2話
「えっと、ごめんなさい」
「今までどうやって過ごしてきたの?ここ一人だったんじゃないの?虹は何もしなくても生きていけるとかそういうあれでもあるの?」
虹との生活一日目。あまりに何も出来なさすぎて呆れている。
「いつもは、なんか勝手に。片付け、手伝う」
「やらなくて良い。むしろやんないで欲しい。余計に散らかるから」
「あなたは優しいね。影のみんなはみんと力と生活力の無さで離れていっちゃったのに。でも、何かさせて欲しいって言われて虹の影響がない場所で働いて貰っているけど」
この虹に嘘をつくような器用さはない。会って間もないけどそれは分かる。
「影が離れたというのは」
「うん。それが原因」
「ふふ、ふはははははっ」
「な、なんで笑うの」
「イオジュ。ボクの名前。虹の誤解と他の影の非礼を詫びるよ。ボクは一人暮らしで慣れてるから、面倒見る」
面倒見ないととんでもない事になりそう。
「キュミン。みんの名前。よろしくね、イオジュ」
こんなに可愛い笑顔、数年ぶりに見た。最後に見たのはみっちゃんが恋人らしき人と一緒にいた時。あれ以来ずっと笑顔なんて見た事なかった。
「ところで、ボク一人でやるのは時間かかるから料理か片付けどっちか覚えてもらうけどどっちが良い」
「えっと、片付けで」
「前にみっちゃんにもらった誰でも簡単に片付けられるセット。みっちゃんが検証済みだから、これで片付けといて。ボク料理してくる。嫌いなものある?」
「ない」
いくらみっちゃんが検証しているといっても多少の心配はある。片付けさせていたら足の踏み場が無くなったから。
あそこまで片付けが壊滅的で果たしてあのセットで片付けられるだろうか。
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「終わってる」
「うん。これすごい」
「なら、明日からも片付けはよろしく」
「ありがとう、イオジュ」
虹に誤解があったようだし、この笑顔のためなら一緒にいても良いかもしれない。
そう思って二日目もキュミンの世話をした。
そして、あの人がくる三日目




