4話
キュミンと暮らす事早五日。その日はやってきた。
「海が消える」
「えっ」
海が消えてキュミンとの別れ。その日がやってきたのだろう。
「キュミン」
「さようなら、イオジュ」
海を守るための核がある部屋にでもいくつもりなのだろう。
早く他の解決方法を見つけないとキュミンは海の代わりに消えてしまう。
「ジェー、これ本当に使えるの?」
「今回は影と虹に任せるつってんだろ」
「だから、その影と虹って子は使えるの?」
「使えるように作ってある」
鮮やかな金髪にどことなく子供っぽさが出ている口調。
昔ボクに知識をくれたみっちゃんだ。
「久しぶりだね。十年くらい?」
「うん」
みっちゃんなら海もキュミンも両方守ってくれるかもしれない。
だって、みっちゃんは世界を救った救世主だから。
「イオジュ、できないかもしれないからって誰かを頼るのも良いよ。でも、好きな女の子くらい自分で守らないと」
「でも、ボクにそんな事」
「できるよ。そのための準備は手伝うから」
ボクがキュミンを救う。キュミンは、ボクの
「……キュミンを好き?」
「違うの?そういう関係だと思っていたから」
「ちが、わない」
「なら、準備をしている間にキュミンを連れてきて。一時間くらいかかるからごゆっくり……で良いんだよね?」
「カンペ用意してやっただろ。それ見ろ」
「無くしちゃった」
さすがみっちゃん。ドジなところ変わってなくて安心する。
「説明でそう言うようにってやっているのは分かるけどみっちゃんの言葉が欲しい。仕事だからそういうのはダメって分かってはいるけど」
「イオジュの作るカップケーキ好きだからまた作って欲しい。たまにここに遊びくるから。キュミンの分も作ってあげるんだよ」
激励の言葉を期待していたけど、みっちゃんらしい。
叶わない可能性のあるような未来をまるでそれが決定しているかのように話す。
そこに願いなんてない。そうなると分かっているような。
「キュミンを連れてくる」
「あっ、キュミンが来なかった時のためにこれ」
「みっちゃんじゃないんだからお菓子で釣れないよ」




