所だからな!」


 ガッハッハ! と、大口を開けて笑う。


 少々強引なところもあるが、真っ直ぐで明るい性格。騎士らしい純粋性格と言える。


 最も、それ以外の者たちがまともではないという見方もあるが。


「あー! うるさいわね! 遅れて来といてその態度は何?」


 うんざりしたようにメイデが噛み付く。

 その様子にサハラはムッとした表情で反論を述べる。

 

「む? 確かに来た時にはみんな集まっていたが、アーサーたちは集合時間はしっかり守っているだろ?

 それに来てないというならば、三芒星の方々もまだ……」


 バン!


 メイデは勢いよく円卓を叩く。


「……()()()()()は良いの……!

 あの人はずっと忙しいんだから……!

 あんたはソフィア様になんか文句でもあるけ……!?」


 先程よりも色濃い憎悪。

 腰に差したレイピアに手を掛け、眼鏡の下の瞳は著しく血走っている。


 しかし、そんな彼女に


「こらこら、喧嘩しちゃだめだよ? メイデちゃん」


 後ろから嗜めるような声が聞こえてくる。


 その声にメイデは振り返る。


「ソフィア様!」


 そこにいたのは2人。


 「撃鉄の勇者 ソフィア・トリニ」

 聖騎士団最高戦力、「三芒星」の1人。

 

 そしてその配下


「爆撃の勇者 バル・フラルゴ」

 第1部隊隊長を務める勇者。



 

 ソフィアの顔見た瞬間、メイデの態度が一変。


 先程の重苦しい声色は甘く媚びるような声に、常に眉間に皺を寄せていた顔は明るい笑顔を浮かべている。


「お久しぶりです! お身体に変わりはありませんか?」


「ええ、この通り元気よ。アルトちゃんも、久しぶりね」


「はい、ソフィア様。そう言えば先日頼まれた例の件ですが……」


「そんなことより! ソフィア様! あなた様に仇名した貴族たちですが、私が、全員処刑しました! もうあなた様に逆らう貴族はおりません!」


 メイデはアルトとの会話を遮ってソフィアに報告する。


 他人との会話より自分に目を向けて欲しいという願望が滲み出ている。


 慣れているのか、アルトはその様子に特に咎めることなく、静かに後ろで肩をすくめるだけ。


「へぇー。すごいわね。私が言う前にやってくれるなんて、あなたは本当に優秀ね」


 そう言ってソフィアが褒めるとメイデは嬉しそうに頬を赤らめて笑顔を見せる。


「あら? アーサーちゃん! ちゃんと来たのねぇー」


 続いてソフィアはアーサーの方に視線を送る。人を小馬鹿にしたようないやらしい目つき。


 アーサーはその視線に鬱陶しそうに見つめる。


「ええ。あなたに呼ばれたのでね」


「あら、そっけない」


 その態度に再びメイデがアーサーを睨みつける。

 

 ソフィアの前なので手荒な真似はしないが、レイピアに手を掛け今にも飛びかかって来そうな様子だ。


 メイデ、アルト、バル。これら3人の隊長は全てソフィアが推薦した勇者たち。


 中でもメイデはソフィアに心酔し、ソフィアの命令されずとも、自己な判断でソフィアに仇なすものは殺し尽くす。

 

 そこに計画性は無く、直情的な行動が多いため、聖騎士全員が手を焼いている。


 その姿は信仰対象のソフィアの思いすら飛び越える、常軌を逸した狂信者と言える。


「まあ、いいわ。それより、後の2人はどこに行っちゃったのかしら?」


 ソフィアは席に着きながら尋ねる。


 後の2人、とは三芒星の最後の2人だ。

 

 2人ともこの円卓会議に真面目に出席するのは珍しい。今回も無断欠席か。そう思われていたが……。


「お、遅れてしまって申し訳ないです!」


 再び扉が勢いよく開く。

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